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夢見る心  作者: 姫姫姫
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深夜のデート

「どうする?時間的に観覧車は終わってるし、とりあえずご飯でも食べる?」




仕事が終わったのが8時。それから話しこんでいたため職場を出たのが9時過ぎだった。それで出発が遅かったため観覧車などのアトラクションは残念ながら終了していた。




「ご飯はまだ大丈夫。海浜公園へ連れてって欲しいな。」




「わかった。海浜公園だね。車もとめられるし、いいかもね。」




「思ってた以上に詳しいんだね。ちょっとビックリしてるよ。もしかして何回も来てるの?」




「そうだな…。2回ぐらいは来たことあるね。その時に大体は覚えたみたい。」



「ふ〜ん。夜来たことはあるの?」




「夜は1回だけかな。観覧車乗って夜景見た。」




「へぇ〜、いいなぁ。私も観覧車乗りたかったな…。羨ましいよ。」




「乗った事ないの!?いかにも乗ってそうなイメージあるけどなぁ。でも今日だったら俺とだけど、それでも乗ってくれた?」




「なんで?乗るよ!普通にデートしてるんだからかまわないでしょ?だから観覧車が動いていて、誘ってくれたなら普通に一緒に乗ってるよ〜。」




「そっかぁ…、それはかなり残念かも。」




「あなたも観覧車乗りたかったの?でも乗った事あるんでしょ?」




「それとこれとは別問題でしょ。俺だって誰とでも乗る訳じゃないし、アユちゃんとなら乗ってみたかったなぁと思ったのさ。」




「そうなの〜?なんか優しいから誘われたら誰とでも観覧車乗りそうにみえるけどね。」




「そんな事ないってば!アユちゃんだからだよ!」




「わかった、わかった。そういう事にしておくから、そんなにムキにならないのっ。そんな事でムキになるなんて、かわいいとこもあるんだね。」




完全に彼女の方が上手だ。彼女は人の扱い方をよく知っている。それでいて、私を手の平の上で遊んでいるみたいだ。

私はかわいいと言われ、少し照れていた。




「アハっ、照れてるし。面白いね、あなたって。」




「そう?でも面白いなら結構だけどね。まぁ、観覧車は諦めて次にして、そろそろ海浜公園に着くよ。」




楽しい話しをしてるうちに車は海浜公園に着いた。




「着いたね。行こうか。」



「うん。うわぁ、ホントに来たんだね!嬉しい〜。」



彼女は凄い喜んでいる。連れて来て良かった。




「少し寒いね。大丈夫?」



「ありがとう。大丈夫だよ。本当に優しいんだね。」



私達は海辺を歩きながらお台場の輝かしい夜景を見てまわった。夜景を見ていると本当に癒される。ふと彼女がある場所で止まった。



「ここから見る夜景が1番好きなんだ………。」




少し冷たい風が彼女の髪を揺らしていた。夜景の光に照らされて、彼女はとても綺麗でいて可愛くも見えた。




彼女はその場所から離れずずっとその場から夜景を見ている。夜景を見ている姿がどことなく寂しくて、せつなさすら感じる。




私はその姿を見ていて、何故だかわからないがたまらなく彼女を抱きしめたくなった。そんな彼女を後ろから抱きしめようとした時に彼女の口がひらいた。




「あのね………、私、まだふっ切れないんだよね……。前の彼の事。今は好きかどうかはわからないけど、何故だかふっ切れない。どうしてだろう…。この場所はね、その彼と以前来た場所なんだよね……。」




私はとっさに腕を引っ込めた。




「そうなんだ……。アユちゃんはさ、まだきっとその彼の事好きなんじゃない?アユちゃんはまだ忘れてないんでしょ?」




「どうだろ…。自分じゃわかんないや。」




「ならさ、とりあえずこれからはその彼じゃなくて、俺と見た夜景にすれば?」



「まったく…どんだけ優しいんだよ。でもさ、ありがとう…。なんか元気でてきた!」




いい顔をしている。もしかしたら彼女の中で何か決意したのかもしれない。

そしていつもみたいに私に向かってとびっきりの笑顔を見せてくれた。




「その笑顔は反則だよ。ズルイって。可愛いすぎだから。でもさ、元気がでたなら連れて来たかいがあったよ。」




「本当に連れて来てくれて凄い嬉しいよ。それに、あなたは私に勇気をくれた。今日あなたとここに来られて良かった。私、これでまた頑張れる! 今日あなたと見た夜景は絶対に忘れない!一生忘れないからね!ありがとっ!」




「俺の方こそありがと。楽しいデートが出来て良かったよ。それに、アユちゃんの力になれたみたいだからそれだけでも嬉しいや。いっぱい可愛い笑顔も見れたしね。」




「ホントに褒め上手なんだから……、悪い気はしないけどね。むしろ、可愛いってめんとむかって言ってくれて凄い嬉しい。恥ずかしくないの?」




「恥ずかしいけど可愛いものは可愛いからそう言ってるだけ。変かな?」




「全然変じゃない!逆に凄いと思う。言われた方は凄い嬉しいし。」




彼女との会話は楽しくて、延々と話していたいぐらいだった。だが時計を見ると、すでに時刻は深夜1時過ぎ。そろそろ帰らなくてはいけない時間が近づいてきていた。


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