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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第8回・カザフの少女スナイパーは17歳・後編

 18歳になったわたしは、尚もレニングラード戦線でドイツ軍と闘っていました。

わたしが殺害したドイツ兵の数は70人を超えていました。


1944年1月11日、レニングラード・ノヴゴロド作戦で、わたしの第54狙撃旅団はノヴォソコルニキ市まで進み、敵の防衛線を突破して市の北側に前進しました。

わたし達の部隊はナスバ駅近くに到着し、敵の強力な砲火に遭遇します。


夜間にドイツ軍の防衛ラインを占領したわたし達は、1日14日の夜明けに攻撃を開始しました。

わたし達は駅を通ってカザチハ村を占領する任務を負っていました。

わたし達は、すでに第一次防衛線の突破に成功していたにもかかわらず、敵の強力な反撃によって攻撃は失敗してしまいます。

敵の強力な防衛線に手こずり、膠着状態に陥っていたわたし達。

正面にはコンクリートで固めたトーチカがあり、わたし達の部隊は塹壕陣地ですっかり滞留してしまっていました。

誰かが声を上げて、戦意を失いかけている味方部隊の兵士の背中を押してやらなければならないと感じ始めていたわたし。

この役目は、部隊の中でも大勢の敵を撃ち殺して皆に知られていた、まだ18歳のわたししかいないと思いました。

そしてわたしは勇気を振り絞って決心したのです。


“みんなを奮い立たせよう!”と。


その時、わたしは立ち上がって背筋を伸ばして叫びます。


「兄弟よ、兵士よ、祖国のために、わたしに続きなさい!」(わたし)

「ソレ~!」


「ウラ~!(万歳)」(赤軍兵士達)

「ウラ~!(万歳)」


わたしの掛け声に一斉に立ち上がって突進を始めた味方の兵士達。

わたしを先頭にドイツ軍陣地に総攻撃を仕掛けます。


わたしも狙撃銃を手に突撃します。

小柄なわたしはすばしこく走り回り、敵の機関銃の弾幕も上手くかいくぐって敵の塹壕に向かいます。

不思議と恐怖感は全くありませんでした。


「こんな劣勢、挽回してみせるわ!」(わたし)

「わたしに続きなさい!」


「この~!」


“バシュン!”


「それっ!」


“バシュン!”


「死ね!」


“バシュン!”


突撃しながら目に入るドイツ兵を狙い撃ちにするわたし。

わたしの正確な射撃に次々と撃ち殺されるドイツ軍兵士達。


「エ~イ!」


“バシュン!”


“バシュン!”


“バシュン!”


わたしは勇猛果敢に突撃しながら歯向かおうとした11人のドイツ兵を撃ち殺しました。

わたし達の総攻撃によりドイツ軍部隊は防衛陣地から敗走します。

そして占領した塹壕に陣取るわたし達。


「敵はまたここを取り返しに来るわね。」(わたし)

「今度はわたし、マシンガンで応戦するわ。」


もはや、両軍が突撃を繰り返す塹壕戦では狙撃銃よりも機関銃の方が有効でした。


「これで大勢殺せるわ!」(わたし)

「やってやるわよ!」


サブマシンガンの予備の弾倉を並べてドイツ軍の攻撃に備えるわたし。

そしてドイツ軍は防衛線を取り戻すために隊列を組んで総攻撃を仕掛けてきました。


「来たわね。」(わたし)

「思い知れ!」


“バババババババババッ!”


突撃してくるドイツ兵の一団に向かってサブマシンガンで銃撃を加えるわたし。

あっという間に5人が薙ぎ倒されます。


「もっとかかって来い!」(わたし)

「それっ!」


“ババババババババッ!”


目の前のドイツ兵に容赦なく銃弾を浴びせ、更に7人を撃ち殺します。


「わたし達は一歩も引かないわ!」(わたし)

「覚悟しなさい!」


「それ~!」


“バババババババババッ!”


