計画的な彼女
私は色々な事を考えたがどれも違うみたいだ。
彼女は泣きながら下を向き、ひたすら私がだす答えに首を横に降る。
「ごめん、俺の何がいけないの?仕事辞めてしまったことなの?それなら働こうと思えばすぐ復帰させてもらえるよ。今は療養してるだけ。」
この答えも違うみたいだ。
「それとも今日の会話の中で、また気に入らない事でも言ってしまったかな?」
これも違う………。その時私の中で何かが閃いた。でもこれが正解なら………、私はとりあえず関係ないと思いながらも言ってみた。
「まさかとは思うけど、ビートルの事?」
どうやら、そのまさかの事みたいである。彼女は首を縦に振った。
「ちょ、ちょっとまってよ。車が理由ってどういう事?」
彼女が久しぶりに口をひらいた。
「どうもこうもないよ…。なんでよりによって、あんなに変わった車買ったの?信じられないよ………。」
「え?なんで?見た目もカワイイし、俺に合ってるかと思って買ったんだけど…一度助手席に乗ってみてよ。凄く乗り心地いいし、友達にも凄く評判いいんだよ…。とにかく乗ってみてからでもいいんじゃない?」
「無理!あんな車乗ってたら人目にすぐ着くし、目立ちすぎるよ。それにあの車じゃエッチもできないよ。私の事ずっと好きだったって言うくらいならさ、私が以前どんな車が好きだったか知っているよね?」
私は返す言葉がない。
「確かに言ってたね…。好きな車の事。ごめん、でも俺だってさ、随分連絡なかったし、その間に色々とあったりもしたから……。もう終わりだと思ってた時期もあったし。」
「ふ〜ん。色々って何?」
「仕事はどうでもよくなって辞めたし、環境変えたくて別の職場で働いて、病気して入院して、車も代えた。それに今は一人暮らしもしてる。姫と別れてる間、忘れようと思って、他の人とも飲みに行ったりしてた。」
「そうなんだ。でもさ、それって全部私のせいなの?もしそうなら私はあなたのお荷物だからもう一緒にいられないよ………。」
随分と痛いところをついてきた。もしそうだとしても私には、はいそうですとはとてもじゃないが言えない。私の心理を知っているからこそ、やり方が上手いというか汚いと思ってしまった。彼女は私が絶対に、はいと言えない事を知っているからあんな言い方をしてきているのだ。今回は私の負けだった…。
「そんな事ないって!全部が姫ちゃんのせいじゃないよ。いいわけみたいな事言ってごめんなさい。」
私は続けた。
「あのさ、もしね、もしも俺が車代えるって言ったらまた付き合ってくれるのかな?それとも何してももうやり直せない?矛盾してるって言われても仕方ないけど、俺はまだ本当に姫ちゃんが好きなんだよ!じゃなきゃ一人暮らしだってしていないし、今日だって嫌いだったら指輪なんてしてこないよ。」
「ん〜………。私ね、今日は本当に仲直りするつもりで来たのね。それでさ、ここで夕飯食べてから、久しぶりにラブホ行ってエッチして、お互い朝まで気持ちを確かめ合いたかったんだ。これは私の本音です。
だから私も指輪してきたし、今日は実家に泊まるって言って出てきたの。
かっこよくなったのは本当の事だし、前よりオシャレになってるし、私がいつでも逃げれるように一人暮らしもしてくれてる。
でもね…、でも、あの車のせいで何もかもおしまいだよ!なんであんな車なんか………、なんで……。」
彼女は目を腫らしながら真剣な眼差しで私をみている。
泣いたり、怒ったり、今日の彼女は感情が表に凄い出ていた。
私に救いの道は残されているのだろうか……そして、ビートルを廃車にし、新しく、彼女の好きな車に代えればやり直してもらえるのだろうか?彼女の応えは…