天国と地獄
時間の経過としては、一年半。彼女がいないその間にも様々な事があったなぁと私は振り返りながら愛車のビートルで目的地まで向かう。彼女が指定した場所は決して人目につかないであろう、かなり遠くのピザ屋だった。
私の方が先に到着したみたいだ。ソワソワしながら彼女を待った。待つこと数分後、彼女がやってきた。
「久しぶり!思ってたより元気そうじゃん!」
久しぶりに目の前にする彼女は相変わらず私の目に可愛くうつった。
「久しぶりだね!姫ちゃんも元気そうだね。」
「まぁ、ぼちぼちかな…。…あれ?車代えたの?」
「うん。俺と一緒に前の車もガタきちゃってさ、おもいきって、これ買っちゃったんだよね。」
「ふ〜ん……………、まぁいいや、お店入ろうか。」
「うん。入ろう。」
どことなく車を見て、彼女の雰囲気が変わった様な気がした。気にしてもしょうがないので、とりあえず店に入る。
「なんか凄い痩せてない?最後逢った時とは別人みたいだよ。」
彼女がそう言うのも無理はない。私は彼女のストレスもあり、仕事のストレス、病気も伴って体重がかなり減っていたのだ。
「変かな?やっぱり前ぐらいの方が良かったかね?さすがに痩せすぎちゃったかな………。」
「ううん。凄くかっこよくなったね!今のあなたの方が私は好みかも。服もオシャレになったし、ホントかっこよくなったね!いいじゃん、いいじゃん!」
私が大体言われるのはカワイイで、かっこいいなんて言われた事が殆どなかったから凄くうれしかった。
「そ、そうかな?なんだか姫ちゃんに言われると凄く嬉しくて涙でそうだよ。でも、姫ちゃんも相変わらず凄く可愛いよ!」
楽しい…。正直この時間が楽しくて、愛おしくて仕方がない。やっぱり彼女といれる時間が私は最高で、彼女の事が大好きだと、改めて認識した。
私は言った。
「姫ちゃんさ、やっぱりこうやって二人でいると落ち着くし、癒されるし、とにかく楽しいんだよ。離れてもずっと好きだったよ!だから、もう一回やり直してもらえませんか?」
私はまた、元に戻れると自信を持っていた。だが彼女からは思いもよらぬ返答が返ってきた。
「………ごめんね。私はやっぱり無理だ。………ごめんなさい。」
………はぁ!?
私には理解が出来なかった。この前の電話ではお互いやり直せるって気持ちでいたし、今日久しぶりに逢ってみて、彼女は私の事をカッコイイし好みだとも言ってくれた。
それなのになんでその答えなのだろう………。
「なんでなの?理由がわからないよ。俺の事好きじゃないの?」
「好きだよ。今も大好きだけど………。質問していいかな?あなたは私の事、好きって言ってくれてるけどそれは本当なの?」
質問の意味が私にはよくわからない…。そんな事言われるまでもなく大好きに決まってる。なのに本当に好きなの?ってどういう事だろう………。
その場で彼女は泣き出した。久しぶりに見る彼女のその泣き顔は、私にさらに追い打ちをかけた………