自我崩壊
彼女が帰ったあと、静けさだけが私の部屋に残っていた。
これまで彼女と共に過ごしてきた時間は何だったのだろうか……。
あんな些細なやり取りで、こうもあっさりと終わりになってしまうのか…。
私は、考えれば考える程に彼女の事が余計わからなくなってきていた。
ついさっきまでは、逢いたかったと言い…、ものの数分後には別れを突き付けられた…。
頭の中はグチャグチャで、イマイチ正確な判断が出来ないでいる自分がいる。
そんな時に何故だかはわからないが、ふと思い付いた事があった。…これだ!
仕事も辞めようと考えてたし、一番の生き甲斐だった彼女もいなくなった。おまけに体調も芳しくはない。
ならいっそ、こんな人生はとっとと諦めて次の人生を楽しめばいいのではないだろうか…。
私はきわめて真面目にそう考え、それが一番だと感じていたのである。
だが人間という生き物は頭では考えられても、いざこうしようと思った時には結局その恐さに打ち勝てず、何も出来ないのが多くの人々だと自分も含め私はそう思えた。
結果、なんらかわりのない日常を送ってしまうのだ。前と違うのは彼女という存在が無くなったというとこぐらいか…
そのせいか、何か抜け殻のような存在になってしまった私自身…。毎日がただ起きて寝ての繰り返し…特に何をするという事もない。
この先楽しい事は待っているのであろうか…………。その頃の私には観るもの感じるもの、全てが悲観的な世界であった…