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三章 †降り注ぎし光†

 † † †



 ヴァリアール王国中心部・首都ヴァリオス。

 高層ビルが建ち並び、その人口は五百万人を超える。


 深夜一時を回っても街の明かりが途絶えることのないこの都市を、日が沈んだ直後に暗闇が支配する。

 そんな光景は住民たちの誰も想像していなかったことだろう──昨日までは。

 昨日正午から王国の各都市で同時に始まった魔族の進軍は、本日午後三時を回った頃、このヴァリオスにも及んだ。

 首都の防衛だけあって陸軍もかなりの戦力を投入し、しばらくは拮抗していたが、幹部格と思しき一人の魔族の参戦によって戦況は一気に傾いた。さらに魔族の攻撃により電力供給は途絶え、交通は麻痺。そうでなくとも周囲の都市の多くはすでに魔族の手に堕ち、逃げ場などない。

 辛うじて軍隊が抗い続ける戦闘音と、行く宛もなく逃げ惑う民の悲鳴だけが、闇の中に響いていた。

「くっ、この暗闇では敵が捕捉できません!」

「気を付けろ!無闇に撃てば市民に当たりかねんぞ!」

「ぎゃああああっ!うっ、腕がっ!俺の腕がぁぁっ!」

 どうやら魔族は夜目が効くのか、日が沈んでからは常に一方的な攻撃が続いている。


「チッ……(よえ)え、弱えぞ人間ども!ちったぁ骨のあるヤツぁいねえのか!?」


 中でも圧倒的な力で他を寄せ付けず、銃弾をも素手で弾き、血に飢えた獣のように戦場の真ん中でそう叫ぶのは、たった一人で戦況を変えた魔族の幹部格と思しき男だ。

 ハリネズミのように逆立った白い髪、その頭の両脇には大きなヤギのようなツノを携え、筋肉質な体に直接着た黒いジャケットから露出した胸には、黒い蛇のような刺青が入っている。