次から次へと突撃してくるドイツ兵達をマシンガンで殺しまくるわたし。

この日、ドイツ軍は3回に渡って攻撃してきました。

攻撃の度に勇猛果敢に応戦するわたしは、28人ものドイツ兵をマシンガンの銃撃で射殺していました。


「まだまだよ、こんなもの!」(わたし)


「やつらが諦めるまで、」

「わたしは殺し続けるてやるわ!」


しかし両サイドから攻め込むドイツ軍はわたし達の陣地内に肉薄し、塹壕内で激しい白兵戦が始まります。

マシンガンを持ったわたしに襲い掛かってくるドイツ兵。


「何よ、コイツッ!」(わたし)


“ババババッ!”


とっさに身をかわして敵を射殺するわたし。

さすがに小柄なわたしは大柄なドイツ兵との白兵戦には不利でした。

そこで、一旦塹壕内から這い出すわたし。

陣地の外から塹壕内を見渡すと、至る所で銃剣を使った殺し合いが行われていました。

そんなわたしの足元に塹壕内にいた1人のドイツ兵が顔を向けます。


「アラッ!」(わたし)

「コイツめ!」


「エイッ!」


“パコーン!”


一瞬目が合ったドイツ兵の頭を渾身の力を込めて蹴り上げてやりました。

わたしのブーツが男の顔を直撃し、ヘルメットが吹っ飛んで男は塹壕内に転がります。


「今だわ!」(わたし)


“バババッ!”


倒れた男に銃弾を浴びせるわたし。


「こいつもよ!」(わたし)


“バババッ!”


「死になさい!」


“バババッ!”


塹壕内のドイツ兵達を見下ろしながら狙い撃ちにするわたし。


「1人残らず、」(わたし)

「始末してやる!」


「ホラッ!」


“バババッ!”


ドイツ兵を8人ほど血祭りに上げた直後でした。

1人のドイツ軍将校がわたしに向かって拳銃で発砲します。


“パン!”


「ウッ!」(わたし)


「よくも、わたしを・・。」


“ババババッ!”


男の銃弾を浴びてしまったわたしは、振り向きざまに引き金を引きます。

わたしのマシンガンの銃撃をもろに受けたドイツ軍将校はそのまま声も上げずに倒れました。

この将校はわたしが殺害した最後のドイツ兵となったのです。

そこで意識を失ったわたしでした。

負傷したわたしはその後仲間達によって病院に搬送されます。



病院で一旦意識を取り戻したリアは、戦友の女子狙撃兵ナディアにこの日の闘いぶりを話して聞かせました。

「わたしは、まだまだ闘いたかったのに・・・。」(リア)

これがリアの残した戦友への最後の言葉でした。

その後再び昏睡状態に陥ったリアはこの傷が致命傷となって息を引き取ります。


享年18歳のリアが狙撃銃で殺害したドイツ軍兵士の総数は78名。

機関銃で殺した数も含めると130名を超えていました。


アリヤ・モルダグロワはプスコフ州ノヴォソコルニキ地区のモナコヴォ村に埋葬されています。

1944年6月4日、彼女は「ソビエト連邦の英雄」の称号を授与されました。

2021年1月12日、アスカル・マミン首相は、JSC「アクトベ国際空港」にアリヤ・モルダグロワの名を冠する政令を発布しました。


挿絵(By みてみん)

リアの伝記映画に出演したリア役の女優さん(リアとよく似ていると評判の方です)

挿絵(By みてみん)

同じくリアの伝記映画の一コマ

挿絵(By みてみん)

戦後建てられたリアの銅像

挿絵(By みてみん)

勇敢に突撃するリアの銅像

挿絵(By みてみん)

リアと女子狙撃兵とのペアの銅像(リアは左側)


次回はシリーズ第9回・死体の山を築いた機関銃少女、になります。


次回の更新は11月26日(0:00)になります。

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