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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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最終回・特別編・少女破壊工作員達の活躍・第7部(最終話)

 ドイツ軍を散々苦しめたわたし達の部隊は、その後コムソモールの少女達と分かれて原隊に帰還します。

その後もあの10人の少女達は手に入れた武器や弾薬を使ってドイツ軍への襲撃を繰り返したそうです。彼女達と再会する事はありませんでした。

そしてわたし達生き残りの6名は他のパルチザン部隊と共にドイツ駐留軍への攻撃作戦に参加しました。


以下は終戦まで戦い抜き、生き残ったニーナ・シンカレンコの回想録より


1942年9月、わたし達の分遣隊は他のパルチザン部隊と共にヴィドリツィ村のドイツ軍駐屯地を攻撃しました。

この村はドイツ軍守備隊によって要塞化されていました。

ドイツ軍の兵力は約800名の歩兵大隊と野砲に装甲車両数両に戦闘車両が10両程でした。

村内にはいくつかの機関銃陣地があり堅固なトーチカになっていました。

そんな要塞化された村を攻撃するわたし達パルチザンの合同部隊はおよそ300名でした。

四方から機関銃や手榴弾で武装した男女のパルチザンが村を襲いました。

わたし達の分遣隊もエレナの指揮の下で敵の機関銃陣地の破壊に向かいました。


「あのトーチカの周辺の家から潰していくわよ。」(エレナ)


「はい!」(全員)


わたし達は機関銃が据え付けてある陣地の両側の家々に攻撃を始めました。

エレナが短機関銃を構えながら1軒目の家に突入します。


“ババババババババッ!”

“ヴォーン!”


ドアを蹴破ると機関銃を乱射しながら突入し手榴弾を投げつけるエレナ。

彼女の勇敢で大胆な突入によって、中にいたドイツ兵6名は瞬く間に殺されました。

後に続くわたし達も隣の家に押し入り同様にドイツ軍守備隊の兵士を次々と撃ち殺していきます。

不意を突かれた彼らはわたし達の投げ込む手榴弾で引き飛ばされたり、外に出てきた敵兵はわたしやエレナに狙い撃ちにされて次々と射殺されていきました。

ドイツ軍守備兵の立てこもる家々を1つ1つ殲滅していくわたし達。

残るは堅固なトーチカだけになりました。

銃眼の脇からこっそりと近づくエレナ。


「わたしに任せて!」(エレナ)

「それっ!」

“ヴォヴォーン!”


トーチカの銃眼に手榴弾の束を投げ込んだ彼女。

中では派手な爆発が起きます。

トーチカ後方の入り口に向かうエレナとわたし達。

入り口のドアのロックをマシンガンで破壊するとドアを開けて乱射しながら突入するエレナ。


“ババババババババッ!”


間仕切りの壁で爆風を逃れて生き残っていた数名のドイツ兵もエレナの機関銃の乱射で薙ぎ倒されて体中ハチの巣にされていました。

トーチカを破壊したわたし達は50m程離れた所にあった機関銃陣地も破壊しようと全員で向かいます。


“ドドドドドドドッ!”


敵の機銃陣地からの銃撃にゾーヤとニーナのスヴォーロフ姉妹が倒されます。


「ゾーヤ!ニーナも!」(エレナ)


倒れた2人を抱き締めるエレナ。

わたし達もショックで動けなくなりました。

すると立ち上がったエレナが渾身の力を振り絞って敵の機銃陣地に手榴弾を投げ付けます。


「コノヤロ~!」(エレナ)

“ヴォーン!”


彼女の投げ付けた手榴弾が見事に敵を粉砕し3人のドイツ兵が死亡します。

更に周辺にいたドイツ兵数名が陣地を飛び出して逃げ出します。


「待て~!」(エレナ)

「逃がすもんですか!」

「エ~イ!」

“ヴォーン!”


逃げ出したドイツ兵目掛けて立ち上がって手榴弾を投げ付ける彼女。

2人のドイツ兵が彼女の手榴弾の餌食になります。

ところが手榴弾を投げた直後にエレナの体がその場で崩れ落ちます。

胸を手で押さえながらうずくまる彼女。


「ざけんな、コノヤロ~!」(わたし)

“ババババババババッ!”


怒り心頭のわたしはエレナを撃ったドイツ兵をマシンガンで撃ち殺してやりました。


「レナ!仇は取ったわよ!」(わたし)

「しっかりして!」


でも彼女はわたしの手をしっかりと握りながら息絶えました。

まだ22歳の彼女はかくも多くのドイツ兵を殺害し、敵に甚大な損害を与え続けて祖国の為に命を落としました。

そしてわたし達の攻撃によってドイツ軍守備隊はその半数以上が戦死し敗走することになったのです。

わたし達パルチザン部隊の損害はゾーヤとニーナのスヴォーロフ姉妹、そして隊長のエレナを含む6名の戦死でした。

残念ながらエレナは生きて戦勝日を迎える事は出来ませんでした。

あの時、逃げ出したドイツ兵を殺す必要はなかったかもしれません。

でも責任感の強い彼女はゾーヤとニーナを殺した彼らを到底許す事が出来なかったのです。


1954年、エレナの遺体はクルプキ市の集団墓地に移送され、そこには彼女の戦友も埋葬されました。1962年に彼女の墓に記念碑が建てられました。

エレナの率いた分遣隊の中で生き残ったのは、ニーナ・シンカレンコと強制収容所から解放されたターニャ・ラピナの2人だけでした。

ニーナは1995年12月1日に亡くなりました。


挿絵(By みてみん)

エレナによって無残に破壊されたドイツ軍の軍需列車

挿絵(By みてみん)

エレナ・コレソワのチーム

(上段左から右へ)タマラ・マカンコ(18歳)、マーシャ・ラヴレンチエワ(20歳)、ニーナ・スヴォーロワ(19歳)、ニーナ・シンカレンコ(22歳)。

中段:ゾーヤ・スヴォロワ(26歳)、エレナ・コレソワ(22歳)、ターニャ・ラピナ(22歳)。

下:ナディア・ベロバ(25歳)とジーナ・モロゾワ(21歳)。


本シリーズ最終話・ソビエト軍少女兵戦記・あとがきにつづく・・。


次回の更新は3月24日(0:00)になります。

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