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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第9回・死体の山を築いた機関銃少女・中編

 わたしは実戦に参加してわずか数日で、すでに100人以上のドイツ兵を撃ち殺していました。

目いっぱい敵を引き付けての皆殺し、これがわたしのやり方でした。

この戦法でわたしは面白いように大勢のドイツ兵どもを次々と狙い撃ちしてやったのです。

翌週には態勢を立て直したドイツ軍が再び攻撃を仕掛けてきました。


「面白い!まるで射的だわ!」(わたし)


「ナチどもめ、食らいなさい!」


“ドドドドドドドドドドドドドッ!”


進軍してくるドイツ兵を30名程血祭りにあげると、わたしは塹壕から飛び出します。

わたしの銃弾を浴びて地面に這いつくばるドイツ兵達にトドメを刺しに行ったのです。


「トドメよ!」(わたし)


“ババババッ!”


サブマシンガンで足元のドイツ兵に次々と短い連射を撃ち込むわたし。

情け容赦の無いわたしの虐殺劇は続きます。


「楽にしてあげるわ。」(わたし)


「ありがたく思いなさい!」


“ババババッ!”


「ほらほらっ!」


“バババッ!”


うつ伏せになっている兵士は足で踏み付けて確かめます。


「まだ、生きてるのかよ?」


“ババババッ!”


更にブーツのつま先で顔を突いてみます。

少しでも動けばわたしは逃しませんでした。


「くたばれ、ケダモノめ!」


“バババッ!”


負傷して動けない兵士を十数名始末すると、足取りも軽く陣地に戻るわたしでした。

実は以前からわたしは上官から何度も注意を受けていました。


「ニーナ、もっと距離を保ってから射撃しなさい!」(上官)

「君には常に大きなリスクがあるんだ。」


「はい、同志上官殿。」(わたし)

「でも、わたしにはわたしのやり方があります。」

「できるだけ引き付けて皆殺し、」

「これが“わたし流”なんです。」


このわたしの“わたし流”はドイツ軍に大きな損害を与え続けました。


《ニーナの戦友で女子機関銃手の回顧録より》

この当時の機関銃手の常識的な戦術は敵との距離を保って威嚇射撃を始めるのが鉄則でした。

できるだけ遠くに敵を釘づけにして、弾幕を張って自軍の陣地に近づけないようにするのがわたし達機関銃手の役目だったのです。

また、機関銃手はその絶大な破壊力ゆえに真っ先に敵に狙われるリスクがありました。

接近してくる敵が近ければ手榴弾を投げ込まれるリスクが増大するのです。

更にマキシム機関銃は連射を続けるとジャムって停止してしまうリスクがありました。

大勢の敵を前に機関銃が沈黙することは自軍が全滅する危険性をはらんでいたのです。

しかし、ニーナの“わたし流”はそんな事はお構いなしに、とにかく至近距離まで引き付けて敵を全滅させる事に執着していたのです。

その代わり、彼女の射撃は非常に正確でとにかく1人も逃さず射ち倒しました。

自軍側に引き返そうと逃げ出す敵兵も逃さず背中めがけて銃撃を加え撃ち殺していきました。

戦闘が終わった後に、敵の敗残兵や負傷兵を片付けるためにサブマシンガンで殺して歩くのも彼女の“わたし流”だったのです。

この彼女の常識外れの戦術は、多大な戦果を積み上げる結果となって、もはや上官も口出しできない状態になっていました。

ある時ニーナは町の住民達への講演を依頼されます。

ドイツ兵を大勢撃ち殺して有名になったクリミアの少女を一目見ようと多くの人々が集まりました。

《講演会でのニーナより》


「わたしは・・。」(ニーナ)


「話をするのが、あまり得意ではありません。」


「でも機関銃を使ってドイツ人達と楽しくおしゃべりするのは得意なんです。」


「いつもわたし、おしゃべりし過ぎちゃうんです。」


「しかも、わたしの一方的なおしゃべりなんですよ。」


「ドイツ人達は沈黙したまま、わたしはおしゃべりを終えるんです。」


「すると、わたしの前には大勢のドイツ人達が横たわっていました。」


「今日もしゃべり過ぎちゃって、ホントごめんなさい!」


会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれます。

まだわずか20歳の少女がドイツ国防軍を相手に奮戦する姿は人々に勇気と希望を与えました。

このオデッサ防衛戦で彼女が殺害したドイツ兵はわずか2ヶ月の間に約350名に達していました。

そんな彼女にも上官が恐れていた事が起こります。

《ニーナの戦友の女子機関銃手の回顧録より》


「わたしはアンカ!」(ニーナ)


「かかって来なさい!」


“ドドドドドドドドドドドドドッ!”


今日もいきなり十数名のドイツ兵を薙ぎ倒して調子に乗る彼女。

すると・・


“ヴォーン!”


“ウッ!”(ニーナ)


頭から出血してその場でうずくまる彼女。

敵兵の投げ込んだ手榴弾の破片がニーナの頭と耳を直撃したのです。

幸い命に別状はなく病院に運ばれたニーナ。

彼女はおよそ1ヶ月間、戦列から離れることになりました。


1941年11月、部隊に復帰したニーナはセヴァストポリの防衛戦に参加します。

《ニーナの戦記メモより》


11月14日の朝、わたしは自軍塹壕内にいました。

ドイツ軍が戦車を先頭にわたし達に向って進撃してくるのが見えました。


「戦車だわ。」(わたし)


「どうしよう、わたしのマキシムでは歯が立たない。」


「まずは戦車をやっつけなきゃ。」


でもわたしの手元には対戦車手榴弾も無く、火炎瓶が2本あるだけでした。

前方の敵の様子を伺うわたし。


「何とか戦車に近づけないかしら。」(わたし)


するとその時風向きが変わります。

先程の敵による砲撃で破壊された味方の砲兵陣地の火災の煙が辺り一面に立ち込め視界を遮ります。


「今だわ。」(わたし)


「それっ、頑張れ、わたし!」


わたしは自分自身を鼓舞しながら火炎瓶をベルトに挟み込みサブマシンガンを手に塹壕内から這い出します。

慎重に這っていくと敵戦車の右側に窪地を見つけその中に転がり込みます。

見上げるとドイツ軍戦車のグレーの車体が見え、その背中には装甲擲弾兵が4名乗っていました。

勇気を振り絞って硝煙の中からいきなり立ち上がって戦車のエンジンルーム目掛けてモロトフカクテルを投げつけるわたし。


「エイッ!」(わたし)


「ソレッ!」


“ジュヴォッ!”


“ジュヴォッ!”


わたしの投げつけた火炎瓶は2つとも見事に命中します。


“ウぅ~!”(ドイツ兵)


戦車に乗っていた擲弾兵達は炎に包まれて転がり落ちます。

火に包まれてもがき苦しむ4人のドイツ兵。


「いい気味だわ。」(わたし)


「それっ、トドメよ。」


“ババババババッ!”


4人の敵兵をマシンガンで始末するわたし。

まずは挨拶代わりに4名撃ち殺すと、調子に乗り始めたわたしだったのです。


後編に続く・・。


挿絵(By みてみん)

セヴァストポリに赴任したニーナ(映画の1シーンより)

挿絵(By みてみん)

男性兵士を引き連れて進むニーナ(映画の1シーンより)

挿絵(By みてみん)

男性兵士に指示を出すニーナ(映画の1シーンより)

挿絵(By みてみん)

射撃を開始し、大勢のドイツ兵を血祭りに上げるニーナ(映画の1シーンより)

挿絵(By みてみん)

機関銃手になった当時のニーナ


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