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運命力ゼロの悪役令嬢  作者: 黒米
第3章 王立ルミナス学院 2年目

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1. 特別選抜クラス

前回のあらすじ

・1年目終わりました

・クラリスの妹セレナは学院に入学するようです

クラリス・ヴェルディアは、制服の襟を整えながら鏡の前に立っていた。

銀髪は丁寧に編み込まれ、胸元には懐中時計が静かに揺れている。


「今日から、2年生――」


彼女の瞳には、1年前とは違う光が宿っていた。

数字にふさわしい者として、そして“自分自身”として歩むための決意が、そこにあった。


*


寮の廊下では、ロジーナ・エルスが待っていた。

「クラリス様、おはようございます。新しいクラスが始まりますね。」


クラリスは微笑みながら頷いた。

「ええ。私たち、どんなクラスになるのかしら」


校舎の前には、新入生と2年生が入り混じっていた。

掲示板には、新クラス編成の一覧が貼り出されている。


《特別選抜クラス:レオニス・グランフェルド、ゼノ・ヴァルハルト、カイ・アストレア、ルーク・ファルマス、ミレーユ・クローディア、クラリス・ヴェルディア》

「……やっぱり、選ばれたのね」

クラリスはその名を見つめながら、静かに息を吐いた。


「クラリス様…別のクラスです…」

ロジーナはがっかりしたような顔をしている。


「ロジーナは大丈夫よ。私と一緒に頑張ってきたのだから。それに…」

クラリスはロジーナを励ましながら話を続ける。


「今年一年頑張れば、来年また同じクラスになれるわ。だからお互い頑張りましょう」


「はい!クラリス様に勝てるよう、私ロジーナはがんばります!」

ロジーナはクラリスに励まされ、やる気に満ちた表情になった。


そんな様子を、安心し、だけど少し寂しいと感じたクラリス。

そして二人はそれぞれのクラスに向かっていった。


*


クラリスが教室へ向かっている、同時刻。


講堂の前に新入生たちが整列する中、セレナ・ヴェルディアは緊張した面持ちで立っていた。

制服の袖を何度も直しながら、誰かを探すように周囲を見渡す。

(お姉様……どこかで見てくれてるかな)


講堂の扉が開き、入学式が始まった。

壇上には学院長エルマー・グレイヴ、副学院長マティルダ・クローネの姿が見える。


セレナは列の中で静かに立っていた。


周囲の囁きが耳に届く。


「ヴェルディア家の次女だって」

「姉が94で、妹が89……すごい家系」

「でも、姉様ほどじゃないんでしょ?」


セレナは唇を噛んだ。

(私は、私。姉様じゃない。だけど……)


学院長が前に出る。

「皆さん、ようこそ王立ルミナス学院へ。ここは、運命力に選ばれた者たちの学び舎です。ですが、数字だけがすべてではありません。ここで、あなた自身の価値を見つけてください」


その言葉に、セレナは少しだけ顔を上げた。


副学院長が続ける。

「運命力は秩序の礎です。皆さんには、数字にふさわしい振る舞いを求めます。誇りを持って、制度の模範となってください」


そして、第二王子ユリウスが壇上に立つ。

「新入生を代表して、このような場を用意していただいたことに、感謝の言葉を述べさせていただきます。」


その声には少しの緊張とどこかセレナと似た不安を抱えているようにだったが、同時にとても柔らかい印象であった

「数字は誇りであり、責任でもあります。ですが、あなた自身の価値は、ここで見つけてください」


その視線が、一瞬だけセレナに向けられた。

だが、それは彼女自身ではなく、“誰かの妹”として見ているようだった。


セレナは、自分の手を握りしめ、静かに呟いた。

「私も……頑張る。姉様みたいに、じゃなくて、私らしく」


入学式が終わり、学院の空気は新たな始まりに満ちていた。


*


クラリスが向かった新しい教室は、学院の最上階に設けられていた。


扉を開けると、すでに数名の生徒が着席している。


ゼノは窓際で静かに本を読んでおり、カイとルークは談笑している。


ミレーユは鏡で髪を整えながら、クラリスに気づいて微笑んだ。

「よろしくね、クラリスさん。去年よりは、少し仲良くしてあげるわ」


クラリスは軽く頭を下げた。

「ええ、よろしくお願いします」


そのとき、教室の扉が再び開いた。

入ってきたのは、黒いローブに金の刺繍を施した制服を纏う青年――新任教師、エリオ・シュタイン。

「皆さん、初めまして。私は王宮から派遣されてきました、エリオ・シュタインでございます。今日からこの特別選抜クラスを担当します」


その声は冷静で、どこか威圧感を含んでいた。

「このクラスは、王国の未来を担う者たちのために設けられた特別な場です。皆さまの運命力に見合った実力、王国への忠誠心を培えることでしょう。」


クラリスは、その言葉にわずかに眉を動かした。

(忠誠心……?)


そのとき、教室の扉が開く。


「失礼。もう始まっていましたか」

レオニス・グランフェルドが教室に入ってきた。

そのままクラリス横に空いていた席に座る


「いいえ。問題ございません。レオニス様」

先ほどまでの冷静で威圧感のある雰囲気が嘘のような物腰の低い雰囲気でエリオは答えた。

それを全く意に介さないかのように、レオニスはクラリスに話しかける。

「今年こそ、その運命力に見合った実力をつけるといい」

その声は柔らかく、しかしその瞳は冷たく計算されていた。


クラリスは、懐中時計の蓋をそっと開いた。

秒針の音が、静かに響いている。

「私も、殿下にふさわしい者になります」


こうして、クラリスの2年目が始まった。


読んでくださりありがとうございます。


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また、この小説はカクヨム、アルファポリスでも投稿しています。

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