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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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最終回・特別編・少女破壊工作員達の活躍・第1部

ソビエト軍少女兵戦記シリーズも最終回・完結編となりました。

最終回は特別編としてドイツ軍の占領地域に降下してドイツ軍を恐怖に陥れた女子破壊工作員部隊12名のエピソードをご紹介させて頂きます。

 追加特別編として最終回でご紹介させて頂く少女兵は特殊任務を帯びてドイツ軍の後方に降下し破壊活動を行った少女分遣隊のエピソードです。


1942年5月、ミンスクのボリソフ地区でドイツ軍司令部は破壊工作員の少女“レルカ”に3万マルクの懸賞金を懸け牛一頭とウォッカ2リットルを進呈という広告を大々的に発表しました。

この破壊工作員の少女には“背が高く、がっしりしていて、およそ25歳で、赤旗勲章を持っている。”という特徴が添えられていました。

唯一真実だったのは胸に付けられた赤軍勲章だけでした。

この分遣隊の隊長こそエレナ・フェドロヴナ・コレソワでした。

エレナは1920年にヤロスラヴリ地方のコレソヴォ村で生まれました。

この活発な少女は戦争前は教師をしていました。

エレナは前線でドイツ軍と戦う事を強く希望していました。しかし当初彼女は防御陣地を構築するための建設要員として現地に送られました。彼女は1941年10月までそこで働き、最前線への挑戦を決して諦めなかった彼女は、最終的にアルトゥール カルロヴィッチ スプローギス少佐が指揮する軍事部隊第9903部隊の破壊工作部門に登録されました。

エレナは短期訓練コースのみを受け、1941年10月にはすでに道路爆破、通信破壊、偵察の任務を負ってドイツ軍部隊の後方に送られました。

以下はエレナが残した戦闘日誌や回想録より


わたしの最初の任務はモスクワ郊外のドイツ軍が展開する地域での情報収集と破壊活動でした。

わたしが最初の任務で配属された部隊は男性が4名と女性が3名のパルチザン小隊でした。

わたし達は地元の村人から情報を集め、わたし達自身もドイツ軍の補給基地や集合地点などの情報を入手しました。

そして、幹線道路に爆弾を仕掛けて敵をかく乱することになりました。

わたしと2人の女子隊員は道路を掘って爆弾を埋めていました。

すると男性隊員達が何事かで口論を始めます。


「何よ、こんな時にっ!」(わたし)


わたしは思わず舌打ちします。

すると向こうからドイツ軍のパトロール車両が走ってきました。


「敵よ!みんな散開して!」(わたし)


男性達は一斉に森に向かって逃げ出し、わたしと女子隊員は反対側の草むらに身を隠します。

現場にやってきたドイツ兵達は2名が森の方に、そして2名がわたし達の方に向かってやってきました。

わたしは2人の若い女子隊員に背の高い草に覆われ湿地に身を隠すように指示します。

でもわたしはすぐに見つかってしまいました。

誰かが出ていかないと捜索が続いて全員見つかってしまうからです。

だからむしろそうするしかありませんでした。


「手を挙げろ!」(ドイツ兵)

「ここで何をしている?」


「わたしはただの農民の娘です。」(わたし)

「野草を集めていました。」


ドイツ語がよく解らないわたしとロシア語が解らないドイツ兵。

ただ何となく身振りと手振りで民間人であるという事は伝わりました。

しかしながら、わたしは致命的なミスを犯していました。


「これは何だ?」(ドイツ兵)


ドイツ兵がわたしのスカートの裾を銃口で持ち上げると、そこには農民の服装にしては不似合いな赤軍のブーツが露わになりました。


「お前はパルチザンだな?」(ドイツ兵)


「こ、これは貰い物です。」(わたし)


必死に取り繕ったもののスパイ容疑を掛けられてそのまま連行されたわたし。

わたしはそのままドイツ軍のパトロール隊によって拘束されてしまいます。

幸い彼らがわたしの事を民間人かもしれないと思っていたらしく、その場での処刑は免れました。

わたしは2日間拘留された後に、ノバヤ・ルサの収容所に送られる事になりました。

わたしは一時的に粗末な小屋に収容されます。

わたしはポケットに忍ばせたマッチで足元のワラに放火してやりました。

そして大声で叫びました。


「大変!火事です!」(わたし)


慌てたドイツ兵は捕虜が焼け死なないように扉を開けて消火を始めます。

わたしはこの騒ぎの隙に脱出することに成功しました。

原隊に復帰したわたしは9名の少女だけで構成された分遣隊の隊長に任命されました。

最年少は17歳になったばかりのタマラ・マカンコでした。そして最年長は25歳のニーナ・スヴォロワでした。


わたし達9名の女子部隊は10月28日に初めてドイツ軍への襲撃を行いました。

敵のパトロール部隊を待ち伏せしたのです。

わたし達はまず橋に爆薬を仕掛けて敵を待つ事にしました。


「いいこと、橋と敵のパトロールを同時にぶっ潰すわよ!」(わたし)


「はい!」(女子全員)


「何だか、ワクワクしてきちゃうわ。」(タマラ)


「わたしもよ。」(ジーナ)


暫くすると4人乗りの戦闘用車両と小型トラックに8名乗ったドイツ軍がやってきました。


「奴らが橋に入ったら爆破するのよ。」(わたし)


ニーナが起爆スイッチに手を掛けます。

先頭の車両が橋に入った瞬間。


「今だわ!」(わたし)


“ズッドーン!”


「やったね~!」(ニーナ)


凄まじい轟音と共に橋諸共吹き飛ばされるドイツ軍車両。

笑顔で喜ぶニーナとわたし達。


「それっ、仕上げに掛かりましょ!」(わたし)


先頭の車両が橋ごと吹っ飛ばされて急停止した後続の小型トラック。

わたし達はこのトラックの脇に躍り出てサブマシンガンで一斉に銃撃を加えました。


“バババババババババッ!”


「それ~、地獄に落ちな!」(ニーナ)


“ババババババババババババッ!”


「やったわ!全滅よ!」(タマラ)


「ホント、いいザマだわ!」(ジーナ)


トラックから降りようとしていた8人のドイツ兵はわたし達9人の放った無数の銃弾でハチの巣になっていました。あっという間に全滅したドイツ軍パトロール小隊。

わたし達は更に何ヶ所かの小ぶりな橋を爆破して、通信網も破壊します。

このわたし達女子部隊の働きによってドイツ軍の進撃を数日間遅らせる事に成功したのです。

この功績によってわたしは赤軍勲章を授与されました。



挿絵(By みてみん)

コレソワの破壊工作員グループ9903部隊の少女達

挿絵(By みてみん)

エレナの戦前の写真(彼女がまだ教師だった頃)

挿絵(By みてみん)

ドイツ軍を襲撃する為の打ち合わせ中の女子破壊工作員

挿絵(By みてみん)

ドイツ兵を狙う女子破壊工作員


第2部につづく・・。


次回の更新は2月11日(0:00)になります。

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