刹(せつな)
[さっきは変なメールしてごめんね。心配させちゃったかな?大丈夫だから安心してね。おやすみ]
私は正直に見たまま言おうか迷っていた。とりあえず返信してみた。
[そうなんだ。良かったね。心配で心配で家飛び出しちゃったよ。おやすみなさい]
これで良かったのだろうか?私は頭がパンク寸前だった。あの光景を見るぐらいなら行かない方がよかった……。ブルブルブルブル…携帯がなった。
[もしかして見てたの?]
私は迷ったが正直に答えた。
[うん。首絞められてるあたりからね…急いで止めに行こうと思ったら………これ以上は言いたくない。でも、生きててくれて良かった。]
私は見た事ありのままを伝えた。数分後、
[そっか…ホントに助けに来てくれてたんだね。ごめんね。嫌な物見たよね…でも、私の意思じゃないの!無理矢理ああなったんだよ…信じてください。本当にごめんなさい。]
私は彼女の言葉を信じてみようと思った。
[もう謝らなくていいよ。俺は信じるからさ。だから、もう遅いし今日は疲れたろうから寝なさい!]
[ありがと。でも嫌な思いさせて本当にごめんね。明日絶対逢おうね!せっかくの誕生日だったのにツライ思いさせてごめんなさい。おやすみなさい。]
私はそれ以上返信はしなかった。私の彼女に対する気持ちは全く変わらないが、どことなく虚しさが漂っていた。いくらこっちが好きだとしても、夜になれば彼女は家族の下に戻ってしまう。これはどうしようもない事実だ。私は彼女の事が欲しくてたまらなくなった。出来る事なら結婚して、子供とも仲良くして毎日楽しい家族生活を送りたいと思っていた。でもこの先もその夢は叶う事はない。当時の私はいつか、いつかと思い、それを励みに彼女と付き合っていた。その励みも潰されると知らないままに………