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ソビエト軍少女兵戦記  作者: Kateryna Sheremska
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第4回・恐怖の仲良し少女ペア・第5部(最終話)

 1942年8月14日、ストキ村で彼女達にとっての最後の壮絶な闘いが始まります。

ドイツ軍は失った陣地を取り戻そうと本格的な反撃を開始しました。

敵の砲撃が続き、彼女達の陣営にも1300発以上の砲弾が降り注ぎました。

そんな中、ナタリアとマリアの部隊は敵の防衛網を突破する任務を与えられていました。

すでに戦いは2日目に突入していました。

激しい砲撃の後、ドイツ軍は歩兵部隊を前進させてきたのです。

すべての生き物が消滅したと思っていた敵。

しかし、ソ連軍の兵士たちはしっかりと耐えていました。

もちろん、ナタリアとマリアも健在でした。

1942年8月14日

わたし達の所属する第130歩兵師団は約1時間に渡る砲撃の後、午前6:00に攻撃を開始しました。

午前10時頃、ドイツ軍の狙撃兵がわたし達の第528歩兵連隊の指揮官マオル・タラシュクを殺害しました。

30分後にはわたし達の所属する第4中隊が戦闘に投入されたのです。

13時になるとドイツ空軍のJu87急降下爆撃機15機による激しい爆撃が始まりました。

14時にはドイツ軍が総攻撃を仕掛けてきたのです。

第528連隊の第2大隊は敵の猛攻によりロビア川の右岸に退却しました。

しかし、わたしとマリアのグループには撤退命令が無かった為に左側面で闘い続けました。

わたし達の部隊は完全に包囲されてしまったのです。

わたし達は3名の狙撃兵と11名の短機関銃歩兵と共に敵(武装SS第3装甲師団)の部隊と森の中で激しい戦闘を繰り広げました。



凄まじい砲撃の後、前進を開始したドイツ軍。

わたし達は彼らを迎え撃つ準備を整えつつありました。


「いよいよ敵がやって来るわよ。」(わたし)


「わたし達の出番だわ。」


「今度はわたし達が相手よ!」(マーシャ)

わたし達の守備ラインに敵が接近してきました。

わたし達は全部で16名でした。

まずは狙撃銃を構えて応戦する準備を整えたわたし達。


「いるいる、大勢いるわ。」(わたし)


「奴らはわたし達が全滅したと思ってるのかしら?」(マーシャ)


「あんなに無防備な状態で歩いてくるわ。」(わたし)


「試しに5、6人撃ち殺してやれば分かるかしら?」(マーシャ)

100名近いドイツ兵が密集体形でこちらに向かって前進してきました。

数が多かったから、適当に狙いを付けるわたし達。


「思い知らせてやるわ!」(わたし)

「それっ!」

“バシュン!”

“バシュン!”


「ホラッ、くたばれっつ~の!」(わたし)

“バシュン!”

“バシュン!”

瞬く間に4人撃ち殺したわたし。


「わたしも、!」(マーシャ)

“バシュン!”

“バシュン!”


「やったね~!」(マーシャ)


わたしとマーシャの狙撃に次々と倒れるドイツ兵。

味方の兵士もわたし達に続いて射撃を開始しました。

連続射撃による狙撃と短機関銃の弾幕がドイツ兵に浴びせられ、あんなにたくさんいた奴らが殆ど殺されて無残な死体となって横たわっています。

それでも残った連中に狙撃を加えるわたし達。


「1人も逃がさないわ!」(わたし)

「覚悟しろ!」

“バシュン!”

“バシュン!”


「隠れてんじゃねェよ!」(マーシャ)

「ほらっ!」

“バシュン!”

“バシュン!”


面白いように、バタバタとわたし達に撃ち殺されていくドイツ兵どもだったわ。


「いい気味!」(わたし)

「ざまぁ見ろ!」

わずか1時間程の間に、わたしとマーシャで撃ち殺したドイツ兵は40人以上でした。


「フゥ~、やっと一段落したわね、マーシャ。」(わたし)


「ホントよねえ。」(マーシャ)


「奴ら、これだけ殺しても諦めないかも・・。」


「上等よ!」(わたし)


「やってやろうじゃない!」


ドイツ軍部隊は森の端にある窪地に身を潜めていました。

わたし達の指揮官は既に戦死し、わたしとマリアが指揮を執ることになりました。

そして再び敵が攻めてきたのです。

懲りない奴らは再び100名近い人数で突進してきたんです。

ドイツ兵が数十メートル以内に近づくと、わたしは一斉射撃を命じました。


「撃て!」(わたし)


“バシュン!”

“バシュン!”


わたしもマーシャもとにかく、目の前のドイツ兵を次々と仕留めていきました。

あまりの接近戦にわたしもマーシャも狙撃銃を置いて、サブマシンガンで応戦しました。


「エ~イ!」(わたし)

“ババババババッ!”

わたしの目の前で3人のドイツ兵が薙ぎ倒されたわ。


「ホラッ、かかって来い!」(マーシャ)

“バババババババッ!”


更に4名がバタバタと倒れ、調子に乗るわたし達。


「やったね!」(わたし)

「まるで射的みたいだわ。」

「もっともっと殺してやるわ!」

「エ~イ!」

“ババババババババババッ!”


敵も必死だけど、わたし達も必死でした。

気が付くと、わたし達の眼前にドイツ兵の死体が50人ほど転がっていました。


「敵も一旦退却して休息にはいったみたいね。」(わたし)


「これだけ殺されたんだから当然よ。」(マーシャ)


「わたし達も今日は随分たくさん殺しちゃったわね。」(マーシャ)


「ホント、ホント。」(わたし)


そして大きな損害を出したドイツ軍は再び迫撃砲でわたし達を攻撃し始めたんです。


“ヴォーン!”

