第5回・ドイツ精鋭装甲師団を壊滅させた少女達・第2部
ドイツ空軍機の爆撃に対して徹底抗戦し10機を撃墜して意気上がる女子砲兵達。
いよいよドイツ軍最精鋭の装甲師団が進撃を開始します。
ところが、この師団は進撃の速度があまりにも早く、支援の為の歩兵師団の主力がまだ現地に到着していませんでした。
戦車部隊と行動を共にする装甲擲弾兵とトラックやハーフトラックに分乗した自動車化歩兵大隊の兵士達が装甲師団を支援していました。
たった今、ジーナが撃墜したメッサーシュミットのパイロットが間一髪で脱出していました。
彼はわたし達の前方をパラシュートで降下しています。
わたし達にとっては格好の標的のように思えたのです。
そんな哀れなドイツ人パイロットを指さしながらエレナがつぶやきます。
「うふふっ、あいつも撃ち殺しちゃえば!」(エレナ)
笑いをこらえようと口元を手で押さえるエレナ。
17歳の少女ジーナがゆっくりとパイロットに照準を合わせます。
そして、息を整えて・・。
「撃て!」(エレナ)
“ドッドッドッドッドッドッ!”
彼女のブーツが射撃ペダルをギュッと踏み込みます。
弾切れになるまでブーツで発射ペダルを踏み続けるジーナ。
可哀想なドイツ人パイロットは体中を彼女の放った銃弾で無残に撃ち抜かれ、
パラシュートの白い花もしぼんだ状態で落下していきました。
「いい気味!」(エレナ)
「ざまぁ見ろ!」
舌打ちして、惨殺されたパイロットを笑いながら見つめるエレナと少女達。
たった今、彼を撃ち殺した少女ジーナは呆然とした表情で発射ペダルから足を離しました。
生まれて初めての戦闘で、生まれて初めて生身の人間を撃ち殺して動揺する彼女。
パチン、と指を鳴らしてニヤつく女子隊員が彼女の浮かない表情に気づきました。
「どうしたの?そんな顔して。」(エレナ)
「わたし、殺しちゃった。」(ジーナ)
「だって、あいつわたし達の友達を殺したんだよ!」(エレナ)
「当然の報いよ。」
「そうよねえ。」(マリヤ)
「いい気味だわ!」
そんなやり取りをしながら次なる攻撃に備えるわたし達でした。
わたしは女の子達をうまく束ねていたのかもしれません。
実戦初経験で結果を出して意気上がる女の子達。
「わたし達の実力、見せつけてやったわよ!」(わたし)
「次の攻撃に備えましょう!」
わたし達の奮戦で第一波の攻撃は何とかかわしました。
わたし達はJu87を4機、Bf109戦闘機を2機撃墜しました。
ニーナ達の85mm砲も効果的に弾幕を張っていました。
「いつでも掛かって来なさい!」(エレナ)
「わたし達が相手よ!」(わたし)
最初の迎撃戦果に気を良くしたわたし達。
この後更に第二波の爆撃が始まりました。
わたし達の陣地目掛けて急降下を開始するJu87が10機ほど迫っていました。
「狙いを付けて!」(ニーナ)
「撃て!」
“ズドーン!”
“ズドーン!”
“ズドーン!”
85mm高射砲が一斉に砲撃を開始するとJu87が1機、直撃を受けて粉々に砕け散りました。
「ヤッタネッ!」(アレクサンドラ)
砲手のアレクサンドラが右手を突き上げて叫びます。
更に1機、今度は37mm機関砲弾が命中しJu87は煙を噴きながら墜落していきました。
“ヴォヴォーン!”
命中させたのは18歳のゾーヤでした。
「わたし、やっちゃったわ!」(ゾーヤ)
「嬉しい、やったね!」
喜びを爆発させる女の子達。
わたし達の落ち着いた射撃は更に2機のJu87を撃墜しました。
予想外に多くの機体を失って引き揚げていくドイツ空軍機。
わたし達の損害は戦死者が7名と負傷者が8名でした。
85mm高射砲が3門使用不能になりました。
ただトラクター工場には多数の爆弾が命中してかなりの損害が出ていました。
「みんな、わたし達の力を信じましょう!」(わたし)
「わたし達って凄くない?」(エレナ)
「10機もやっつけたんだよ!」(ゾーヤ)
「やったね~!」(女子達)
「わたし達!!」
土のうを積み上げた陣地も3ヶ所程破壊されていました。
しかしわたし達の士気は下がるどころか上がっていったのです。
それはわたし達にとって、もう逃げ場が無かったからなのかもしれません。
敵の爆撃が一旦終わるといよいよ機甲部隊がわたし達に向かって進撃を開始しました。
遠目に見ても数百両の戦車や装甲車、ハーフトラックに兵員輸送トラックがいました。
「同志上官殿、敵の戦車隊です!」(ニーナ)
前方の平原からドイツ軍装甲師団が動き始めるのが見えました。
【この時、戦車200両と兵員を満載した300台以上の車両で編成された第16装甲師団と第3自動車化歩兵師団が進撃を開始しました。工場から少女達を援護しようとT34戦車2両と装甲トラクター3台がやってきました。そして高射砲陣地の周囲に約400名の民兵大隊が展開したのです。】
ドイツ軍側は2回の爆撃で、このか弱いわたし達の砲兵陣地を完全に潰したと思い込んでいたみたいです。
「全員、落ち着いてよく聞きなさい!」(司令官のイワノビッチ大尉)
「これから、火炎瓶を配ります。」
「敵の戦車が近づいてきたら、」
「砲塔の後ろのエンジンルーム目掛けて投げつけるように。」
対空陣地のわたし達にとって地上軍との戦闘は想定外だったのです。
敵の爆撃機を何とか撃退して10機撃墜した事は、わたし達の大きな自信になっていました。
でも戦車に火炎瓶を投げつける様な白兵戦への命令にはみんなうつむいてしまいました。
「わたし達、どうしよう。」(ジーナ)
「火炎瓶なんて、投げる前に殺されちゃうよ。」(ゾーヤ)
すると進行中のドイツ軍戦車が突然発砲を始めました。
“ズドーン!”
“ズドーン!”
“ヴォヴォ~ン!”
わたし達の85mm砲陣地が女子砲兵と男性下士官もろとも吹き飛ばされました。
第3部につづく・・。
(次回の更新は6月18日0:00になります)




