表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
34/55

第7回・少女看護兵の活躍・第3部(中編)

1942年6月

セヴァストポリ近郊のドイツ国防軍歩兵連隊の兵士23人が死亡した現場から、非常に興味深いドイツ語の報告書がアーカイブスで見つかったのです。

シュタイナー特務准尉は23体のドイツ兵の死体が様々なポーズで横たわっている場所を調査しました。

殺害された兵士は全員、1939年から軍務に就いている経験豊富な兵士でした。

19人の兵士は複数の銃弾によって死亡していました。

その内の1名は体中に多くの打撲痕や蹴られたり踏み付けられた靴跡があり、複数名によるリンチにあった可能性を示唆していました。

3人の兵士と1人の将校は頭部が陥没し、ひどく殴られて死亡ていました。

その内の1体の兵士は頭部の致命傷になる激しい殴打の跡がありました。

さらに彼の肋骨は完全に砕かれ、胸部には激しく踏み付けられた靴跡がくっきりと残されていました。

結論として優勢な敵軍による突然の奇襲により小隊全員と隊長が殺されたということになりました。

そして、この出来事について、アーカイブスの文書は何を語っているのでしょうか。

ドイツ軍の総司令部は、もし本当のことを言われても、おそらく信じられなかったでしょう。

ナチスの小隊を壊滅させたのは、砲弾で傷ついた若い20歳のクリミアの少女マリア・バイダだったのです。


以下はマリアの回顧録より


1942年6月7日、ドイツ軍によるセヴァストポリへの3回目の攻撃が始まるとわたしは1人で前線に偵察に出ました。

わたしの中隊では弾薬が極度に不足し、わたしは戦死した敵兵から武器を調達しなければならない状態でした。

そしてドイツ軍の砲撃が激しさを増してきた時です。


“ヴォ~ン!”


「アアッ!」


突然わたしのすぐそばに着弾し激しい爆発が起きました。

わたしは頭と右腕を負傷し、脳震盪を起こして意識を失ってしまったのです。

そして、わたしは夜になると我に返ります。


「わたし、どうしたんだろう・・。」(わたし)

「そうだわ、砲撃に遭ったんだわ。」

「とにかく、まず本部に戻らなきゃ。」


その時、ドイツ軍が防衛線を突破してきたのです。

わたしは人知れず森を抜け、殺されたドイツ兵からサブマシンガン2丁を奪い壕の跡地を通りかかりました。

うっすらと明かりが見えたのでわたしは腹ばいになって壕の方を注意深く見たのです。

そこには20名程のドイツ兵がいました。

そして、この廃墟の中では味方の中隊の兵士8人の尋問が行われていました。

酷い拷問を受けたのか負傷して動けない男性兵士4名と、その傍らにこれから尋問を受けようと待つ若い女性兵士4名が見えました。

味方の兵士8名はわたしから向かって左側に座った状態で拘束されていました。

右側には合計23名のドイツ軍兵士と指揮官の将校が立っていました。

わたしはそんな状況をとっさに理解し、どうするか判断しなければならなかったのです。


「敵は23人、わたしは1人。」(わたし)

「どうしようかしら?」

「しかも、味方は4名負傷しているし・・。」

「でも4名の女子はみんな無事だわ。」

「こうなったら、こうするしかないかも。」


わたしはドイツ兵から奪い取った2丁のMP40短機関銃を左右の肩からぶら下げて構えました。

その時わたしは廃墟になった壕の斜面の上方で彼らをうかがっていたのです。

わたしの位置はちょうど味方の捕虜達とドイツ軍小隊を見下ろす状態だったのです。

意を決したわたしは単身で襲撃し、彼らを救出しようとしたのです。

無謀な賭けでしたが、わたしには他に選択肢がありませんでした。


「よ~し、見てなさい。」(わたし)

「今だわ!」


いきなり立ち上がったわたしは向かって左側の味方の兵士達に向かって叫びます。


「みんな、伏せて!!」


その言葉と同時にドイツ軍小隊に向かって2丁のサブマシンガンで銃撃を開始したわたし。


「ソレ~!」


“ババババババババババババババッ!”


「コノ~!!」


“ババババババババババババッ!”


ドイツ兵達を見下ろしながらの銃撃乱射は、狙う必要もなく体を彼らの方に向けるだけでその弾幕が次々とドイツ兵達を薙ぎ倒していきました。


「面白いくらいにバタバタと倒れていくわ!」(わたし)


まだ20歳の女子による無謀な襲撃も予想外に上手くいったのです。

不意を突かれたドイツ軍小隊はあっという間に11人が撃ち殺され、残りの12名も銃弾を浴びて、のけ反る者や屈む者、倒れ込む者などすぐに反撃できる者は1人もいませんでした。


「今だわ!」(わたし)

「奪うのよ!」


わたしは4人の女子達に向かって叫びました。

捕虜になっていた女子4名が一斉に薙ぎ倒されたドイツ兵に襲い掛かり銃を奪い取ります。

ドイツ兵の半数はわたしによって撃ち殺され、残りの兵士もみな負傷した状態でした。

そんな彼らに襲い掛かった少女達は、立ち上がろうとする者や、銃を取ろうとしている兵士の顔や胸を激しく蹴り上げます。


「コノヤロ~!」(女子兵士)


"パコ~ン!"


「エイッ!」(女子兵士)


"パカーン!"


一挙に形勢が逆転して勢いづく女子兵士達だったのです。


挿絵(By みてみん)

マシンガンを手にドイツ兵を襲うマリア


第3部・後編に続く・・。

次回の更新は10月29日(0:00)になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