難病
その結果は彼女にとってあまりにも酷なものだった。
「なんかね…、大学病院の紹介状もらっちゃったよ。詳しい検査を受けろだってさ。」
「???。どういう事?妊娠はしてないんでしょ?意味がわからないんだけど。なんで大学病院に行かなきゃならないの?」
彼女は意味深な表情で私にこう告げた。
「あのね、妊娠はしてないってさ。でもね、もしかしたらだけど…………。」
「もしかしたら何?」
彼女は瞳いっぱいに涙を溜めて言った…。
「私…………、子宮ガンかもしれないの………。」
私はその言葉でどん底に陥った。
「へ!?嘘でしょ?なんでそんな話しになっちゃうの?」
「なんかね、子宮ガンでもまれに妊娠検査薬が反応するんだってさ。だから大学病院で検査ってわけ。まだそうと決まった訳じゃないけど…、八割片子宮ガンの可能性大なんだって。」
「そうなんだ………。違うといいんだけどね。」
私にはその言葉ぐらいしか彼女にかけてあげれなかった。
「まぁ次の検査で白黒つくから……。私も違うって祈ってるよ。」
だけども…、どうしてそうなってしまったのだろうか?原因はわからない…。
検査当日、もちろん私は付き添う事は出来ず、彼女の旦那が付き添いで行っていたらしい。
私はひたすら彼女がガンではないことを祈っていた。だがそんな祈りも虚しく…
彼女から電話がきた。
「子宮ガンだったよ……………………………………………………………………。これから私どうなるのかな……………………………。とりあえず早期発見みたいだから転移してなければ大丈夫だってさ……。当たり前だけど、とうとう天罰下っちゃったね…。」
「そんな天罰だなんて……、なんで俺じゃなくて姫ちゃんに…。俺に天罰が下れば良かったのになんで姫に…………。」
「仕方ないね。こうなってしまったのは、きっと私が家族を裏切って生活しているからだよ………。だから神様が私に罰を与えたんだよ。そう思うしかない…」
「そんな事って…。もしそうだとしても、あまりにもこの仕打ちは酷すぎるよ」
「もうなってしまったんだからしょうがないね。せめて後は治ることを祈らないとさ。」
私は率直に思ってることを彼女に言った。
「死なないよね……。もし姫が死んでしまったら、この先俺が生きてく意味なんて何もないよ。」
「それはまだわからないけど…、早期発見だし今の医療技術なら大丈夫だよ。私は死なないって!」
「そうだよね!姫ちゃんが死ぬはずないよね!ごめんね、馬鹿げた事言っちゃってさ。どうも心配になっちゃってね…。」
私の中のガンのイメージはガンになってしまったら、イコール死を意味する病気だと今まで思っていたが、どうやら最近の医療技術は凄まじい速度で進歩していてガンも早期発見なら治る確率が高いらしいのだ。
「とりあえず手術してガンを取り除くんだって。手術前までに色々とすることあるみたいで一週間前から入院生活になっちゃうみたい。嫌だなぁ………。検査もスッゴく痛くて血が今も出てるんだよ。もう最悪だったよ。」
彼女の話しによる検査内容は想像しただけでも痛そうな内容だった。その一つとして最も痛そうだったのが麻酔無しで膣の一部を切り取るというものだった…そりゃあ血もいっぱいでるであろう。姫が可哀相でたまらなかった。
「とりあえず今日はこれで切るね。横になって寝ちゃいたいんだ。また詳しく決まったら連絡するね。」
「うん。疲れただろうから寝た方がいいね。連絡待ってるよ、またね。」
とにもかくにも大問題が起きてしまった。
これから私達はどうなってしまうのだろうか…本当に手術すれば姫ちゃんは助かるのだろうか…
私は様々な疑念を抱えて眠りについた。