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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第5回・ドイツ精鋭装甲師団を壊滅させた少女達・第1部

今回は第5回目となるソビエト軍少女兵戦記です。

今回ご紹介するソビエト少女兵戦士はスターリングラードで活躍した第1077女子高射砲連隊の女子兵士達です。

尚、本作品は全6部作となります。

さて、本日登場する少女兵達は文字通り17歳~18歳の少女達56名(女子隊員総勢75名)で構成された部隊で、スターリングラードに侵攻してきたナチスドイツの精鋭部隊に大きな損害を与えました。

彼女達はスターリングラードのトラクター工場で勤務する志願兵でした。

年齢は17歳~18歳の少女達が中心で高校を卒業して間もない女子もいました。

当時のソ連では女性兵士が対空防衛陣地に大勢配備されていました。

その総数は177,065人です。

ソ連軍全体の高射砲部隊要員のおよそ24%が若い女子隊員でした。

防衛する地域によっては部隊全員が女子隊員というところもありました。

彼女達によって撃墜されたドイツ空軍機は数千機に及びました。

経験豊富なドイツ空軍のパイロットは、ソビエト軍の女子高射砲部隊の正確な射撃に対して恐れを感じていたようです。彼女達の守るエリアを通過するより、トブルクのイギリス軍陣地の上を10回飛ぶ方が遥かに楽だったと語っていました。

いわば狙撃銃の大砲版ですから、男性兵士不足の内地で防空任務に大勢の女子が参加していたと思われます。

モスクワを中心にソビエト連邦の防空任務を担っていた女子隊員達。

女の子の部隊ごとにドイツ軍機の撃墜機数を競っていたようです。

そしてこの1077女子高射砲連隊が守備していたのはスターリングラード北郊外のヴォルガ川に近いトラクター工場でした。

このエリアはソ連軍にとって戦力的に最も手薄な場所で、そこを狙ってドイツ軍が侵攻してきたのです。

 1942年8月スターリングラード郊外のヴォルガ川付近での事。


スターリングラードを攻略するために進撃してきたドイツ軍はグスタフ・フォン・ヴィータースハイム大将率いるドイツ国防軍第14装甲軍団でした。そして先鋒を務めるのは最精鋭のフーベ中将が指揮する第16装甲師団でした。

この部隊は大戦初期から快進撃を続けてきた装甲師団で、ヒトラー総統のお気に入りでした。

当時最も戦闘経験のある同師団がヴォルガ河近郊から進軍を開始したのは1942年8月23日でした。

このエリアにいた唯一のソ連軍部隊はトラクター工場の労働者で組織された民兵大隊と女子高射砲連隊だけだったのです。

この第1077女子高射砲連隊の戦力は37mm対空機関砲と85mm高射砲とで合計37門でした。

この高射砲群の他にトラックの荷台に据え付けられた4連装マキシム対空機銃が1挺、そして対空射撃用に通常のマキシム機関銃も数挺ありました。

これらの兵器を担当していたのが56名の女子志願兵(17~18歳)を含む総勢75名の女子隊員達でした。

この56人の若い女子達は1942年4月に志願兵として出征し、始めて大量に採用されました。

カムイシンやその他の地域からやって来た彼女達はスパルタノフカ・ヴィノフカ・リノク地域のトラクター工場の北にある第1077高射砲連隊に配属されました。

この連隊は3個の中隊によって構成されていました。

これらの防空兵器を担当していた56人の少女兵の他に20~26歳の女子が19人いました。

この20代の女子達が少女達のリーダー格となって女の子達を束ねていたのです。

そして彼女達が所属していた各中隊では男性士官と下士官数名が指揮を執っていて、この連隊の指揮官は赤軍の男性大尉でした。

ここに配備された女子達は志願兵としてわずか数ヶ月前に兵役に就いたばかりでした。

そして対空射撃の訓練は受けていましたが、実戦経験ま全く無く射撃するのも殆どの女子が初めてでした。

彼女達の他に戦車2両、装甲トラクター3両、それに約400名の工場労働者(男性)による民兵が支援部隊として常駐していました。

ドイツ軍最高司令部はソ連軍の守備が最も手薄なこのラインを簡単に突破できると確信していたのです。

地上部隊の進撃の前に、ドイツ空軍第4航空艦隊のユンカースJu87急降下爆撃機がメッサーシュミットBf109戦闘機隊に援護されて彼女達の守る高射砲陣地とトラクター工場に爆撃を開始しました。


