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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第6回・女子飛行連隊の少女達・第2部

 女子飛行連隊を実戦に投入することを決めた上層部は、彼女達に侵攻してくるドイツ軍部隊への攻撃を命令しました。


ドイツ軍地上部隊への攻撃について当時20歳の少女クラウディア・ブリノワさんの回想より


1942年の10月頃でした。

わたし達、女子戦闘機連隊の隊員はまだまだ実戦経験が浅くドイツ空軍の戦闘機との空中戦などは避けるようにと言われていました。

わたし達が命じられたのは、スターリングラードに侵攻中のドイツ軍地上部隊への攻撃でした。

途方もない数の車両と兵士が大平原を侵攻中なのです。

そんな大部隊に上空から機銃掃射を加えるのがわたし達の任務でした。

低空飛行で敵の車列や兵士達の一団に機銃弾と機関砲弾を浴びせるのです。

そして今日、わたし達にとって初めての実戦を経験する機会が巡ってきました。

出撃するのはわたしと僚機の2機でした。

ペアを組んだのはわたしの友人のアントニナ・レベデワでした。


これはわたし達にとって初めての出撃でした。


「わたし達、ちゃんと戦果を挙げられるかしら?」(レベデワ)


少し不安そうなレベデワを勇気づけるわたし。


「訓練通りにやればできるわよ、わたし達!」(わたし)


出撃したわたし達はすぐにドイツ軍の大部隊を見つけました。

わたし達の眼下には数えきれない程の戦車や装甲車、トラックに大勢のドイツ兵が進撃中でした。


“今からわたし達、コイツらをやっつけるのね。”


わたし達は平原に展開している戦車部隊よりも、道路上で長い車列を作って進軍している車両部隊と歩兵部隊の方が効率的に損害を与えられると思いました。

わたしは不思議と恐ろしさよりもむしろわくわくする気持ちの方が勝っていたんです。

友人のレベデワも同じ気持ちだったと思います。

この任務では超低空航法の腕の見せ所で、素早く300mまで上昇して敵の位置を確認するんです。


「いるいる、たくさんいるわ!」(わたし)


「わたし達の獲物が・・!」


急降下に入って機首と射線を車輛隊列に真っすぐに向け続けなければなりません。

わたしの足は方向舵ペダルを左右に蹴り続けるんです。

そして、狙いをつけて・・。

発射ボタンを押すの。


「エ~イ!!」


“ズドドドドドドドドドドドドドッ!”


機関砲と機銃の曳光弾がナチスの装甲車両やトラックや兵士の群に吸い込まれていくんです。


“ズヴォーン!”

“ヴォヴォーン!”

“プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ!”


次々に爆発する装甲車両やトラック!

まるで虫けらでも踏み潰すように、わたしの放った弾丸が大勢のドイツ兵どもをバタバタと面白いように薙ぎ倒していきました。


「もう、やったね!」(わたし)


「いい気分、爽快だわ!」


“奴らの長い長い隊列に、わたしは弾切れになるまで正義の弾丸を浴びせ続けてやりました。

全弾撃ち尽くすまでの20秒程がホント、最高の気分だったわ。

このわずか20秒がわたしにとっての至福の時間なの。”


「どんな感覚かって?」


「わたし達の履いているブーツで・・、」


「地面のアリの行列を踏み潰す感覚かしら。」


「もちろん、わたしに踏み潰されるのはナチの奴らよ。」


「この闘いは、わたし対やつら。」


「奴らは戦車に装甲車に兵員輸送トラックに大勢のドイツ兵ども。」


「あれだけたくさんいても、たった1人のわたしの方が圧倒的に有利なの。」


「わたしはやつらの上空から、狙いをつけて指で軽く発射ボタンを押し続けるだけだわ。」


「奴らの抵抗は可哀想なくらい、ホント無力だったわ。」


「1回の掃射で何人殺したかですって?」


「100人?200人?その位かしら。」


「わたしの撃ち込んだ弾丸で装甲車両やトラックが何両も爆発して炎上するの。」


「数秒前に爆発した車両の炎と黒煙の中を突っ切って飛ぶ爽快感!」


「たまらないわ!」


「ある時なんか、兵員満載のトラックと隊列を組んで歩いてるドイツ兵どもを集中的に掃射してやったの。」


「わたしの撃ち込んでる弾丸が無数の土煙を上げて、辺り一面にいた人影がバタバタと薙ぎ倒されていったわ。」


「あの時、わたしが味わった高揚感と爽快感は忘れられません。」


「地上はわたしの撃ち込んだ弾丸で燃え上がる車両と無数の死体とでホント、地獄だったのよ。」


「そんな光景をゆっくり眺めるわたし。」


「そして、わたしは満足気に笑いながら帰途につくの。」


わたしが撃ち殺したやつらを可哀想だなんて思った事は一度もありません。

むしろ、もっと破壊して殺したいっていう感じだったと思います。


わたしが一撃を加えた後、今度はレベデワが掃射を始めました。


「アーニャ、やっちゃえ!」(わたし)


“ズドドドドドドドドドッ!”


“ズヴォーン!”

“ズヴォヴォ~ン!”

“プシュン、プシュン、プシュン、プシュン!”


彼女の掃射も見事なくらい正確で、次々に破壊される車両と撃ち殺されていく大勢のドイツ兵どもで地上は更に酷い有り様だったわ。

憎いドイツ兵どもを薙ぎ払ってやったわたし達。


「やったね、アーニャ!」(わたし)


彼女の活躍ぶりに胸のすくような思いのわたし。

たった今、彼女が破壊した車両が燃え上がり、撃ち殺されたドイツ兵どもの死体は数十名どころじゃなかったかもしれません。

掃射を終えて旋回した彼女。

上空でわたしと目が合うとにっこりと満足そうに微笑んでいたわ。

きっと彼女もわたしと同じ高揚感を味わっていたんだと思います。


挿絵(By みてみん)

女子戦闘機隊のクラウディア・ブリノワさん(当時20歳)

彼女はその後爆撃機2機と戦闘機1機を撃墜しました。

そして各戦線を転戦した後の1943年8月4日、敵に撃墜された彼女はドイツ軍の占領地域で捕虜になりました。ナイフで衛兵を殺して自力で脱出すると自軍に復帰して終戦まで戦い続けました。

大戦を生き抜いた彼女は戦後キエフで上級スチュワーデスとして働きました。


挿絵(By みてみん)

女子戦闘機隊のアントニナ・レベデワさん(当時26歳)

彼女もその後爆撃機を3機撃墜しました。

翌年1943年の7月17日、彼女は30機の敵と交戦中に撃墜され戦死しました。


第3部につづく・・。

(次回の更新は7月30日0:00になります。)

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