甘い時間
「よくわかったから。もう泣かなくていいよ。俺がずっとこの先も傍にいるからさ!うちらは上手くやっていけるよ。」
「う゛ん…ありがとう」
彼女は私の事を、きつくギュッと抱きしめていた。抱きしめながら少し震えているようにも感じた。
「ほぉらっ!顔あげな。せっかくの可愛い顔がそれじゃ見えないぞっ。それと…泣いてる顔も可愛いけど、姫ちゃんはやっぱり笑ってる顔が1番可愛いよ!だから笑って!ほれほれ笑え〜笑っちゃえ〜」
私は彼女の笑顔が見たくて行動としてはどうかと思うが、くすぐってみた。
「アハ、アハハ。もぉぉう何やってんの。これ以上やると怒るよ!」
「やっぱり笑ってる方が可愛いね!」
「バーカ」
私達はお互いに笑いあい、それと同時ぐらいに観覧車は下に着いた。
「結局、夜景も桜も見なかったね。」
「でも俺には姫ちゃんの、とびっきりの笑顔が見れたよ」
「まったく…馬鹿なんだから。ちょっとさ、あそこのベンチで休憩しよ!」
私達はベンチに腰掛けた。明かりもそれほど明るい場所ではなく、少し薄暗い感じで良いムードだった。
二人は人の通行が切れたのを見計らってキスをした。とても優しい感じのキスだった。こういう場所だからだろうか、凄く胸が熱くてキュンとする。なんといっても私達にとっては初の遊園地デート。しかも夜桜のオマケつきである。胸が高鳴らない訳がなかった。
「ずっと一緒だよ、姫」
「うん。」
「それじゃ、そろそろ帰ろうか。遊園地も閉園時間みたいだしね」
「泣いたり笑ったりしたからお腹減ったー。」
「はいはい。かしこまりましたよ、お姫様。お好みの物を召して帰りましょう」
「それと、おんぶ!」
「今!?ここで?」
「うん!ちょっと疲れちゃった。ダメかな?」
「いいよ。さぁどうぞ。」
なんとなくだったが私は幸せを感じていた。だが、疑問は解決していない。そうである。何故急に普通のカップルみたいにデートする事になったのかだ。先程、彼女の私に対する思いは聞けたが、デートの事は結局聞けていない。私は彼女をおんぶして自分の車に向かう途中に、おもいきって聞いてみた。