「敵機来襲!」   

「総員配置に着け!」


指揮官のイワノビッチ・ダホフニク大尉の声が響きます。

Ju87急降下爆撃機があの独特のサイレン音を鳴らしながら降下に入りました。


ドイツ軍部隊の侵攻を覚悟していた女子兵士達。

それでも全員が実戦経験どころか、射撃すら初めてという女の子が大半でした。

そんな彼女達を叱咤激励するのがリーダー各の23歳のニーナ・シリアエワでした。

そしてわたし、20歳のバレンティナ・ネシュポルだったのです。

わたし達は初めての敵との遭遇に浮き足立っていました。

そんな女の子達を奮い立たせなければならないと思いました。

ニーナが落ち着いた口調で女の子達に指示を出します。


「いいこと、訓練通りによく狙って撃つのよ!」(ニーナ)


「撃て!」(指揮官)


“ズドーン!”

“ズドーン!”

“ズドーン!”


85mm高射砲が一斉に火を噴きます。

そして37mm対空機関砲も射撃を開始します。

対空機関砲を担当するのはわたし。

わたしは急降下してくるユンカース爆撃機の方位を確認します。


「あのユンカースを狙いなさい!」(わたし) 

「落ち着いて狙うのよ。」


射手は17歳のアンナでした。

経験の浅い彼女でしたが、とても落ち着いていました。

間近に迫って来るドイツ軍機

あの独特なサイレン音が恐怖心を搔き立てます。


「撃て!」(わたし)

わたしの号令と共に射撃ペダルを踏み込むアンナ。


“ドッドッドッドッドッドッ!”


アンナの放った機関砲弾がユンカースJu87を直撃し、あっという間に火の玉になりました。


“キュィ~ン!”

“ヴォーン!”


機体は燃えながら地上に激突して爆発しました。


「イェ~~!」(女子達)


「やったね~!」


少女達から黄色い歓声が上がります。


「やるじゃない!」(わたし)

「さあ、もう1機狙うわよ!」

更に飛来する次なるユンカースを狙うように指示するわたし。


「撃て!」(わたし)


“ドッドッドッドッドッドッ!”


“ヴォッ!”

“ヴォーン!”


アンナの射撃は極めて正確で2機目のJu87にも命中して空中爆発を起こしました。


「イェ~イ!」(女子達)


「やったね、わたし達っ!!」(わたし)


またまた少女達は両手を突き上げて喜びに打ち震えます。

たった今、2機のドイツ軍機を撃墜した17歳のアンナは、はにかんだ表情で空を見上げます。

すると、喜びも束の間で1機のメッサーシュミット戦闘機が低空で機銃掃射を掛けてきました。


「みんな、伏せて!」(わたし)


“ドドドドドドドドッ!”


対空砲陣地の女子が2人薙ぎ倒されました。


「クソッ!」(タマラ)


「コノヤロ~!」(ライサ)


少女達から怒りの声が上がります。


「アイツ、狙っちゃいなよ!」(エレナ)


攻撃を終えたメッサシュミットは低空から離脱の為上昇を開始します。

そちらの方向に砲身を向けていた対空機関砲座のジーナが狙いをつけます。


「いいこと、あの子達の仇を打つのよ!」(わたし)

「撃て!」


“ドッドッドッドッドッドッ!”


“ヴォッ!”


一瞬でオレンジ色の炎の塊になって降下を始めるメッサーシュミット。


“キュ~~ン!”

“ズヴォーン!”


炎を噴きながら降下し始めた戦闘機は、正面の丘陵地帯に激突して爆発しました。


「やった、やった~!」(女子達)

「イェ~イ!」

こぶしを振りかざして喜ぶ少女達。


「あれ見て!」


1人の少女が上空を指さします。

戦闘機のパイロットは間一髪脱出してパラシュートで降下していました。


第2部につづく・・。

(次回の更新は6月11日0:00です)

挿絵(By みてみん)

ドイツ軍機を撃墜した女子

挿絵(By みてみん)

マキシム機関銃でドイツ軍機を狙う女子

挿絵(By みてみん)

女子対空機関砲部隊

挿絵(By みてみん)

85mm砲の女子砲兵

挿絵(By みてみん)

女子砲兵達

挿絵(By みてみん)

対空機関砲でドイツ軍を蹴散らしたバレンティナ・ネシュポル

彼女はこの闘いを生き延びて終戦まで闘い続けました。

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