「……つまらねえ。魔力すら使えねえカスどもじゃ、それも当然か」

 男はもう飽きたとばかりに、転がった兵士の死体の上に腰掛け、獣型の魔族によって蹂躙されていく人々を傍観する。

 その時、突如として、鈍い音と共に男は()()った。

「あぁ?」

 その額から、たらりと血が流れる。


「頭部に命中……出血を確認。しかし致命傷には至っていません」

 五百メートル程離れたビルの窓から、スナイパーライフルを持った一人の兵士がスコープを覗き込んでその様子を確認し、無線で報告していた。

「出血──そうか、やはりヤツらは戦闘中、何か障壁のようなものを張っているのだ。だから意識外からの狙撃には対応できなかった……狙撃を続けろ」

 軍は別の都市での報告により、魔族の幹部格は攻撃を完全に無効化するという情報を得ていた。そこから立てた仮説は正しかったのだと、上官は確信する。

「了解」

 兵士は指示に従い、再び狙いを定める。

「チッ、スナイパーか。面倒臭え……だが、(ちけ)えな」

「なっ……」

 そのスコープに映った男の視線が自分に向いていることに気付き、思わず兵士はスコープから目を離す。

 が、動揺している場合ではないとすぐに気持ちを切り替え、場所を移すためビルの階段へ向かった。

 しかし兵士が階段に達する前に。


「よう、いいモン持ってんじゃねえか!」


 轟音と共にビルの壁を突き破り、魔族の男は兵士の前に現れた。

「ひぃっ!」

 兵士は(きびす)を返して逃げ出すが、僅か数秒で五百メートルの距離を詰めてくる化け物から逃れられる訳もなく。

 次の瞬間には、拳に打ち抜かれて兵士の頭部は吹き飛んでいた。

「お?こりゃ何だ?」

 と、男は兵士の落とした無線機を拾い上げると、「こうか?」と送信ボタンを押す。

「あーあー、聞こえるかぁ?こちらバレット」

「な、何者だ!」

 上官は慌てた様子で応答した。

「おお、通じた。何者ってテメエ、名乗っただろうが。俺はバレット。魔族だ」

「お前たちは……一体なぜこんなことをする!?こんな……市民を大勢巻き込んで、闇の中から攻撃を仕掛けるなど……卑怯だとは思わないのか!?」

「クククッ、平和ボケしてんなぁ。戦争なんてのはいかに有利な状況に持ち込むかだろうが。大体コソコソ隠れて狙撃なんかしてるヤツらに、卑怯だ何だと言われる筋合いはねえよ」

「……お前たちの目的は何だ?」

「目的?そりゃ地上の支配だろ。ライザー様がそう言ったろ。テメエらにゃ届いてなかったか?」

「その先の話だ!何のために支配などする!」

「知るかよそんなモン」

 バレットと名乗る男は、呆れた顔で投げやりに答える。

「だがまあ、一つ教えといてやるよ……暇だしな。魔族(おれら)の行動原理は常に、自分の意思だけだ。食いてえから食う。壊してえから壊す。戦いてえから戦う。殺してえから殺す。ライザー様は俺らん中でも規格外すぎて何考えてるのかなんか知らねえが、それでも根っこは同じ魔族だ。そう考えりゃあ、なんで侵略するのかも分かる気がするぜ」

「どういう意味──」

 その返事を最後まで聞く前に、バレットは無線機を握り潰し、粉々になったその残骸を投げ捨て。

「気に食わねえからだ」

 と、誰に言うでもなく一人呟き、にやりと笑った。


 次の瞬間。

 大爆発が起こった。

 ビル全体の窓という窓が一瞬にして割れ、閃光と爆炎が噴き出す。壁面は内側から砕け、塵と煙によって周辺の景色は白く掻き消されていく。

 そしてやがて、ビルは轟音と共に崩れ去った。


「や、やったか!?」

 その様子を三百メートル程離れた別のビルの屋上から、口髭を蓄えた中年の兵士──先程までバレットと通信を行っていた人物が、双眼鏡で確認する。

 スナイパーの居場所がバレて敵に接近された際、自身は即座に退散し、敵だけを返り討ちにできるようにと、(あらかじ)めビルの内部にいくつもの爆弾を仕掛けていたのだ。実際はあまりにも接近が早すぎて退散する暇もなかった訳だが、遠隔操作によりこの上官が起動させたようだ。

