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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第2回・129名を殺害した美少女狙撃手・前編

本日はソビエト軍少女兵戦記の第2回目です。

今回取り上げるのはウズベキスタン人の女優スナイパー、ジバ・ガニエワさんです。

実は、ジバ・ガニエワさんの公式戦果は赤軍アーカイブスでは21名のドイツ兵を殺害となっていましたが、これはある村での戦闘での戦果です。

実際に彼女が大戦中に殺害したドイツ兵は129名です。

さて、本日ご紹介する少女戦士はジバ・ガニエワさんです。

彼女は知性、美しさ、勇気、すべてに恵まれた女性なのです。

多くの男性が夢にも思わないような勇気を持ちながら、どんな状況でも慈悲深く、優しく、そして美しく、真の女性であり続けることができる。

ジバ・ガニエワさんは、そんな稀有な女性の1人でなのです。


ジバは1923年にアゼルバイジャンのシェマハで生まれました。

そして14歳からダンスを勉強して17歳になるとモスクワに移って本格的な女優の勉強を始めました。 ところが、独ソ戦が勃発し、彼女の計画はすべて台無しになったのです。


自分達の国を侵略しに来たナチスを深く憎み、1人でも多くのファシストを殺したい彼女は、若干18歳で志願兵として赤軍に入隊し独ソ戦に参加することとなりました。


彼女の所属していた第3モスクワ師団では当初無線通信士として勤務していました。

1941年の寒い冬、彼女は16回にわたって1人で敵の後方に行き、無線で敵の重要な情報を本部に伝えたのです。


この勇敢な少女は、偵察や戦いに赴く兵士の常に先を行き、勇気と機転で称賛を浴びたのです。

彼女はこのような危険な偵察任務を成功させる内に狙撃術も身に着けるようになりました。


戦友の女性狙撃手ガラニナの回想録より


1942年春、師団の攻勢が終わったとき、ジバとわたしは一時的な小康状態を利用して、

狙撃「狩り」の練習を徹底的に行うことにしました。

わたしとジバは朝から狩りに出かけました。

わたし達の居た戦線では敵味方入り乱れている状態で、いつ敵と出くわすか分からない状況だったんです。

そしてわたしとジバはすぐにドイツ兵達を見つけることができました。

彼らはわたし達の陣地からわずか80メートル程離れたところで塹壕を掘っていたんです。

彼らは、わたし達に気付く事もなく、全く無防備な状態で作業を行っていました。


「ジバ、わたし達の獲物よ!」

「何人いるのかしら?」(ジバ)

「5人だわ。」

「全滅させる?」(ジバ)

「今日は、練習だから1人づつ仕留めるわよ。」

「分かったわ。」(ジバ)


「ジバ!ポジションを決めるわよ!」

そして、わたし達は絶好のポジションについたのです。


「今日は、練習よね?」とジバがつぶやきます。

「どれにしよっか?」

まるでおもちゃの人形を選ぶ少女のようなジバ。


「アイツかしら、それともコイツにする?」(ジバ)

そんな会話を楽し気にするわたし達。

お互いに標的になるドイツ兵を決めて・・。


「いくわよ!」


“バシュン!”

“バシュン!”


銃声が同時に2発、森に響き渡りました。

わたし達は1人づつ撃ち殺しました。

わたしが狙った相手は胸の辺りを撃ち抜かれて倒れました。

そして、ジバが狙ったドイツ兵は額に命中して血を飛び散らせました。

慌てふためくドイツ兵ども・・。


「フフッ!」

撃ち殺した快感と慌てる彼らを見て思わず笑いだしそうになるわたし達。

そんな彼らを尻目に引き上げるわたし達でした。


こんな風に日々、出撃しては次々とドイツ兵を仕留めていったジバなのです。


そんなジバは第151偵察大隊の狙撃手として、1942年4月12日から5月23日まで、

レニングラード地方のチェルノエ、オゼツィ、ルネボ、ダイアギレボ村の地域での戦闘に参加しました。


5月23日、レニングラード州モルボチスキー地区のヴォルショ・ブラホボ村での戦闘での事です。

村のドイツ軍守備隊を狙撃する任務を命じられたジバは、村の東の高台に移動しました。


ソ連軍戦車部隊の攻撃でドイツ軍が村から後退し始めると、ジバは9人の女子狙撃兵を連れて撤退する敵に狙撃を敢行したのです。


「いいこと!わたし達は彼らを1人も逃がさないわよ!」

「わたしに続きなさい!」

わたしは経験の浅い女子兵士達を連れて積極的に狙撃するように命じたのです。

狙撃手にとっては、進軍してくる敵を止める際はリスクが大きいものの、戦意の落ちた退却部隊を狙撃するのは、未経験の女子達にとってはむしろ格好の標的になったんです。

さっそく村から退却中のドイツ軍歩兵部隊を見つけたわたし達。

100名以上の敵兵がバラバラになって森に向かっていました。

わたし達女子部隊は、森の中から好きなだけ狙い撃ちできる好位置にいました。


まずは、わたしがドイツ兵どもを次々に狙い撃ちしてやりました。

「退却する気なのね!」


「逃がさないわ!」


「ソレッ!」


“バシュン!”


「ソレッ!」


“バシュン!”


「まずは、2人。」


「あそこにも・・。」


「ソレッ!」


“バシュン!”


「もう1人追加よ!」

わたしは瞬く間に3人始末しました。

わたしの狙撃を合図に次々と狙撃を開始する女子兵士達。

彼女達は予想外に落ち着いていて、1人目を射殺するとその後は手当たり次第に撃ち殺していきました。


“バシュン!”

「当たった!」


“バシュン!”

「わたしも!」


“バシュン!”

“バシュン!”

「わたしも命中!」

「やったね!」


ドイツ兵が1人また1人と撃ち殺される度に異様な空気に包まれるわたし達。

更にわたしは、道路を退却中の3名を発見しました。


「みんなまとめて片付けてやる!」


「覚悟しなさい!」


“バシュン!”


“バシュン!”


“バシュン!”


わたしは立て続けに3名を撃ち殺しました。

わたし達女子狙撃隊はこの戦闘で60名以上の敵を射殺しました。

幸いわたし達の被害はゼロでした。


後編に続く・・。

(次回の更新は4月2日0:00を予定しております。)

挿絵(By みてみん)

まだあどけない表情の18歳のジバ・ガニエワさん。

この頃すでに彼女は数十名のドイツ兵を射殺していました。


挿絵(By みてみん)

同じく狙撃銃を持ってポーズを決めるジバさん。

19歳の頃の写真と思われます。

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