漫画
結局私と姫は一年半過ぎ以上の時をへて再び元サヤに納まった。
私は彼女を選んだ事によって、自分なりに色々と様々な覚悟を決めた。私の選んだ道は決して平坦なものではない。これからも酷く険しい道を歩いていかなければならない。自分で決めた事なのだから私はその酷く荒れ果てた道を進んで行く事となった。この先、はたして私に光は差し込むのであろうか?
彼女と二度めの復縁をして最初のデート。私達はお互いにギクシャクしていた。行き先は勿論…、彼女の大好きなラブホだ。
「なんかさ、結構長い間空いてたから緊張するね。大丈夫?」
「そうだね。私も緊張してるよ…。なんかソワソワしちゃうね。」
久しぶりに出向いた場所は私と彼女が初めて行った思い出のラブホだ。彼女の意思でそこに行く事になった。私達にとっては本当に忘れられない場所となっていた。
「懐かしいね…、当時はよくここに来てたもんね。あの部屋空いてるかな?」
「だね。我が家が空いてるといいなぁ…。」
説明すると、ここのラブホの707号室が私達のゆかり場所で、毎回この部屋がお気に入りで訪れていたのだ。
何故かというと理由は意外なところからきている。当時、彼女にはハマッていた漫画があった。多分わかる人もいると思うが、その漫画というのはNANAである。その漫画の主人公のナナとその友達のハチが一緒に住む事になったのが707号室なのだ。
大体どこのラブホも7階なんて高さはない。だがそこのラブホはその高さがあるのだ。わざわざ彼女はそこまで検索してここのラブホを選んだのである。ちなみに私の現在の愛車のbBのナンバーも恥ずかしながら707である…。それぐらいお互い私達はNANAにハマッていたのである。
ラブホに着くと、私達の復縁を祝福し、待ち望んでいたかのように707号室だけが運良く空いていた。奇跡的だと私は思った…。
「お!我が家だけ空いてるじゃん!ラッキーだね。」
「ヤッター!嬉しいね。早く行こっ!」
私達は足早に我が家に向かいエレベーターに乗った。
「ただいま〜。久しぶりに帰って来たけど、やっぱここはサイコーだ!」
彼女はこの部屋に入る時に、必ずと言っていい程、ただいまと言う。本当にある意味で我が家だと思っているらしい。
「やっぱ我が家は広いね〜。この広々とした空間が最高だね。」
この我が家、何をかくそうこのラブホの最上階の部屋で、とにかくだだっ広いのである。ゆうに40畳ぐらいはあるであろう広々とした空間が我が家の売りである。そのくせこんなに広いのに料金もそれ程高くなくリーズナブルなのだ。
私達は久しぶりに我が家に帰って来てくつろいだ。
「なんかここに来ると落ち着くよね。あの頃に戻ったみたいになれる。」
「確かにそうかも。俺もそんな感じだよ。」
私達は久しぶりの我が家で、マッタリとした時間を過ごした。
お酒も程よくまわってきていた。
「なんでさ、私とやり直そうって思ってくれたの?」
「理由はとくにないかな…。しいて言うならもう一度一緒にいたいと思ったから………じゃダメ?」
「全然ダメじゃないよ。私も離れてみて本当にあなたの大切に気づいたし、私もこの先やっぱり一緒にいたいと思ったの。」
「俺もだよ…。姫の事わかってあげられるのは俺しかいないもん。だから俺じゃなきゃ姫の事幸せに出来ないのと思ったから復縁しようって思った。俺ってかなりイイ奴じゃね?」
「そんな事言われなくてもわかってるよ!あなた以外なんて、もう私はありえないよ。イイ奴っていうか、私にとっては多分生涯最高なパートナーなんだと思ってます。」
「いくらなんでもそれはいいすぎだよ。別に俺じゃなくても上手く行くかもしれないしね?同じようなタイプも探せばいるかもよ?」
「いや、あなたじゃなきゃ私はダメ。あなたを知ってしまった後で、あなた以外で私の相手が務まるとは到底思えないよ。」
「そうかなぁ…。でもその気持ちは有り難く頂戴しておくね。少なくても俺もそう思ってる部分あるしね。なにより好きだし。」
「私も大好きだよ。あなたが好き。これからはあなたに気に入ってもらえるように努力するからね!今よりもっと好きになってもらうんだから!」
「わかった。でも今でも十分好きだよ………。」
そう私は言って、彼女の唇にキスをし舌を絡ませて久々に彼女を存分に堪能する事にした………。