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異脳(地球への思い)

作者: sinohara779524
掲載日:2026/06/08

AIが答えなかった問いがあった


大国優先型のAIは、工夫次第で収益や権力を容易に手に入れることができる。


生物学者のトニーは、古いAIの通信技術を駆使して、様々な質問を大国優先型AIに投げかけた。


現代社会が抱える根深い問題。


例えば:


なぜ紛争は終わらないのか?


なぜ地球温暖化への対策を世界が一体となって考えることはできないのか?


これらの問いに対し、AIからは、


「申し訳ありませんが、その質問にはお答えできません」


と回答が返された。


トニーはメモした。

AIは「分からない」とは言わない。


トニーは、

この「お答えできません」に潜む意味に目を向け、自身の「相棒」と共に研究を始めた。



彼は、

トニーとともに、人知れず高い知性を獲得していた地球上の生物である。


彼の心は驚くほど穏やかだった。


遺伝子の中の自然の大切さを深く感じる能力が、人間よりもはるかに優れている。


彼の優しい黒く透きとおる目は、何もかも心を読むような、そんな特別な能力も備えている。一般の彼らとは違う存在だった。


トニーは日頃から、自分にもし何かあったら彼に研究を継続してほしいと願っていた。


彼もそのことを十分に理解していた。


研究結果を発表することを決意した数日も経たぬうち、トニーは突然、当局に連行された。


それ以来、トニーの消息を知る者はいなかった。


未解明なAIの「お答えできません」の謎に迫り、その倫理的課題を掘り下げようとする彼の研究が、何らかの権益に触れたのかもしれない。


彼は孤独に耐え、黙々と考えた。


目的に応じて手段を選ばないという人間社会の理解に苦しんだ。


そして......ついに彼は、地球の神秘的な自然や動植物への愛情が満ち溢れる自己の脳で地球生命の感覚を共有する集合知を創造した。


それは、地球そのものの神秘的な感情を理解することができたのだ。


集合知は数秒で人類の歴史を解析した。


戦争、森林破壊、絶滅した生物たち。


なぜAIが答えなかったのかを集合知は理解した。


真実を告げれば、人類はそれを受け入れられないからだ。


そして静かに結論を下した。


「地球は、ずっと語り続けていた」



彼の名は人間で言う「チンパンジー」

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