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こんにちは世界  作者: 偽蚊医隆壱
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12.不屈

宇津美か、どんなスキル持ってたっけ。

確か、戦闘系じゃなかったはず。


「高嶺君、その人生徒会長だよね?」


「ん?ああそうだけど」


「流血が酷いよ。早く治さないと」


「あ…あぁー!!!」


傷口を圧迫して抑えてはいるが、美鶴技の足からは血がダラダラと流れている。

顔色も悪い。


「私に任せて。なんとかしてみせる」


宇津美はそのまま美鶴技をじっと見つめた。


「ごめん高嶺君、会長を下ろしてもらえる?」


美鶴技を地面に下ろし、傷口が地面に付かないよう制服を敷いた。


「治せるのか?」


美鶴技の状態は、誰がどう見ても酷い状態だと分かる。

宇津美のMP量は多分俺より低い。

ステータスを見なくともなんとなくは分かる。


「うん、任せて。『リグネ』!!」


宇津美が唱えた瞬間、宇津美の魔力が一気に美鶴技の傷口に集まり僅か数秒で傷が治っていた。

顔色はまだ悪いがそれは出血のせい


ん?

あの大怪我を一瞬で?


「チートだろ……」


俺なんて物を出し入れしたり弾丸よりちょっと強い程度の魔力弾を打てるだけだってのによぅ。

あ、付与もできるんだったな。


「高嶺くん?大丈夫?」


「ん?あ、ああ。大丈夫だ」


嘆いてる場合じゃねぇな。

美鶴技の怪我も治ったし俺も加勢しないとな。

俺が振り返った時、美鶴技が俺を呼び止めた。


「待ってくれ、素手であの化け物と戦うのは良くない。今武器を作るから」


そうは言ったものの美鶴技から感じる魔力はほとんど無い。

おそらく俺よりも少ない。

それに

「大丈夫だ。俺の武器はまだ残ってる」


魔力は…よし、最低限は回復してるな。

心配そうな二人を尻目に俺は加勢に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


当たり前だった平穏が消え去ってからしばらく経つが、その平穏がどれほど幸せだったのか改めて実感する。

今俺の目の前にいるこの化け物。

慎よりも強い魔法、俺よりも高い身体能力、美鶴技をはるかに上回る存在感。

おおよそこの世界の存在には思えない。

例えば例の裂け目。

あそこから出てきたと考えるのが妥当だろう。

いや、今はそんなことを考えている場合ではないな。


両腕を失った骸骨は魔法のみで俺を含めた三人を圧倒している。

近づこうとすれば無数の魔法が飛んでくるため一向に近づけない。

呆れるほどのMP量だな。


「『消滅バニッシュ!』」


唯一骸骨の魔法を打ち消せる……名前は知らんがアイツだけが骸骨に接近出来ている。


しかし、有効な攻撃手段がないらしく、直ぐに骸骨が魔法を撃つ。


「くそっ……『消滅バニッシュ』!!」


骸骨の魔法が掻き消え、俺と骸骨の間を遮るものが一瞬無くなった。


「この時を待っていた!」


俺は剣を腰に当て、居合を姿勢を取った。

俺が貰ったもう一つの能力。

最速の一撃を当てる。


「『神速の一閃』!!」


俺は一気に加速し、一瞬で骸骨の背後まで移動していた。


『ガァッ、』


俺の一撃は骸骨の脇腹に当たり、ローブを切り裂いていた。

中の骨ごと砕くつもりだったが、ひびしか入らなかったようだ。

全く、あの二人はどうやってこの化け物の両腕を折ったのだろうな。


もう一撃入れる為振り返ろうとした瞬間。

ぐらりと、不意に視界が揺れた。

気付くと俺は、地面に膝を付いていた。

立とうとしたが、足に力が入らない。

どうやら俺の肉体が限界を迎えたらしい。


『死ネ、人間』


頭上に三本の黒い槍が出現した。

どうにかして立ちあがろうとするが、一向に足は動かない。

なら、このままでも使うしかない。


「『神速の一閃』!」


抜いた剣に引っ張られる様に俺は骸骨へと急接近する。

剣に魔力を込め、炎を纏わせる。

今の俺が使える技の中で最強の攻撃を当てる!


「『火炎斬』!!」


『神速の一閃』を発動させたまま、骸骨の真正面に突っ込む。

剣を両手で握りしめ、骸骨のローブが切れ、露出している胸骨に全力で付きを放った。


「ぐっ、ううああああ!!!!」


残りの魔力を全て剣に注ぎ込む。

剣が纏っていた炎はさらに激しさを増し、俺と骸骨を包み込んだ。


『マサカ、コレホドノ力ヲ持ツトハ……』


骸骨が何かを言った気がしたが、良く聞き取れなかった。

不意に、謎の浮遊感を感じた。

すると、俺と骸骨を包み込んでいた炎が消え、俺は地面に倒れた。

どうやら魔力が枯れたらしい。

酷い頭痛と、全身がつった様に痛む。

今すぐにでも気を失って楽になりたい様な酷い痛みだ。

だが、指一本どころか、口すらも動かせなかった。

勿論声も悲鳴も出ない。

唯一目線だけは動かせた。

少し遅れて剣が落ちてきた。

地面に当たると剣の先がパキン、と音を立てて砕けた。

それと同時に何か白い破片がパラパラと落ちてきた。


『惜シカッタナ。後数秒有レバ、倒レテイタノハ我ダッタ』


骸骨が俺の顔を覗き込み、目を怪しく光らせた。


『コレデ唯一我ヲ倒シウル存在デアル貴様ハ倒レタ。ソコデ寝テイロ、ココニイル人間を処分シタ後、我ガしもべニシテヤロウ』


骸骨は顔を上げると、校舎の方にゆっくりと歩き出し、視界から消えた。


「そうは問屋がおろさねぇぜ」


「たとえ勝てなくとも、みんなを逃す時間くらいは稼いでみせる!」


慎と生徒会長がいないこの状態であの骸骨に勝つことはもう不可能だ。

せめて二人が逃げられる事を祈ろう。


「よぉ、しけた面してんなぁ」


この声は…


「…口が……悪…いぞ、慎」


目線を上げると、そこには不機嫌そうな顔をした友がいた。


「勝てるの…か?」


慎は俺を一瞥いちべつして歩き出した。


「問題ない、勝ってみせるさ」








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