 瓦礫と煙によってバレットの姿は確認できないが、まともにあの爆発を受ければどんな生物も生きては帰れないだろう。

 そのまましばらく観察を続けるが、動きはない。

 ついに仕留めたかと安堵し、ふう、と息をつく。


「クククッ、そんなこったろうと思ったぜ」


 バレットは兵士の背後に現れた。

「な……何だと……!?」

 着ていたジャケットは焼け焦げてボロボロになっていたが、その全身には多少の火傷はあれど、大きなダメージはないように見える。

「よく人に向かって卑怯だとか言えたもんだ。可哀想になァ、あれじゃ死体も残らねえだろうぜ」

「き、貴様なぜここが分かった!」

 兵士はすぐさま振り返って銃を構える。

「俺は魔族だぞ?魔力で探知くらいできる」

 言いながら、バレットは一歩、また一歩と兵士へ近付く。

「くっ、来るな!」

 兵士は反射的に発砲し、弾丸は右胸に命中する。

 しかし弾丸はその皮膚に傷一つ付けることもできないまま、ひしゃげて落ちる。

「くそっ!くそおおおおっ!」

 そのまま銃を乱射するが、バレットの体に当たった弾丸はことごとく、甲高い金属音を立てて明後日の方向へと弾かれていく。

 表情一つ変えず、抗いようのない災害の如く。

 そのまま一瞬たりとも怯むことなく兵士の眼前に辿り着いたバレットは、右手で顔面を鷲掴みし。

「ククッ、捨て駒にした部下に、あの世で詫びて来るんだな」

「ま、待っ──」

 リンゴのように握り潰した。

 血飛沫と肉片が飛び散り、残った体はそのまま仰向けに倒れる。

「けっ、くだらねえ小細工ばっかしやがって。本当にいねえのかよ、まともに戦えるヤツは……」

 バレットは顔についた返り血をジャケットの裾で拭うと、屋上の端に立って、街を見下ろす。

 暗闇の中から聞こえるのは、やはり悲鳴ばかりだ。その光景をバレットは退屈そうに眺める。

 そこへ。


「強いヤツがお望み?だったらあたしたちが相手になるわ!」


 力強い女の声が響いた。

「誰だ」

 バレットは声の方を振り返り。

「うおっ!?な、何だァ!?」

 目を見開いて、思わず叫ぶ。

 バレットのいるビルより少し高い、すぐ隣のビルの二十メートル程上空に、直径八メートル程の円盤が、側面をチカチカと発光させながら浮いていた。まさしくそれは人々の思い描く、"UFO"そのものだ。

 その底面の中心部から、そのビルの屋上へとスポットライトのように一筋の光が降り注ぐ。

 そして地面を照らす光の円の中に、突如として二つの人影が浮かび上がった。

 光が少しずつ細くなって消えると同時に、その正体が露わになる。


 まさに──宇宙人。

 顔は人間のそれにかなり近いが、瞳は大きく、青白い光を放つ。その体はまるでトゥーン調にデフォルメされたかのように、ひょろりとした華奢な体の肘から先と膝から下のみが、風船のようにぷっくりと膨らんでいる。

 頭にはヘッドホンに似た大きな機械を装着。体には、ぴったりとフィットしたメタリックシルバー生地の宇宙服を着用し、胸、肩、腰骨の左右、膨らんだ前腕と足の部分には、青白く光るラインの入った装甲が取り付けられている。

 そして右肩の装甲には、"O"の字にぐるりと衛星が回っているようなロゴが刻まれていた。


「な……何者(なにもん)だテメエら……」

 バレットは困惑した様子で訊く。

「銀河機関"オルデナ"所属、マルテ・エトルキズ」

 肩に掛かるほどのサラサラの金髪で中性的な顔立ちだが、低めの声と装甲のデザインから男と思われる宇宙人の一人は、静かにそう名乗る。

「同じく、あたしはリオ!ガルンビカイナ人よ!」

 続いて、自信溢れるハキハキとした口調で名乗ったのは、右隣の女性宇宙人。

 マルテと同じく金髪で長さも同程度だが少しクセがあり、後ろの毛先が外側にピンと跳ねている。ヘッドホンのような機械の他にゴーグルのようなものも額に乗せ、さらに胸部装甲のデザインも男のものと異なっており、細い体とは不釣り合いに膨らんだ胸のためか前側が大きく開いている。

「ガル……?何だそりゃ」

「ガルンビカイナ!惑星ガルンビカイナっていう星から来たの!」

「……要するにテメエらも余所者かよ」

「まあそう言われたらそうね。でもこの星はあたしたちにとっても特別なの!ていうか、オルデナはどこだろうと関係ない!銀河の平和を乱すヤツを捕まえるのが仕事なんだから!」

