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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第10回(最終シリーズ)・257名を葬った17歳の少女 第3部

 大切な親友を一瞬で失ったわたし。

わたしは怒りと復讐心とでドイツ兵を撃ち殺す事だけに執着し始めていました。

毎日1人、また1人と殺し続けるわたし。

この年の夏の前線は膠着状態でわたし達の部隊は徹底した守備網を敷いていました。

夜になると塹壕から這い出して中立地帯に向かいドイツ兵を求めて狩りをするわたし達。

ある夜の事です。

わたしとマーシャが真っ暗な深夜に這い出します。

背中に狙撃銃、ブーツにはフィンランドナイフを差し込んで白兵戦にも備えます。

しばらく進むと敵の戦車が見えてきました。

ドイツ兵が3人、戦車に乗り込もうとしていました。

黒い制服姿の戦車兵が2人と歩兵が1人、更に戦車の向こう側に2人の歩兵がいました。


「よ~し、マーシャ、今夜のわたし達の獲物よ。」(わたし)


「やるんですか?」(新人マーシャ)


「あなたも早く1人目を仕留めないとね。」(わたし)


「わかりました!」(マーシャ)


わたしより1歳年上のマーシャでしたが、前線ではわたしの方が先輩格でした。

そんなわたしは彼女に早く狙撃アカウントを確立してほしいと思っていたのです。


「ほらっ、砲塔に登っているあの戦車兵を狙いなさい!」(わたし)


どうやら彼らは破壊された味方の戦車から使えそうな物を運び出そうとしていたようです。


「よ~く狙って、落ち着いて。」(わたし)


わたしの指示通りに標的に照準を合わせる彼女。

その瞬間。


「今よ、撃ちなさい!」(わたし)


わたしが小声でささやくと、


“バシュン!”


頭部に命中した彼女の銃弾が男の体を地面に落下させました。


「やったね!」(わたし)


たった今1人目を撃ち殺して放心状態の彼女。


「わ、わたし、やりました。」(マーシャ)


「よし、残りを片付けるわよ。」(わたし)


わたし達はそれぞれ残った敵に狙いを付けて引き金を引きます。


“バシュン!”

“バシュン!”


戦車の脇に居た戦車兵と歩兵は1人目が砲塔から崩れ落ちた瞬間固まった状態になっていました。

わずか数秒でしたが、わたし達にとっては十分な時間でした。

わたしが歩兵をマーシャが戦車兵をそれぞれ仕留めると歩兵が2人、戦車の影からわたし達に撃ち返してきます。

銃撃戦が始まりました。


「場所を移動しないと。」(わたし)


「はい!」(マーシャ)


わたし達は射撃を止めて這いながら敵の戦車の後方側に迂回するように進みます。

銃撃が止んだので敵兵も射撃を止めて様子をうかがっています。

ちょうど戦車の後方30m程の位置にやってきたわたし達。


「いたいた。」(わたし)


戦車の後方に隠れて様子をうかがっているドイツ兵がこちらから丸見えでした。


「わたしが頂くわ!」(わたし)


とにかくもっと殺したかったわたしは銃を構えて引き金を引きます。


“バシュン!”


ヘルメットを貫通した銃弾は彼の頭部を直撃し、声も上げずに彼を葬り去りました。


「よし!やったね!」(わたし)


とその時です。

わたしの狙撃銃を巨大なブーツが蹴り上げました。

いつの間にかもう1人のドイツ兵がわたし達のすぐ脇から立ち上がって襲い掛かって来たのです。

銃を蹴り飛ばされたわたしは怒りの眼差しをわたしに向ける40代位のドイツ兵と対峙します。

立ち上がろうとするわたしの腹部を泥だらけの男のブーツが踏み付けます。

声も出なくて一瞬苦しさで顔が歪むわたし。

男が手にしたライフル銃の銃口をわたしの胸元に突き付けた瞬間です。

身長180cm近い大柄の彼の体がヘナヘナとわたしの方に崩れかかってきました。

わたしはとっさにブーツに差してあったナイフを手にして彼の胸に突き刺します。

音も無くわたしのナイフが男の胸に突き刺さりスルスルと沈み込んでいきました。

わたしは身をかわして立ち上がり仰向けに倒れ込んだ男の腹部の辺りをブーツで踏み付けます。


「わたし、刺しちゃった!」(マーシャ)


「よくやったわ!」(わたし)

「ありがとう、助かったわ。」


わたしに襲い掛かってきたドイツ兵の背後からマーシャがナイフを彼の背中に突き刺したのです。

背中と胸にそれぞれわたし達のナイフが突き刺さり虫の息のドイツ兵。

まずはわたしのナイフを引き抜いてから足で乱暴に男の体をひっくり返すわたし。

背中に突き刺さったままのナイフを引き抜くとマーシャに渡します。


「この男にトドメを刺さなくちゃ!」(わたし)


そう言うとわたしは再びナイフを男の背中に突き刺します。

マーシャは彼の体が動かない様に後頭部をブーツで踏み抑えてから彼の背中にナイフを何度も突き立てます。

すでに絶命しているこの男を見ながら、ナイフに付着した鮮血を男の制服で拭ってブーツに差し込むわたし達。


「今日はわたし達、2人づつ仕留めたわね。」(わたし)

「この男の事は忘れなさい。」


予想外の白兵戦で1人殺したわたし達。

その後もわたし達は塹壕戦で毎日のようにドイツ兵を撃ち殺してスコアを伸ばしていきました。

そんな中、味方のミサイル部隊がカチューシャというロケット兵器を投入しドイツ軍陣地に一斉に撃ち込みます。

凄まじい破壊力のミサイル攻撃に一時後退するドイツ軍。

その後反転攻勢を開始した敵によってわたし達赤軍部隊は一時後退せざる負えなくなります。

塹壕内の負傷兵を移動させる為にわたし達女子と付近の村人達が集められました。


「できるだけ負傷者を運び出すように!」(指揮官)


わたし達は手分けして塹壕内に留まっていた負傷兵達を運び出しました。

それでも短時間で全員を運び出すことは不可能で重傷者を含む数十名の味方兵士を残した状態で

わたし達は撤退せざる負えなかったのです。


挿絵(By みてみん)

塹壕陣地の中で同僚の女子狙撃兵と写るクラウディヤ(左から2人目)


第4部に続く・・。


次回の更新は1月14日(0:00)になります。

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