“ヴォーン!”

“ヴォヴォーン!”


敵の砲撃は熾烈でした。

わたし達の部隊の兵士も1人、また1人と討ち死にしていきます。

気づけば、わたしとマリア、そして男性狙撃手のノビコフの3人だけになっていました。

ノビコフは重傷を負っていて、とても戦える状態ではありませんでした。


(ここからは、後に唯一生き残ったノビコフが病院で説明したこの時の状況です。また2022年に明らかになったドイツ軍武装親衛隊SS第3装甲師団の戦闘日誌からも詳細な状況が判明しました。)


(ノビコフの回想録より)

ナタリアも負傷し、それでも私を助けようとしました。

その後マリアも傷を負い、2人で包帯を巻き合っていました。

やがて砲撃も収まり、彼女達は力を振り絞って迫りくる敵に応戦しようとしていました、

彼女達は負傷した私を置いて別の塹壕に移動します。

私を戦闘に巻き込みたくなかったのです。

(この時彼は、彼女達のある決意を感じたそうです。)


盛んに応戦していた彼女達は更に十数名のドイツ兵を撃ち殺しました。

そして彼女達はついに弾薬を使い果たしてしまいます。

弾が無くなって、尚且つ負傷している少女狙撃兵に対して、ドイツ軍はロシア語で呼びかけます。


「もう君たちは十分に戦った。」(SS隊員)


「降伏しなさい!」


「わかったわ、少し待ってちょうだい!」(ナタリア)


ナタリアの言葉を聞いたドイツ兵達は彼女達に近づきます。

すると・・。


「これでも喰らいなさい!」(マリア)

「エ~イ!」


“ヴォーン!”

“ヴォーン!”


彼女達は持っていた手榴弾を1つづつドイツ兵達に投げつけました。

予想外の展開に5名のドイツ兵が吹き飛ばされて戦死しました。

彼女達の最後の抵抗に戸惑うドイツ軍指揮官。

(この時、武装SS隊員達は負傷した少女達を生け捕りにしようとしていました。)


「すぐに降伏したまえ!」(SS隊員)


「ロシアの女の子は生きて降伏なんてしないわ!」(ナタリア)

ドイツ兵に向かって応えるナタリア。


「マーシャ、わたし達もいよいよこれまでだわ。」(ナタリア)


「覚悟はいいかしら?」


「もちろんよ。」(マーシャ)


「奴らを道連れにしなきゃ・・。」(ナタリア)


いよいよ抵抗も終わったと確信したドイツ兵達は再び彼女達に近づいていきます。


「まだ少女じゃないか?」


彼女達を取り囲むドイツ軍兵士達。

うずくまって動かなかったナタリアとマリア。

1人のドイツ兵がナタリアの足を軽く蹴った瞬間でした。

いきなり2人が立ち上がると・・。


「死ね!」


“ヴォヴォーン!”


2つの手榴弾が同時に爆発し、彼女達は爆死したのです。

この爆発に巻き込まれて殺害されたドイツ兵は12名。

最後までナチスを殺すことに執念を燃やしたナタリアとマリアの壮烈な最期でした。

この2人の死にざまは一時意識不明になって病院に搬送されたノビコフによって伝えられました。

その後ソ連軍の第130歩兵師団は再びこの地を奪還しましたが、バラバラになった彼女達の遺体を判別することができなかったのです。

彼女達が自爆した空き地には殺されたドイツ兵の遺体が散らばっていました。

ナタリアとマリアの墓は彼女達が戦死したノヴゴロド地方、スタロルスキー地区のコロヴィッチノ村にあります。


挿絵(By みてみん)

殺す事が生き甲斐であり喜びだったナタリアとマリア


次回はシリーズ第5回・ドイツ軍精鋭装甲師団を壊滅させた17~18歳の少女達の活躍です。

次回の更新は6月4日0:00になります。

1942年2月から戦闘に参加したナタリアさんは僅か半年の間に167名のドイツ兵を殺害、

マリアさんは134名を殺害しました。

このナチスキラーの少女達は8月に戦死するまでに公式スコアとして301名のドイツ兵を殺害したのです。1942年8月の最後の戦いで、彼女達は狙撃銃とマシンガンと手榴弾により100名近いドイツ兵を殺害していたので、非公式な戦果ながら少なくとも400名以上のドイツ軍兵士を殺した事になります。

彼女達の勇敢な闘いぶりとその功績により、ソ連邦英雄の称号が贈られる事となりました。

ナタリア・コフショワさんとマリア・ポリバノワさんは、死亡した場所、ノヴゴロド州に埋葬されました。

コロヴィッチノ村には、英雄を偲ぶ記念碑が建てられています。

現在、オレンブルク協同技術学校の軍事栄光博物館には、ナタリアさんとマリアさんの愛国心の高さを示す資料があり、若者の教育の為の一例となっています。

追記

2022年 

バシキールの歴史家バガウディノフ・アイラット・マラトヴィッチは、バシキール出身のナタリア・コフショワと彼女の友人マリア・ポリバノワの戦闘に関する科学的研究を初めて実施しました。

8月14日の戦闘に関してドイツ国防軍と武装親衛隊SS第3装甲師団トーテンコップフの戦闘日誌と残された文書の研究に基づいてより正確な情報が明らかになりました。

2人の少女が闘った相手はドイツ軍武装親衛隊SS第3装甲師団第2大隊(シュトゥルムバンフューラー少佐指揮)の第1中隊(カールシュモツィング中尉指揮)第3小隊でした。


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