メリークリスマス
今日はクリスマス…。
かといって、今の私にはなんの変哲もないただの一日にしかすぎない。
だけれども、テレビをつければ世の中は恋人同士であふれている映像ばかりだ。私はそれらを見ていて、
やっぱりというか…普通というか…どうしても彼女の事を思い出してしまう…。
今頃は何しているのだろう…、俺とあんな別れ方して寂しくないのかな…、もうすでに他の男性と付き合いはじめているのかなぁ…、旦那さんにいじめられてないか心配だなぁ…、など考える事は全部彼女の事だった。
あんなに一方的に理不尽で別れを言われたのに、私はそれでも彼女の事が心配で仕方がなかった。まだまだ好きなんだなぁって思ってしまった。
出来る事なら彼女とやり直したい。これが正直な私の心うちであろう。
だが今の彼女に何かを言ってどうこうなるとも思えない……どうすれば………。
考えても仕方ない!なるようにしかならないのがこの世の中だ。少しはポジティブに考えなければ!
!!!突如聞き覚えのある電話の着信音……。
「はい…もしもし…。」
「やぁ。今何してるの?」
「何もしてないよ。」
「怒ってる?」
「いや…全然怒ってないけど…。どちらかといえば寂しいかな………。」
「ふ〜ん。怒ってないのか…。私は怒ってるよ。」
「なんで!?俺が理由?」
「それしか理由なくない?このタイミングで他に理由あるかね?」
「ご、ごめん…」
私は訳もわからず、つい謝ってしまった。
「なんであの後連絡くれないの?私はあなたからの連絡を待ってたんだけどさぁ…。もう連絡しないつもりだったの?」
「したかったけど…あんな感じで出て行っちゃったから訳わからずで…、きっと今しても余計逆なでするだけかなと思ってた。」
「そっかぁ…。私さ、この前は少し言い過ぎたと思ってます。ごめんね。でも嫌なものは嫌だったんだ…」
私には彼女が何を言いたいのかがよくわからない…。なんで電話してきたのだろう?仲直りしたいから?でもそんな風には到底思えない感じがする。
「いや、別に謝らなくていいけど…。ところでさ、なんで突然電話してきたの?もちろん電話かけてきてくれた事は嬉しいんだけど、姫ちゃんは今も怒ってるんでしょ?」
「まぁ怒ってないって言ったら嘘になるけど…。今日はクリスマスだから私と離れてて何してるのかと思ってただけ。もしかしたら誰かとワイワイやってるのかも気になってたから…。」
「こんな状態なんだから、外に行く事も難しいし…もし仮に誰かに誘われたとしても断ってるよ。」
「だとは思ってたけど、本当にそうでちょっと安心したかな。もしこれで遊びに行ってたら私、完全にあなたにブチ切れてると思うし。」
「もう俺の性格だってわかってるでしょ?俺はそういう事思ってても実際はしない人だよ………。」
「わかってるつもりなんだけど………、なんか腹たってきてしまって…。」
少しの沈黙をへて…、私は彼女に別れを言われた後に考えてた事を打ち明けた。
「うちらさ、しばらく逢わないほうがいいのかもね…仲直りしたってすぐ喧嘩してこんな状態になっちゃうしさ。どれくらい必要かはわからないけど、しばらくは距離あけたほうがいいのかもってあの後少し考えてた事があったんだよね。」
「それは私も思ってた。お互いそう思ってるならそうしよっか?」
「もし本当にお互い好き同士なら、例え離れてても大丈夫でしょ。その事を試す機会としても丁度いいんじゃないかな?」
中々彼女から返答が返ってこない………。
「姫?もし姫が耐えられなくて嫌なら普通通りに戻ってもいいけど、俺が今までみたいに普通に接しられるかはわからないけどね…、正直いうと、そうなれるか自信ないんだ俺。」
「わかったよ…。あなたの事そういう風にさせたのは私だから、私のわがままのせいだろうから……。」
「先に言うね。ごめん…。
今日はそうじゃないって言えないや。俺がこうなったのは多分だけど姫のせいだと思うよ…。」
「!?あぁそう!やっぱり私のせいだよね。そうだと思ってたけど、いざそう言われると………。」
彼女が爆発しそうだ。けど今回は私も下がれない。あんなにツライ想いをしたのだから……。
「そうだよ!全部姫のせいだ!俺にツライ想いをさせてるのは姫のせいだよ!。でもね、でもそれでも嫌いになれないし、本当に好きなんだ。だから離れても俺は姫の事を忘れないし、好きでいられる自信があるんだ!姫はどうなの?」
「知らないよ!そんな事…もういいです。わかりました。」
ブチ…。ツー…ツー…。
電話は切られた。
でもこれでいいんだ。
俺は間違ってない…。
後は運命に任せよう。
メリークリスマス…姫…。おやすみ………