 そう、お前のようなヤツを!と言わんばかりに、リオはバレットに向けて指を差す。

「ほぉ……」

 バレットはようやく骨のある相手が来たかと、期待する笑みを浮かべる。


「マルテくん、リオくん、そいつは任せるよ!僕は下の魔獣たちを排除してくる!」


 UFOのどこかにスピーカーがついているのか、二人より歳上と思しき低い男の声が上空から響く。

 UFOを操縦している、彼らの仲間だろうか。

「了解」「オッケー!」

 二人が同時に返事をすると、UFOは側面の光を消し、そして夜空に溶け込むようにUFOそのものも姿を消した。恐らくステルス機能があるのだろう。

「あんたが報告にあった魔族の幹部ね。悪いけど逮捕するわ!」

 リオはそう言うと、額のゴーグルを下ろし、装着する。

「逮捕だぁ?クククッ、強そうにゃ見えねえが……いいぜ、来いよ!少しは楽しませてくれるんだろうなァ!?」

 バレットは人差し指と中指をくいっと曲げて、挑発的に手招きする。

 しかし二人はそこから動く様子はない。

「あ?何してやがる……来ねえのか?だったらこっちから行くぞ!」

 と、強く地面を蹴り、バレットは一瞬にして二人の眼前へ接近する。

「楽しませるって、あんたねえ……悪いけどもう終わりよ!」

「あぁ!?」

 バレットの拳が届く寸前、空中に光の網目が瞬時に現れて無数の六角形が組み合わさり、ハニカム構造のバリアとなって拳を阻んだ。

 さらにその直後、バリアはバレットを囲むようにドーム状に拡張された。

「ククッ、こんなモンで捕らえたつもりかよ!」

 床を殴って破壊し、下の階へ抜け出そうとしたが。

「バーカ、無駄よ!そんなんで逃げられるわけないでしょ!」

 足元にも同じように、六角形の組み合わさった光が張り巡らされ、バレットの脱出を阻止した。

 バリアはドームではなく球形となって、全方位を封じ込めていたのだ。

「チッ!クソッ、こっから出しやがれ!」

 バレットは何度もバリアを殴りつけるが、バリアはびくともしない。

「ふん、何よ!幹部ったって大したことないわね!今までに戦った魔人たちと変わらないわ!これならあたし一人でも良かったんじゃない?あんたなんにもしてないし」

 リオは余裕綽々とマルテに喋りながら、ゴーグルを上にずらして元の位置に戻す。

 バレットを捕らえたバリアの周りにはさらに四重のバリアが展開され、より強固な檻と化していた。

「さ、イラルギの加勢に行きましょ」

 イラルギというのが、先程UFOから話しかけてきた男の名前なのだろう。

「待て」

 と、これまで口をつぐんでいたマルテが口を開く。

「どうしたの?」

 眉を顰め、首を傾げるリオ。

「まだだ」

 マルテはバリアの中で動かなくなったバレットを見つめる。

 暴れる気力を失ったのだろうとリオは警戒を解いていたが、マルテは違和感を感じていた。


「ククク……言ったろ……こんなモンで……俺を捕らえたつもりかよ!!」


 次の瞬間、腕の一振りによって五枚のバリアは全て貫通され、そこから波紋が広がるように砕け散った。

「そんな!嘘でしょ!?ミサイルでも防ぐ──」

「死ね!」

 光の塵となって消滅したバリアの檻から解放されたバレットは、一瞬にして距離を詰め、リオの胸部をその拳で貫いた──かに見えたが。

「あ?」

 まるで空を切ったかのように何の手応えもなく、そして確かに腕が貫通しているリオの体も、出血すらしていなかった。

 直後、リオとその隣のマルテの姿が、電源を落としたモニターのごとくにぷつりと消える。

「何だ──」

 バレットが何が起きたのかも理解できないうちに、再びその周囲にバリアが出現する。

「チッ、つまらねえんだよ!効かねえっつってんだろ!」

 と、再びそれを拳で粉砕する。

「エネルギー密度を最大まで上げたんだがな……"結界(エスクトゥ)"はもはや無意味か」

 上から聞こえたマルテの声に、バレットは視線を上げる。

