7.崩壊
俺は、【アプレンティス・ウィザード】になる!
俺がそう念じると、身体から青く光る粒子が溢れ出してきた。
粒子の量は俺の周りをくるくると回転して、円を作った。
そして、その円はだんだんと狭まっていき、俺の身体に吸収されていった。
【【アプレンティス・ウィザード】へとクラスアップしました。】
【通常スキル【MP自動回復】のレベルが1上がりました。】
【称号スキル【小さな魔導師Lvー】が【魔導師Lv1】へと変化しました。】
【史上1人目の【アプレンティス・ウィザード】へのクラスアップが確認されました。】
【称号スキル【約束された才能Lvー】を得ました。】
よっし、クラスアップ完了だな。
にしても、この【アプレンティス・ウィザード】は俺が最初の1人目だったんだな。
世界は広いし、もっといるもんかと思ってたけど。
そんなもんか。
とりあえず、ステータスの確認でもすっか。
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名称:高嶺慎護
種族:人間
状態:通常
クラス:アプレンティス・ウィザード
LV:1/40
HP:112/142
MP:2/182
攻撃力:111
防御力:78
魔法力:179
俊敏性:116
固有スキル:
【破滅の光】
特殊スキル:
【ステータス閲覧Lvー】【MP自動回復Lv3】
通常スキル:
【ダークバレットLv2】【ディメンションLv2】
【ホーリーバレットLv2】
称号スキル:
【魔導書の主Lvー】【魔王の片鱗Lv1】【下剋上Lv1】
【魔導師Lv1】【棒術師Lv1】【約束された才能Lvー】
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見たところそんなに変わってないな。
レベルがリセットされて、最大レベルが40になったくらいか。
ん?ステータスが10ずつ増えてるな。
これはちょっと嬉しいぞ。
魔法力なんかもうちょっとで200に届きそうだな。
ついでに【MP自動回復】のレベルが上がってるのも地味に強い。
それにしても強くなるって楽しいな。
やっぱり俺も男の子なんだな。
この調子でガンガン強くなって、大手を振って外を歩けるようになりたいな。
とりあえず、今日はさっさと戻ろう。
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俺は1人、校舎の屋上で荒廃した街を眺めていた。
この学校は背後に山を構えているため、街より少々高い場所に存在する。
故に、屋上からは街の景色がよく見える。
謎の亀裂が発生してから既に数日が経っている。
だと言うのに学校は校舎内で救助を待つ姿勢らしい。
全く愚かな選択だ。
あの得体の知れない声の主が言っていただろう。
俺達にはあの怪物と戦う力があると。
俺の唯一の友から借りている本。
異世界転生モノのラノベによると、こういった状況に置かれた場合は、ひっそりと行動を起こすのが良いらしい。
故に、俺はこの数日間の間、山へと出向き、レベルアップに勤しんでいた。
俺は基本的に大人数でいるのを嫌う。
クラスメイト達もその事を理解しているのだろう。
俺がよく居なくなっている事を何ら疑問に思っていない。
しかし、ネックなのは見回りの教師達だ。
俺はこの図体故、とても目立つ。
しかも、たしか15時程度だったか。
何者かが校舎から出ようとした際に見つかったらしく、警備が強化されてしまい、更に外に出るのが難しくなってしまった。
俺はスキルによって容易く抜け出すことができる為、そこまで問題はなかったが、他の者たちにとってはどうだろうか。
「…………お前はどう思う?生徒会長」
俺が無理矢理こじ開け、鍵の壊れたドアから1人の女性が現れた。
名前は………まだ覚えていない。
「やぁ、まさか気付かれてるとはね」
会長は驚いたとでも言いたそうな顔をして近づいてきた。
謎の声ほどではないが、得体の知れない女だ。
「4時半頃に1人、13時に2人、15時に2人、21時に1人。」
生徒会長は眉を顰め、少し警戒気味に俺に聞いてきた。
「それは一体なんの数字だい?」
俺は立ち上がり、振り向いた。
身長差のせいで、俺が見下ろす形になる。
「この学校から、外に出ている人数と時間帯だ」
生徒会長は気味の悪い笑みを浮かべ、俺に近づいてくる。
「へぇ、凄いね。それが君の『スキル』かい?」
やはりな。
どうやら生徒会長も俺と同じく、レベルを上げている者の1人なのだろう。
生徒会長が放つ存在感は他の者達とは比べ物にならない程大きい。
「その前に、一つ聞きたい」
生徒会長は腕を組み、少し下を向いた。
そしてパッと顔を上げた。
「いいとも、何でも聴き給え。」
ふむ。
どうやら生徒会長も俺がレベル上げの為に外に行っている事に勘づいたらしい。
「先程我が言った外へ出向いている者達。その内13時に外へ向かった2人の内の1人、それはお前だろう?生徒会長よ」
「なるほど、何故そう思ったのか教えてくれないかい?」
「もう1人が、俺だからだ」
生徒会長は阿保の様に口を開け、それから堰を切った様に笑いだした。
「あっはははははははは…………はぁ。君、面白いねぇ。仮にも私は学校側の人間だよ?それなのに君はよく堂々と言えるね」
「お前の気配は目立つ。それ故分かりやすいのだ」
生徒会長はずんずんと近寄って、いきなり俺の肩を叩いてきた。
距離感が掴めない。
「いやはや、これは私の負けだ。そうとも、私も君と同じ、現状に不満を持ち、外に出ている不届き者の1人だよ」
それからしばらく、我は生徒会長と話をした。
生徒会長も今の現状に危機感を持っているらしく、何度か学校側に外部へ救援を要請する為の一団の編成を提案したらしい。
しかし、学校側からの返事は全て却下。
何人かの教師は生徒会長の意見に賛同しているが、大多数の教師は反対らしい。
教師達の考えにも一理はある。
ろくな戦闘経験がない人間たちなぞ、例の魔物達からしてみれば、ただの獲物だからな。
しかし、それでもこの状況は非常に良くない。
近場から食料を集めるのももう限界だと言うのに。
ふと、俺は学校に向かってくる一つの気配を感じ取った。
この気配は、いつも早朝に外へ出向いている1人の気配だ。
俺がその気配の方に意識を向けると、学校の校庭の真下あたりに凄まじい量の気配を感じた。
「敵襲だ!!正確な数は分からんが校庭の地面の下に大量にいる!!」
俺はそう叫び、屋上から飛び降りようとした。
「ちょっと待ちたまえ、素手で戦う気かい?」
俺が振り向くと、生徒会長は虚空に手を入れていた。
俺がその光景に唖然としていると、彼女は手を引き抜いた。
その手には一振りの刀が握られていた。
「私のスキルで作った剣だよ。対して強くはないけど使い物にはなる筈さ」
そして、剣を俺に手渡し、ミサイルの様な物を虚空から取り出した。
「さぁ、先ずは先制攻撃と行こうじゃないか」
俺は考えることをやめ屋上から飛び降り、玄関口に身を隠した。
幸い校庭には誰も出ていなかった。
俺は剣を腰に括り付け、剣を抜きいつでも切れる様に準備をした。
大量の気配はどんどんと地上に近づき、遂には校庭が盛り上がりそこから大量の人型の魔物が現れた。
その瞬間、屋上からは1発のミサイルが、校門から黒と白弾丸のような何かが凄まじい速度でぶつかり、大きな爆発を起こした。




