第5回・ドイツ精鋭装甲師団を壊滅させた少女達・第5部
いよいよ女子高射砲連隊が守る各砲台陣地が壊滅し、37門全ての砲がドイツ軍によって撃破されました。生き残ったわずかな少女達は一矢報いようとトラクター工場に戻ってきたのです。
ここで最後の闘いが始まろうとしていました。
わたし達が守っていた各砲台は壊滅状態になり37門の高射砲全てが破壊されました。
そしてわたし達の陣地の前衛とトラクター工場の正面付近で応戦していた400名の民兵大隊は全滅し2両のT34と3両の装甲トラクターもドイツ軍戦車の砲撃によってことごとく破壊されていました。
生き残ったわたし(ヴァレリヤ・ネシュポル)と数名の女の子達はトラクター工場に一旦戻りました。
工場は敵機の爆撃で酷く破壊されていて、もはや中には誰も残っていませんでした。
わたし達は工場内に停め置かれていた4連装マキシム対空機関銃を装備したトラックの所に行きました。
「どうするのよヴァレリヤ。」(マリア)
「この機銃で奴らに思い知らせてやるのよ。」(わたし)
「じゃあ、わたしにやらせて下さい!」(リリー)
可愛らしい顔をした17歳の少女リリアがトラックの荷台に上がります。
「リリー、あなたこの銃の扱い方知ってるの?」(わたし)
「大丈夫です、わたし何回か訓練で撃ったことがあります。」(リリー)
そういうと、慣れた手つきで4連装機銃の射撃準備を始める彼女。
ちょうどその時、工場の正面にわたし達の民兵大隊を全滅させたドイツ軍の歩兵部隊が到着したのです。
十数台のトラックに分乗したドイツ軍自動車化師団の兵士達が工場の正面でトラックを降りて整列し始めました。
およそ200名のドイツ軍兵士達がわたし達のすぐ目の前に並んでいるのです。
彼らとの距離はわずか100mほどでした。
恐らく彼らは守備大隊を壊滅させたので工場内には誰も残っていないと思っていたのでしょう。
生き残ったわたし達が待ち構えているとは想像もしていなかったんだと思います。
工場内に停まっていたわたし達のトラックは正面に向かってやや斜めになっていて、4連装機銃にはカーキ色のシートが被せてありました。
彼らの側からは壊れたトラックにしか見えなかったのかもしれません。
ここで奴らを待ち伏せしていたのは・・。
わたし(ヴァレリヤ・ネシュポル)、19歳のヴァレンチナ、18歳のニコラエフナ、18歳のマリア、17歳のタイシア、そして17歳のリリアの合わせて6人でした。
リリアは4連装マキシム機銃のショルダーアームを両肩に当て、泥で汚れた彼女のブーツは荷台の床をしっかりと踏み締めて踏ん張っていました。
わたし達はサブマシンガンを手に取ってトラックの周辺の物陰に隠れて様子を覗っていたのです。
「わたし、もう我慢できません!」(リリー)
「早くわたしに撃たせて下さい!」
小声でわたし達に指示を仰ぐ彼女。
「もう少し待ってちょうだい。」(わたし)
わたしはドイツ兵どもの動向を注視していました。
やがて彼らはほぼ整列した隊形で工場内に向かって歩き始めました。
横に10人、縦に20人づつ位いました。
「全部わたしが撃ち殺してやります!」(リリー)
「見ていて下さい!」
「わかったわ!」(わたし)
「それじゃあ構えて!」
わたし達もサブマシンガンを構えて待ちます。
「今よ!」(わたし)
「撃ちなさい!」
わたしの合図と共に、リリーは機銃に掛けてあったシートの端に左足のブーツのつま先を引っ掛けてそのまま蹴り剥がしました。ぴかぴかに黒光りした4連装機関銃の銃身をドイツ兵の群れに向けると、容赦なく射撃ボタンを押すリリー。
“ドドドドドドドドドドドドッ!”
“ドドドドドドドドドドドドッ!”
“ドドドドドドドドドドドドッ!”
“ドドドドドドドドドドドドッ!”
「エ~イ!」(リリー)
「思い知れ~!」
叫びながら銃口を開いた彼女。
ゆっくりと銃身を左右に振りながら舐め回すようにドイツ兵達に銃弾を浴びせまくります。
口元は緩み、せせら笑いながら殺し続ける彼女。
この4連装マキシム機関銃の威力は凄まじく、横一列に並んだ4つの銃身からは無数の黄色い曳光の帯が大勢のドイツ兵どもに吸い込まれていきました。
彼らを1人残らず全滅させるのに30秒も掛かりませんでした。
彼らは成す術もなくバタバタと薙ぎ倒されていったのです。
200人以上もいたドイツ兵ども、もはや1人残らずリリーの撃ち放った弾丸を避ける事はできませんでした。
わたし達の前には、たった今リリーによって撃ち殺された無数の遺体が横たわり、辺り一面には硝煙のニオイが立ち込めていました。
「やった、やった~!」(リリー)
「やったね!」
「わたし、みんなの仇を取ってやったわ!」
荷台の上で飛び跳ねながら喜ぶリリー。
「わたし達の出る幕は無かったみたいね。」(タイシア)
半ば呆れたような表情でリリーを見上げるタイシア。
「みんなの分も、」(リリー)
「わたしひとりで全部殺しちゃって・・。」
「ホント、ごめんなさい!」
「あとは、わたし達に任せて。」(わたし)
わたし達は生き残りがいないか確かめるために、サブマシンガンを手に折り重なるドイツ兵どもの遺体の中を歩き回りました。
足の踏み場も無いほどたくさんの死体が散乱していたので、わたし達は遺体をそのままブーツで踏み付けながら歩きました。
まだ温かさの残る多くの遺体を泥まみれのブーツで踏み付けるのはさすがに敵といえども、少しためらいがありました。でもわたし達はそうするしかありませんでした。
ブーツのつま先で小突いたり、少し蹴ってみたり、額や頬を踏み付けてみたりと死んでいるか確かめて歩くわたし達。
「コイツめ~!」(マリア)
“バババッ!”
虫の息のドイツ兵を容赦なく撃ち殺すマリア。
「しぶとい奴め。」(ニコラエフナ)
「許さないわ!」
「エイッ!」
“ドスッ!”
まだ息のある男の顔を踏みにじりながらマシンガンの銃床で殴り付ける18歳の彼女。
「これはわたしの分よ!」(タイシア)
“ヴァス!”
「これはみんなの分よ、エイッ!」
“ドスッ!”
「そしてこれはわたしの友達の分だから!」
「ソレッ!」
“ガシッ!”
重傷を負った男の頭にブーツのカカトを打ち付ける17歳のタイシア。
この哀れな男は彼女の2発目の蹴りで息絶えたようでした。
みんなうっ憤が溜まっていて、怒りをぶつける相手が欲しかったんだと思います。
半ば私的制裁のような処刑が行われてしまったのです。
もちろんわたしもまだ息のある男を見つけると渾身の力を込めてブーツで踏み付けたり、マシンガンで撃ち殺して歩きました。
生き残っていた者はわずかに12~3人ほどでした。
それだけいれば、わたし達が憂さを晴らすのには十分だったのかもしれません。
ドイツ兵どもを壊滅させたわたし達は、工場を脱出してトラクター村に向かいました。
その後、わたし達は第62軍本隊に合流することができたのです。
最終第6部につづく・・。
(次回の更新は7月9日0:00になります。)