 そこには、各部分の装甲の青白いラインから光の粒子を放出しながら、リオを抱き抱えて宙に浮くマルテの姿があった。

「あ、ありがとマルテ……助かったわ」

「気にするな。敵に集中しろ」

 と、マルテはリオを降ろし、リオはそのまま自身の装甲によって浮遊する。

「何をしやがった?」

 無傷のリオの体を見て、バレットは訊く。

「"虚像(イーツァル)"──お前は残像を殴っただけだ」

 軽く説明しながら、マルテは両手の人差し指と親指で四角形を作り、バレットの姿をその中に収める。

「要は分身みてえなモンを作ったのか。で?今度は何だ?」

「"(ガルツェル)"」

 呟くと、今度はバレットを格子状の光の立方体が取り囲んだ。

「あぁ?またこれかよ、くだらねえ!」

 バレットは三度(みたび)、拳で破壊を試みる。

「やめておけ」

「ぐあああああっ!?」

 その瞬間、バレットの全身に衝撃が走った。

「よく見ろ、それは結界(エスクトゥ)じゃない。その(ガルツェル)に攻撃を加えようとすれば、その瞬間に電撃が流れる。お前の体の火傷から、物理的な攻撃より炎や雷といったプラズマ攻撃の方が有効なのは明白だ。もう諦めろ。下手をすれば死ぬぞ」

 マルテは淡々と言う。

 しかしバレットは感電し痙攣しながらも、戦意は削がれることなく、その目はマルテへと向いたままだ。

 マルテもその目を逸らすことなく、睨み合いが続く。

 しかし当然ながら、一方的にバレットのダメージは蓄積していき。

 そして。

「……く…………そっ……」

 痙攣していたバレットはついに体から煙を上げながら、前のめりに倒れた。

「き……気絶したのね……倒れるまで戦意喪失しないなんて、なんてヤツ……」

 リオはその姿に恐怖を感じていた。

 冷静なマルテも流石に内心では肝を冷やしていた様子で、ふう、と小さく溜め息を漏らした。

「行くぞ」

「ええ」

 二人は今度こそ終わったと確信して背を向け、そのまま装甲の浮遊機能によりビルの下へ降りようとしたのだが。

 ゴキン、と嫌な音が響く。

「ば……か……な……」

 バレットがマルテの首を、後ろから右手で掴み上げていた。

「馬鹿はテメエだ。あんなモンで終わらせた気になってんじゃねえぞ」

 マルテの体はだらんと力を失って垂れ下がり、口からは泡を吹きながら、瞳と装甲から放っていた光が、徐々に消えていく。

 それは、生命活動が停止したことを表しているのだろう。

「え……マ……マルテ!嘘……嘘よ!なんで!どうして……!?」

 その唐突な死に、リオは頭を抱え、パニック状態に陥る。

「なんでもクソもねえよ。確かに面倒だったが、あの程度の電撃なんざちょっと我慢すりゃ耐えれる。檻自体はさっきのバリアより脆かったしな。簡単に壊せたぜ」

「そん……な……」

 リオは悲しみと恐怖と混乱によって、大粒の涙を流していた。

 ──つまらねえ。この程度で戦意喪失かよ。とっとと終わらせて、魔獣どもを倒しに行ったもう一人の仲間を追うか。

 などと考え、バレットは完全に光を失ったマルテの死体をビルの下へ投げ捨てると。

「じゃあな、異星人」

 リオの方を見て言いながら、拳を振り上げる。

 だが。

 その拳が、振り下ろされることはなかった。

 いや、正確には自ら攻撃をやめたのだ。

「え……」

 死を覚悟し目を強く瞑っていたリオが目を開けると、バレットは何かに気付いた様子で、空を見上げていた。

「何だ……?」


 二人の間に、天から一筋の光が降り注いでいた。

 今度はUFOではなく、雲の隙間から、日差しが差し込むかのように。

 だがこの夜の闇の中で、日差しなどあろうはずもない。

「こいつぁ……まさか……」

 それを見上げたバレットは、驚愕しつつも、その正体に心当たりがあるようだった。


「クククッ……ようやく降りてきやがったか……"天使"が……!」



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