表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見る心  作者: 姫姫姫
57/69

帰り道

彼女との深夜のデートから数ヶ月、あれから私達はいつものペースで電話やメールを続けていた。時間が合えばご飯を食べに行ったりしていて、お互いの仲はとても良い感じになっていた。そんな間柄だったので、私は彼女の事を日に日に好きになってきていた。




とある夜の事だ…。彼女から一通のメールが届いた。



【道に迷っちゃった…ここどこだろう…。】




私はそのメールを見て、急に心配になりはじめた。彼女になんかあったのだろうか?




【どうしたの?道に迷ったって…電話できる?】




【電話は無理。今電車乗ってるんだけど、なんだか違う電車乗ってしまったみたいで……】




【次の駅の名前教えて。俺がそこまで迎えに行くよ】



【〇〇駅。わかる?とりあえず止まったら降りるね】



駅名はわかった。結構遠いな…でもなんでそんなところに?




彼女から電話がかかってきた。




「とりあえず降りた。わかる?ドジでごめんね。」




「わかるからもう大丈夫だよ。安心して。とりあえずそこから三つめの〇〇駅まで行こうか。そこなら駅も大きいし、コンビニとかどっかで時間つぶせるから、女性一人でも大丈夫だと思うんだよね。今そっち向かってもう走ってるから、40分くらい待っててね。」



「結構遠いところなんだね…、迷惑かけてホントにごめんね。コンビニあったから、そこで立ち読みして待ってるね。気をつけて来てね。」




「良かった。そこなら安全だと思う。出来る限り早く行くから少し辛抱しててね。それから、全然迷惑だなんて思ってないよ、じゃあまた後で。」




私はそう言って電話を切り、先を急いだ。時刻は12時を過ぎていた。




「おまたせ、そろそろ着くよ。大丈夫?」




「ありがとう!大丈夫だよ。少し疲れてるだけかな。外出て待ってるね。」




車は彼女のいるコンビニに着いた。




「ホントにごめんなさい…助かりました。夜遅くにごめんね。」




そう言って彼女は私の好きな銘柄のコーヒーを渡してきた。




「このおっちょこちょいめ、なんでこんなところにいたの?話しは車で聞かせてもらうから帰ろう!さぁ乗って。」




彼女は申し訳なさそうに助手席に乗った。




「んで、どうしたの?言いたくなかったら言わなくてもいいけど。」




「実はさ、元カレと話し合いしてきた帰りなんだ。そしたら帰りに電車乗り間違えちゃったみたいで…。」



私は彼女に好意を寄せていた身だからその発言に動揺した。




「そ、そうなんだ。なんかあったの?今さら話し合いなんて…。」




「復縁したいからとりあえず会って話しがしたいって言われて、行くには行ったんだけどやっぱりもう彼とは無理って言ってきた。」



「ホントにそれで良かったの?未練ない?」




「うん!全然ないや。これで綺麗サッパリ出来た感じがするよ。」




彼女の強がりだろうか…そうは言うものの、うっすら目に涙を浮かべていた。




「いいじゃんいいじゃん!良かったじゃん。アユちゃんを泣かせるような奴は最初から無理だったんだよ。これからは新しい恋に走ればいいじゃん!アユちゃんぐらい可愛い娘ならすぐ新しい彼氏見つかるって!」



「そうかなぁ…。いい人と巡り会えればいいけど。」



「大丈夫だって、俺が保障するよ!なんなら俺、立候補しちゃおうかなっ。」




「そうやって、また優しいんだから…。冗談でも嬉しいよ。」




私としては冗談なつもりではなかったのだが…。




「冗談じゃないかもよ?だって俺、アユちゃんの事好きだよ!」




「ありがとうね。あなたといると凄く優しい気持ちになれるよ。」




あら?なんだか本気と思われていないようだ…。ま、いっか。今はまだ彼女の気持ち自体不安定なんだから仕方ない。回復したらまた改めて気持ちを伝えよう。



「とりあえず今は嫌な事忘れて帰ったら寝ちゃいなよ!それが1番だよ。」




「そうだね。そして気持ち切替なきゃね。」




「そうそう、そのいきだよ!俺でよければいつでも相談のるし、気分転換にどっか行ってもいいしさ。元気出して!」




「うん。またあなたに元気づけられちゃったね…。いつもありがとうね。」




私は無事に彼女を家まで送り届けた。




「本当にありがとう。このお礼は必ずするから。気をつけて帰ってね。おやすみなさい。」




別れ際に彼女はとびっきりの笑顔を見せてくれた。




「おやすみ。またねっ。」



私は自宅に向けて車を走らせた。




今度彼女と会う時に、いい感じになったら思いきって告白してみよう。私はそう決めて眠りについた……。



しかし、あんな事になるなんて今はまだ思ってもいなかったな…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