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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第10回(最終シリーズ)・257名を葬った17歳の少女 第2部

 人を撃ち殺す事に戸惑うわたしとマルシャ。

でも、意外と早くわたしの1人目の犠牲者が現れました。

翌日の事です。

わたしは双眼鏡で敵の陣地を監視していました。

すると敵の機関銃座がわたしの目に留まりました。

機関銃を据え付けてある台の脇から1人のドイツ兵が現れたのです。

彼は機関銃の先端の汚れをぼろ布か何かで一生懸命に拭き取っています。


“今だ!”

“チャンスだわ!”


わたしはこの機会を逃すまいと、すぐに狙撃銃を構えてこのドイツ兵に狙いを付けます。


“よ~く落ち着いて、わたし!”


そんな風に自分自身を落ち着かせながらゆっくりと引き金に指を掛けます。

相変わらずわたしの標的は呑気に銃口の掃除をしています。

彼の背中は丸見えの状態でした。


“可哀想だけど・・。”


“バシュン!”


「当たった!」(わたし)


スコープの中の彼は一瞬両手を挙げるような姿勢になり、すぐに崩れ落ちました。


“間違いなく殺った!”


「わたし、殺しちゃった!」(わたし)

「このわたしが!」


手が震えて来ました。

たった今、わたしは1人の人の命を奪い、彼の人生に終止符を打ったのです。

わたしに撃ち殺された男は仲間の兵士が彼の足を引っ張って塹壕内に引きずり込みました。

幸いわたしはスコープ越しに彼の死に顔を見る事は出来ませんでした。

これはわたしが最初に殺したドイツ兵だったのです。


「マルシャ!」(わたし)

「わたし、1人殺しちゃった。」

「どうしよう、彼の事、何にも知らないのに・・。」


「落ち着いてよ!」(マルシャ)

「あなたは今、ファシストを殺したの。」

「あなたが殺したのはドイツ人じゃないわ。」

「わたし達の祖国を踏みにじっているファシストなのよ。」


盛んにわたしの事をなだめようとするマルシャ。


「あなたも早く1人殺しなさいよ!」(わたし)

「そうすれば、わたしの気持ちが分かるわ。」


「そうね、わたしも今日中に1人仕留めるわ。」(マルシャ)


彼女は約束通り夕方前に敵の銃眼越しに1人撃ち殺しました。

これでわたし達はお互いに一線を越えてしまったのです。

もう後はいくら殺しても何にも感じないかもしれないと思いました。


ある日、近くの湖に偵察に出かけたわたしとマルシャとジーナ。

ジーナの白いフェルトのロングブーツはすっかりねずみ色に変色していました。

紺色のパンツも泥汚れで白っぽく汚れていて、不思議な事に私服姿の彼女も一端の戦闘員に見えてきたのです。

そんな彼女が、


「みんな伏せて!」(ジーナ)


わたし達に小声で指示します。

双眼鏡で覗いてみると、湖の畔で下着姿のドイツ兵が数人体を洗ったり洗濯したり、走り回ったりしていました。

ここにも狙われている事にすら気付かない呑気な敵がいたのです。


「ちょっと待って、わたしが・・。」(ジーナ)


彼女がゆっくりと狙撃銃を構えます。

どうやら頭をごしごし洗っている男に照準を合わせているようでした。


“バシュン!”


銃声と共にこの男の頭部から鮮血が飛び散りその場に倒れました。


「やったね!」(ジーナ)


わたし達に満足そうに微笑み掛ける彼女。

その他のドイツ兵達は狂ったように慌てふためいて服やブーツを掴んで逃げ出しました。

すぐさま銃を構えて2人目を狙うジーナ。


“バシュン!”


「やった!」(ジーナ)

「2人目だわ!」


たて続けに2人撃ち殺した彼女。

この時はわたし達は見ているだけでした。

そしてそれ以来ドイツ兵はここに二度と姿を見せることはありませんでした。


その後、敵もわたし達も目立った動きは無く、お互いに膠着状態になっていました。

ある晴れた日の事です。

普段わたし達は日中塹壕内で少し寝て、夜になると敵の動きを監視するようになっていました。

だからわたし達は銃を銃眼に置いてのんびりしていました。

日中わたし達は時折ドイツ軍陣地をスコープで見ていたのです。

わたしは目が疲れるので見るのを止めて座りました。

これもいつもの光景です。

その時マルシャが言いました。


「さあ、そろそろ起きるわよ。」(マルシャ)


横になっていた彼女は銃を握って立ち上がりました。

その瞬間です。


“プシュン!”


鋭い銃声が響いたかと思うとマルシャはその場に倒れました。

彼女の顔面に銃弾がもろに直撃したのです。

マルシャは即死でした。


「どうして!」(わたし)

「何でなのよ!」

「あ~!!」


わたしは塹壕中に響き渡る程大きな声で泣きわめきました。

男性兵士がわたしに怒鳴り付けます。


「静かにしろ!」(男性兵士)

「迫撃砲が来るぞ!」」


ドイツ軍の陣地はわたし達から200m程離れた所にありました。

敵は何か動きがあると(特に彼らの誰かがわたし達に撃ち殺されると)迫撃砲で攻撃してくるのです。

“ズヴォーン!”

“ズヴォーン!”

“ズヴォーン!”


今回は殺されたのがわたし達の方でしたが、わたしがあまりにも異常な叫び声を上げてしまったから・・。

案の定敵の砲撃が始まり味方の兵士達は塹壕内で身を潜め合うのでした。


「だから言ったじゃないか!」(男性兵士)

「いい加減いしろ!」


迷惑だと言わんばかりに怒鳴りまくる男達。

でもそんな怒声もわたしには全く届いていませんでした。

わたしの最初の友達で親友のマルシャがたった今殺されたのです。

どうして静かにしなければいけないのかって強く思いました。

わたしは夕方まで泣き続けました。

それからわたし達は彼女の遺体を埋葬しました。

野の花がたくさん咲いていたのを覚えています。

現在彼女の墓は彼女の故郷のモギレフ地方のボトヴィノヴォ村に移されています。


その後、わたしの2番目のペアにマルシャ・グリャキナという18歳の女の子が選ばれました。

彼女はまだ新米で狙撃経験もありませんでした。


挿絵(By みてみん)

軍服姿の凛々しい17歳のクラウディヤ


第3部に続く・・。


次回の更新は1月7日(0:00)になります。

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