まさかの再来…
あれからなんらかわりのない普通の毎日が過ぎさり、いつものようにメールや電話をしていた。
だが一方的に私の彼女への想いは日に日に募っていった。
今までもそれとなく彼女に気持ちを伝えてきたとは思っていたが、なかなかどうして冗談にしか受け止めてもらえない。
私はこの想いを真剣に彼女に打ち明けようと思っていた。
どうすれば彼女にこの想いを受け止めて貰えるのか悩んだあげく、私は正攻法で望もうとした。真剣に想いを言って断られるなら仕方のない事である。後はタイミングだ。どのタイミングでその想いを伝えるか……
そうこう悩んでいる毎日の中で私はこの日だと思って決心した日がある。彼女の誕生日におもいきって告白してみよう…。私は心の中でそう決めた。
そしてその日を私は迎えた。あらかじめメールをしてアポをとった。彼女の方も特別用事がある訳でもないようで昼間から夕方にかけては空いているらしい。夜は家族とパーティーとの事だ。
私は大きく深呼吸をして、この想いをどう伝えればいいのかと頭でシミュレーションしていた。
刻一刻と時間が迫るなか、彼女とのメールのやりとりをしていた矢先…………。
私の携帯に、とても懐かしく感じるメロディーが彼女とのメールの途中で鳴り響いた…。
そのメロディーは彼女からのメール着信音ではなく、私の心の奥底に封印していた懐かしき姫ちゃんからのメール着信音だった。
【お久しぶりです。今何してますか?お話しできませんかね?返事待ってます】
私に少なからず動揺が走る………。
私の心と頭は、例えるならば走馬灯のように姫との今までの思い出が蘇ってフラッシュバックしてきていた。私はとりあえず、アユちゃんの方にちょっと待っててというメールを送り、姫とのケリをつけようと思った。
【お久しぶりですね。元気ですか?今、電話できますか?】
姫ちゃんの返信は…。
【あなたの家の外にいます。出来れば直接話したいです。ダメかな?】
!?なんだって…。私は慌てて玄関を飛び出した。その先には久しぶりに見る姫ちゃんが立っていた。
「そんなとこいないでこっちきな。」
私は何故だかわからないが姫を家にあげた。
「久しぶりだね…。あれからもう一年半以上経ったかな…。あなたは元気してる?私はボチボチだよ。」
私は姫ちゃんの突然の登場で頭が少し混乱していた。
「もうあれからそんな経ったんだね…。俺もボチボチ元気だよ。んでさ、話しって何かな?」
「こんなに離れてたけど、私はまだあなたの事が好きなの…。あなたの事、忘れたくとも忘れられない…。散々私はワガママ言って、あなたの事を困らせてのも十分わかってるし申し訳ないと思ってる。あの時だって私がワガママさえ言わなければこんな状態になってなかったもの……。本当にごめんなさい。私ともう一回お付き合いしてもらえないかな?」
私は正直驚いていた。姫がまだ俺の事を好き?私はとっくに忘れられた存在になっていたものだと思っていたのに…。
「俺さ、前みたいに姫に好きな物とか買ってあげられないかもよ?お金とか独り身になって自由に使っちゃってるし……、ハッキリ言ってお金ないんだよね。お金ない俺なんて嫌でしょ?」
私はありのままを伝えた。こう言えば姫は諦めるのではないかと思ったのだ。
だが私の考えとは裏腹に姫ちゃんの答えは私の想像と違うものが返ってくる。
「全部私のせいだね。お金ないなら今まであなたに買って貰ったブランド物とか質屋に売ってでも私がお金つくってくるから…、お財布もバッグもアクセサリーも…なにもかも私いらないから…あなたと一緒にいられれば、もう他にはなにもいらない!だから、全部売ってお金にしてくるからそのお金であなたの不足分の足しにして。」
姫ちゃんは号泣しながら私にそう想いを伝えてきた。彼女は私の事がまだ好きで、やり直すためならば私の今までにプレゼントしてきたヴィトンやらグッチやらの財布やバッグを本気で質屋に入れるつもりだ…。
私は彼女のその私への想いに心を討たれてしまった。私も、ハッキリ言って姫の事が嫌いで別れてたつもりではない。好きだったけど仕方なく別れたつもりだった。
「売りになんて行かなくていいよ……。それに売りに行ったって使用済だし買ってからもう数年経ってるから大幅に安く引き取られちゃうよ。そんな事になるなら俺は姫ちゃんにこれからもそのプレゼントとした物を使って欲しいよ。そうしてくれたほうが俺は嬉しいかな。」
「でも…、お金ないんでしょ?それなら少しでもいいからあなたの為にと思って………。」
「いいんだって。だってさ、お金なくたった姫ちゃんはいいんでしょ?俺と一緒にいられればそれでいいんだよね?ならわざわざ売りに行く事なんかないよ!」
そう私が言っても彼女の涙ば依然として止まらない。滝のように流れている。
「本当にあなたが好き…、好きなんだよ…。だから、私の事を捨てないで……。私、心入れ替えるからあなたに側にいて欲しいの…、今さら気づくなんて遅いかもしれないけども、お願いします…。また私と付き合って下さい…お願いします。」
私は悩んだ…………。