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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第6回・女子飛行連隊の少女達・第6部



 この女子飛行連隊シリーズで最後に登場するのは“夜の魔女”として有名になった第588女子夜間爆撃機連隊です。(後に第46親衛夜間爆撃航空連隊と改名)

この連隊の活躍ぶりは「ナイト・スワローズ」という映画で描かれていて、戦闘描写が比較的忠実に再現されています。


この連隊で使用されていた機体はPo-2という複葉の練習機で、武装は貧弱で機銃も無く(大戦後期には旋回機銃が装着されました)パイロットの護身用の拳銃だけで、搭載する爆弾も90kg爆弾が4発でした。

ドイツ軍の地上部隊を直接攻撃する時は、小型の爆弾を後部座席のナビゲーターが手で投げ落とす事もありました。

最高速度がわずか160kmのこのか弱い飛行機は、その弱点を利用してドイツ軍に多大な損害を与え続けました。

離着陸の距離が短いため、敵の数キロ圏内で道路や野原を使って離着陸し、ゲリラ的な爆撃を行っていたのです。

彼女達による執拗な夜間爆撃はハラスメント爆撃(嫌がらせ爆撃)と呼ばれていて、ドイツ軍を心身ともに消耗させました。

地上の偵察分隊と連携して、あらかじめチェックしたドイツ軍の集結地点へ暗闇の中を飛んでいき、

目標地点手前でエンジンを切って滑空し、照明弾を落としてから爆撃するという戦法でした。

米軍の大型爆撃機によるじゅうたん爆撃とは真逆のピンポイントでの無駄のない爆撃でした。

ドイツ軍の軍事施設、戦車や戦闘用車両、兵士たちを狙って正確に爆砕していったのでドイツ軍兵士達の損耗は非常に大きかったのです。


当時まだ20歳だった爆撃隊パイロットのマリナ・チェチュノワさんの話です。


1942年5月、わたし達はコーカサス戦線で闘っていました。

わたしはまだ20歳で航法士のオルガは22歳でした。

ついこの間まで女子大生だった若いわたし達。

そんなわたし達でもドイツ軍を相手に大きな戦果を挙げていました。


わたし達は毎夜ドイツ軍を痛め付ける為に出撃していたんです。

昼間の偵察隊の情報をもとにチェックされた敵の集結地点に向かって飛ぶのです。

真っ暗な中、ナビゲーターのオルガの正確な計算だけが頼りでした。

そしてわたし達は暗闇の中で地上に敵の気配を感じました。


「オーリャ、照明弾を落とすのよ。」(わたし)


「分かったわ!」(オルガ)

「わたしの計算は正確なんだから。」

「きっと、敵がいるはずよ。」


照明弾を落とすと大勢の敵兵や車両が目に入りました。


「ホラッ、わたしの言った通りでしょ。」(オルガ)


「ホントだわ!」(わたし)

「さすが、オーリャね。」

「さあ、ひと暴れするわよ!」


爆弾は合計4発で、2発づつ投下するんです。

エンジンを切って滑空を始めるわたし達のPo-2。

そして1回目の2発を準備するわたし達。


「今よ!」(オルガ)


「それっ!」(わたし)


投下レバーを引くわたし。


“ヴォーン!”

“ヴォーン!”


わたし達の背後で凄まじい爆発が起こりました。

敵のトラックが爆発し10名程のドイツ兵が火だるまになってもがいているのがチラリと見えたんです。気持ちが高揚したわたしは思わず叫んでいました。


「やったね!」(わたし)

「思い知ったか!」


「イェ~イ!」(オルガ)

「ざま~見ろ!」


可愛らしく右手を振り上げて喜ぶオーリャ。

わたしはエンジンを掛けて上昇し、次のわたし達の獲物に狙いを付けます。


「あの装甲車両がいいかも。」(わたし)


そう思ったわたしは奴らに向かって機首を下げます。


「周りにドイツ兵もたくさんいるわね。」(オルガ)


「あいつらも道連れだわ。」(わたし)

再びエンジンを切って滑空し2回目の爆弾投下に入ります。


「それっ、もう1発よ!」(わたし)

「これでも喰らえ!」


“ヴォヴォーン!”


今度は2発同時に爆発しました。

装甲車が吹っ飛んで、もう1発はドイツ兵の群れの真ん中で炸裂したみたいでした。


「ウワッ、やったわァ!」(わたし)

旋回しながら、わたし達の戦果を確認すると・・。

燃え上がる敵の装甲車に、体を吹き飛ばされて散らばった十数人のドイツ兵の死体が見えました。


「ホント、いい気味だわ。」(わたし)


「いい気分ネ。」(オルガ)


わたし達は満足そうに微笑みながらその場を離れました。

こんな風にわたし達は日々ドイツ軍に損害を与え続けたのです。


わたし達は810回出撃し敵に115トンもの爆弾を投下したのです。

わたし達が破壊した標的は敵の軍需倉庫を6棟、鉄道の踏切を5箇所、列車を1編成丸々破壊炎上、敵航空機1機を地上で破壊、サーチライト陣地を4箇所破壊、対空砲台も4箇所破壊しました。

破壊した敵の車両は数えきれない程たくさんありました。爆撃で焼き殺したドイツ兵は恐らく数百人に及んでいたと思います。


挿絵(By みてみん)

制服姿のマリナ・チェチュノワさん(当時20歳)

挿絵(By みてみん)

私服姿のチェチュノワさん

挿絵(By みてみん)

ドイツ軍地上部隊を殲滅したチェチュノワさん(右)と航法士のオルガさん(左)


この2人のヒロインは大戦を生き抜き、チェチュノワさんは戦後、航空業界でパイロットとして勤務しました。


第7部につづく・・。

(次回の更新は8月27日0:00になります。)


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