SecondMission(1)
トーマスは優しい笑みを浮かべて話し出した。
「確かに君の言った事は正解だ。だからご褒美として今回の件の全貌を教えよう。今回君が行った施設には一度入ったよ。目的はあの研究施設で何を研究してたのかだ。君が違和感を覚えたかどうかは知らないが、あの施設、外見がただの倉庫だった。で、その点も踏まえて君がこの国に来る前に調査をしてたんだ。で、あの施設について色々調べていたら・・・」
「奴隷がどこかにいる事がわかった」
「正解。でも場所までは突き止められなかった。一応あの施設にいた者は全員逮捕して一人ひとりに聞いたが誰も口を割ろうはしなかった。そこで僕たちはあの施設の長である男、エレン・バランを泳がせることにした。当然、彼により近づく為にボディーガードとして僕の部下を向かわせた。そして君があの場所を見つけてくれるまで、彼を泳がせ続けた。結果あの場所が何を研究していた場所なのかもわかったし、
彼を潰してくれたから、今回はこちらにしか利益がなかったよ」
そう言いながらトーマスはまた笑みを浮かべながらお酒を飲んだ。
「なるほど、完全に僕は踊らされていたわけか」
「そう言う事」
そして一時の沈黙が続いた後僕が話し始めた。
「ねぇ、もう1つ質問して良い?」
「なんだい」
「ミユについてなんだけど」
そう言うとさっきまで笑顔だったトーマスの顔が少し暗くなった。
「彼女もしかして奴隷だった?」
そう言うとトーマスは眉間にシワを寄せた。
「ふふ、なぜそう思ったの」
トーマスはまた笑顔を作りそう言った。
「表情と感覚だよ」
そう言うとトーマスは不思議そうな顔をした。
「囚われている子たちを見ていたあいつの表情がさ、まるで自分はなにかに囚われているみたいな顔をしててな」
「それだけで?」
「まぁそれ以外にもあるんだがな」
「それ以外って言うのは?」
「あいつらを助ける為に僕は機体に乗り込んで戦った。そんときに感じっちゃったんだよね、僕の機体が誰かに干渉されてるって」
「それで」
「あることを思い出したんだよ。僕が作ったエアーズクラフトを手に入れた世界はもしもの事を考えてそれぞれのシリーズに『key』を作ったことをね。」
「なるほどね、それで彼女が何かしらのkeyだと気付いたわけか」
「全てのkey」
そう言うとトーマスは驚いた顔をした。
「その反応じゃ当たりだね」
そう言うとトーマスは諦めたように開き直って話し始めた。
「正解だ。彼女は全てを操れるkeyだ。だから世界中が彼女を追い求めている。で、彼女は何十ヶ国に囚われてきた。そして奪われた。この2つを繰り返して、最後に日本に囚われた」
「最後?」
そう言うとトーマスは話を続けた。
「そう、この国は彼女を保護する国。その他の国は彼女を追い求める国」
「ちなみに聞くけどどうやって彼女を日本から脱獄させたの?」
そう聞くとトーマスは僕に指を刺した。
「僕?」
「そうだよ。君が逃がした子、それが彼女さ」
僕は驚いて言葉も出せなかった。
「ちょ、ちょっと待ってどういう事?」
「どういう事って言われてもそういうことだよ」
そう言われて僕は頭の中で整理をした。
「わかりやすく言おう」
そうトーマスが言った。
「君がこの国に飛ばされた理由が彼女だ」
そう言われた時、全てを理解した。
「ま、まさか!?」
「そう、君が脱獄させた少女があのミユだ」
その言葉を聞くと僕は言葉を発することが出来なかった。
「その反応じゃ彼女はまだ伝えてないみたいだね。ちょうど良い、もう隠す事は無くなったわけだ」
そう言ってトーマスは胸ポケットからスマホを取り出した。
「じゃあ君にいいものを見せてあげよう」
そう言って渡されたスマホの画面には見覚えのある顔が映っていた。
『やぁ久しぶりだね』
画面越しの男が話しかけた。
「し、司令」
『元気そうで何よりだ』
そう言って画面越しの男、加賀美祐介司令が嬉しそうな笑みを浮かべて話した。
『いやぁ、しかしこんなに早くバレるとはな、せっかく君も変装したのにな中居くん』
「全くです」
そう言うとトーマスは顔に被ったマスクを剥がした。
「はぁ、もう少し行けると思ったんだけどなぁ」
マスクを剥がしたトーマスの顔を見て僕はまた言葉を失った。
「久しぶりだね晴翔」
「か、和真!!」
「そんなに驚かなくても良いのに」
トーマスと呼んでいた男、中居和真は優しい笑みを浮かべた。
「混乱してるのはわかるけど、まぁ頭がいい君ならこの紙を見たら全てが納得いくよ」
そう言われて渡された紙を見て僕は息を飲んだ。
「これって」
「そう、昔君がある国を破壊した時に書かれた物だ」
「なんでこんなのが」
「分からない。でも宛先はここイギリスのある学校だ」
「学校?」
「うん。しかもある人が今学院長だ」
『そこでだ、晴翔に新たな任務を任せたい』
「今度はなんです?」
そういうろ加賀美司令が真剣な顔で答えた。
「1週間後、この学校に先生として入ってもらう』
そう言われて和真が見せたパンフレットを見た。
「はぁ!?」
「ごめんね晴翔、これは決まりなんだ。だからよろしくね」
『そう言うことだ。だからよろしく』
加賀美司令はそう言うと通話を切った。
「なんだそれで」
そう呟くと、和真が話を続けた。
「そのね、さっき言ったある人って言うのは、万智なんだ」
「はい?」
そう尋ねると和真は残った酒を全部飲みほし、せl気をたった。
「まぁ詳しい事はまたメールとかで資料送るからそれを見てね。それと、また無茶だけはしないように」
そう言って和真は店を出ていった。僕も一時して店をあとにした。