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運命力ゼロの悪役令嬢  作者: 黒米
第2章 王立ルミナス学院 1年目

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6. 試験結果

前回のあらすじ

・試験があるらしい

・試験勉強しなきゃ

・試験終わりました

放課後、学院の廊下には試験結果の発表を待つ生徒たちのざわめきが広がっていた。

クラリスはロジーナと並んで歩き、掲示板の前へと向かう。


「緊張しますね……」


ロジーナが小声で言う。


「ええ。でも、やるだけのことはやったわ」


クラリスは背筋を伸ばし、掲示板の前に立った。

春学期学力試験の順位表が貼り出されている。


名前と順位、そして得点が並ぶ。

クラリスは目を走らせる。


第5位:クラリス・ヴェルディア(得点:382点)


「……5位」


クラリスは思わず呟いた。


「すごいです!クラリス様!」

ロジーナが目を輝かせる。


クラリスは頷いた。

(特待生として、最低限の結果は残せたわ。でも、上にはまだ4人いる……)

そのときだった。


「君がクラリス・ヴェルディアか」

低く、よく通る声が背後から響いた。

振り返ると、二人の少年が立っていた。


周囲がざわつく


一人は、漆黒の髪にクラブのピンバッジを制服の襟元に光らせた少年。

もう一人は、金髪でハートの刺繍入りハンカチを手にした少年。

「僕はカイ・アストレア。こちらは、ルーク・ファルマスです。」


「クラリス・ヴェルディアです。こちらは友人のロジーナ・エルスです。」

アストレア家にファルマス家。ともに王国の4大貴族に入る名家が何の用だろうとクラリスは考える。ロジーナは後ろで小さくなっている。


すると、ルークと紹介された少年がクラリスに一歩近づき、口を開いた。

「で?あんたがレオの婚約者おんなか?」


ルークはまじまじとクラリスをにらみつけながら続ける。

「なんでこんな運命力以外何もなさそうな奴をレオは選んだんだ?なぁ、カイ?」


「ルーク。初対面の相手にそんなこと言ってはいけませんよ。」


「でもなぁ。見てみろよ。試験結果も俺らのほうが上だぞ?」

ルークは順位表を見ながら言った。


<第2位:カイ・アストレア(得点:398点)>

<第3位:ルーク・ファルマス(得点:391点)>


カイも順位表を見ながら言った。

「国王が決めたことですから。それにあまり我々と比べてはかわいそうですよ。運命力も学力も一般的に見たら、とても素晴らしいのですから。」


友人へのあまりの言いっぷりにさすがに我慢ならなかったのか、小さくなっていたロジーナが反論しようとする。


そこに二人の少年の後ろから少女が現れた。

「出遅れましたわ。順位表、もう貼り出されたのね。二人とも声くらいかけてくれる?」


栗色の髪を揺らし、ダイヤ型の髪飾りをつけた少女が歩いてきた。

「また二人に負けたわ。ところで何を話して…あら、そちらの方は…?」

その少女はクラリスに気付いて声をかける。


「クラリス・ヴェルディアです。」


「レオの婚約者の方ね。私はミレーユ・クローディアよ。よろしくね。」


<第4位:ミレーユ・クローディア(得点:386点)>


そして、ミレーユは二人に尋ねる。

「それで何の話をしてたのよ。あんまりいい空気ではなさそうで、出てきてしまいましたが。どうせルークが余計なことを言ったのでは?」


そういわれ、少し怒ったようにルークは言い返す。

「そんなこと言ってねえよ。レオの婚約者おんながいたから、運命力以外になんかあるのか直接確かめてただけだ。余計な事っていうなら、カイのほうがだろ。」


「いいえ、私は別に、ただ凄いですねと褒めただけですよ」

カイは冷静に、そう答えた。


答えを聞いたミレーユはあきれたように言った。

「二人とも同じよ。ごめんなさいね。二人とも悪気はないのよ。後ろのあなたもあまり怒らないで」


突然の出来事に呆気に取られていたロジーナは、ハッと我に返り、また小さくなる。


クラリスは少し驚きながらも、丁寧に頭を下げた。

「いえ、私も運命力以外で何か誇れるものができるよう努力します。」


「ええ。頑張ってね。上には上がいるからね。」

ミレーユが視線を掲示板の最上位に向ける。


<第1位:レオニス・グランフェルド(得点:400点)>


クラリスも順位表を見ながら、言った。

「そうですね。レオニス様は凄いですね」


すると突然声が聞こえた。


「誰か私を呼んだかい?」


そして、人ごみの中から最後に現れたのは――第一王子、レオニス・グランフェルド。

彼の隣には、もう一人の少年がいた。


「どうしたのだ。カイにルーク、それにミレーユ。皆集まって。そして、クラリス、君もいたのか。」

そうレオニスは呟いた。


「ええ。ちょうどレオの婚約者に、ご挨拶をしていたところです。」

何事もなかったかのようにカイは言った。


「そうか。確かに紹介してなかったかな。それではもう一人紹介しておこう。隣にいるのが、ゼノ・ヴァルハルトだ」

レオニスに紹介されたゼノは無言で頷いた。銀髪に冷たい瞳、手にはスペードの紋章が刻まれた黒い手袋をはめている。


<第6位:ゼノ・ヴァルハルト(得点:377点)>


「クラリス。君はよくやった。だが、君の運命力にまだ色々なことが追いついていない。僕の隣に立つには、もっと高みを目指すべきだ」

順位表を見ながら言ったレオニスの言葉は、静かに、しかし重く響いた。


クラリスは、彼の瞳を見つめながら答えた。

「ええ、殿下。私は、数字だけではなく、実力でもふさわしい者になります」


その言葉に、ゼノがわずかに目を細めた。


「さて、そろそろ戻りましょうか。先生に怒られるのも嫌ですし。」

カイがそう言うと、レオニスたちは教室のほうへ戻っていった。


「すごい人たちでしたね。」

しばらく小さくなっていたが、元に戻ったロジーナは言った。


「まさか4大貴族の方々が同学年にいたのね。」


そういったクラリスにロジーナが少し驚いたように言った。

「え?知らなかったんですか?今年は、第一王子のレオニス様、そしてクラリス様に加え、4大貴族のカイ様、ルーク様、ミレーユ様、そしてゼノ様が入学するということで、学院の倍率が過去最大で高いと話題になってましたよ。」


「そうなのね。また会うでしょうし、次の試験では負けたくないわ。また言われてロジーナが怒って大変なことになっては良くないもの。」


「わわ忘れてください。でも、クラリス様も何か言い返さなくて良かったのですか?」


「いいのよ。まだ足りていないのは事実ですもの。」


その言葉にロジーナはあまり納得していない様子だった。


「それより、私たちも教室に戻りましょう。」

クラリスはそうロジーナに言い、二人は教室に足早に戻っていった。


読んでくださりありがとうございます。


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