募る思い
「もうこんな時間なんだね。早いなぁ、明日仕事なんだよね?大丈夫?遅くまでごめんね。帰ろう。」
「俺は全然大丈夫!こんな楽しいデートなんて久しぶりだし、出来る事なら帰りたくないよ。もっとアユちゃんと話したい。」
「私も久しぶりに楽しかったよ!凄くいい気分になってる。確かにまだ話したいけど明日仕事なんだから帰らなきゃね、仕事も大事だよ!」
「そういわれたら仕方ないね、それじゃ帰ろうか。」
「うん、そうしよ。でも眠くない?運転出来そう?」
「無理かも…、寝てしまうかもね。」
「ごめん…私のせいだ。どうしよう…。私が運転しよっか?」
「嘘、嘘。全然平気!眠くもなんともないよ。ごめん…、からかってみた。でもさ、もし眠くなったら俺の顔つねってね。そしたら覚めると思うからさ。」
彼女はちょっと怒ってるみたいだ…ふざけすぎてしまったかな………
「っ!イタタタタ!痛いってば。」
「目、覚めた?眠そうだからつねってみたよ。………意地悪なんだから。でも大丈夫そうだから許してあげるよ。」
「ふぁい、すんませんでした。あと、…つねる時はもうちょっと優しくお願いします。マジ痛いよぉ。」
「なぁに?眠いの?もう一回つねってあげよっか?」
「いえ、なんでもないです。一生懸命運転させていただきます。」
「わかればよろしい。じゃあ帰ろっか。ほいっ。」
そう言うと彼女は私に右手を差し出した。どうやら手を繋いでくれということみたいだ。
こういう細かい行動は私の彼女に対する恋心を擽る。私は彼女の事が段々と好きになってきていた。
「いいの?」
「そういう時は何も言わずに手繋ぐのっ!」
そう言いながら彼女は私の左手を取る。
「今日はありがとっ!さぁ、帰ろう。」
いつもの反則的な笑顔が私のすぐ左側にある。私はそんな彼女にめろめろだった。
私は深夜の高速を飛ばし、まだ日が昇る前に地元に到着する事が出来た。
到着したという事は彼女との楽しかった時間の終焉を意味する。
「着いたね…。」
「運転お疲れ様。さすがに疲れたでしょ?仕事大丈夫かな?」
「隣にアユちゃんいたから全然平気!疲れてないよ。仕事も頑張れるよ。アユちゃんは平気?」
「私は休みだし大丈夫!無理してくれて本当にありがとうね。やっぱりあなたは本当に優しいね。楽しかったし、また近々どっかに行こうね。」
「うん!行こう!俺も今日は可愛いアユちゃんとデート出来て超楽しかったよ!また行こうね。」
「それじゃまたね。仕事、私も頑張るからあなたも頑張ってね!」
「ありがと。頑張るよ!気をつけて帰ってね。」
こうして私達の深夜デートは幕を閉じた。
ああいうのが私が前からしたかった普通の恋愛なのかな……。やっぱり、人を好きになるって楽しいや。
アユちゃんとお付き合いしてみたいな。あの笑顔を独り占めしたい。そうなればきっと毎日楽しく過ごせる事だろう。
さてと、仕事まであと一時間か…。家に帰って着替えとシャワーぐらい浴びれるかな………。
今日はキツイかもしれないけど、それ以上に私は彼女とデート出来た事が嬉しかった。
さ、仕事に行くかな…