いい感じ…
最初に、彼女の呼び名を紹介したいと思う。
私達が車でお台場に向かう途中の会話だ。
「メールだと俺勝手にアユちゃんて呼んでるけど、みんなからはなんて呼ばれてるの?」
「そうだね…、アユミだからそのままアユミかアミが多いかな。アユは中々呼ばれないかも。でも、あなたからはアユでいいよ!聞き慣れてないから新鮮だし、なんかいい。」
「よし。じゃあこれからはアユって呼ぶね。俺の事はまかせるよ。呼びたいように呼んでね。」
「うん、わかった。そうさせてもらうね。ところでさ、お台場は行った事あるの?」
「まぁ一応はね…。アユちゃんは好きって言うくらいだから結構行ってるの?」
「秘密…。ついてから気が向けば話してあげる。あなたはやっぱり彼女と?」
「だね…。」
「あれ?なんか思い出しちゃった感じ?ごめんね…、私、嫌な事言っちゃったみたいね。」
「全然!俺もお台場の夜景は大好きだから行きたかったし!たまたま今までは一緒に行きたい人がいなかっただけだよ。」
「…?。それって私なら一緒に行ってもいいって事になるのかな?」
アユちゃんも小悪魔的なものを持ち合わせているみたいだ。どことなく姫と被る部分があるのには否めない。私はそういう人に惹かれるらしい。
「そうだね。アユちゃんとなら一緒に行きたいな。って、なんか俺で遊んでない?」
「だってあなたって仕事の時もそうだったけど、結構ハッキリ言う人だからちょっとからかってみた。」
「なんだよそれ〜。でも当たってるね。俺は感情においては結構ハッキリ言う方だと思う。だからアユちゃんとなら一緒に行きたいなぁって思ったんだよ。」
「それって褒められてる?まぁメールとかで私の事気に入ってくれてるのは気づいてたけど。」
「言うね〜。確かに気に入ってますけどね。だってアユちゃん可愛いんだもん。気になってる質問していいかな?」
「どうぞ。なんだろ?」
「今さ、付き合ってる人とかいないの?」
「いないよっ!」
彼女はかわいらしく私の方を向いてサラっと答える。
「なんで?そんなに可愛いんだからモテるでしょ?男寄って来ないの?」
「正直寄ってくるけど…みんな大抵軽めで遊び人ばっかなんだよね。だからそういう人は喋ったらすぐわかるし、つまんないから断ってるんだ。」
「んじゃ俺は?」
「大丈夫だよ!少なくとも職場で話しして、結構メールもしてるし、そんな人じゃないのわかってるからね。あなたはタイプ的には真っ直ぐな人っぽいからこうやってデートにも誘ったんだよ。嫌いな人とはデートとかにも行きたくもないよ。」
「それ聞いた後だと、なんだか凄い嬉しいんだけど。」
「今度はこっちが質問していい?」
「うん。なにかな?」
「そっちこそ彼女いないの?」
私はキッパリと言った。
「今はいないよ。」
「そうなの?なんかいそうな感じするけど……ま、いないって言ってるし怪しいけど信じてあげるよ。」
実際のところ、姫と離れて一年以上がたっているし、お互いに連絡も取り合っていない。別れているといってもいいと思った…。
「じゃあお互いフリーなわけだ。なら今日は遠慮なしで楽しもうねっ!」
「おうよ!初デートを満喫しよう。」
今のところ、なんかいいかんじだ。彼女と話してるととにかく楽しい。これが本当の恋っていうのかな…。
車は夜の高速を抜けて、目的地のお台場に到着した。