Fast Mission(2)
機体から降りると、僕は機体の左手を見て呟いた。
「入国して早々僕に血を見せないで欲しかったなぁ」
そう呟きながら、ミユの元に向かった。
「怖い思いをさせてしまったね」
ミユは身体を震わせながら口に手を押さえたままさった。
「さてと、檻に閉じ込められた可哀想なお姫様たちを助けますか」
そう言いながら僕は檻の扉に手を触れながら全ての檻を回った。檻の鍵を解除すると上空を浮遊していた戦艦が倉庫の上に着陸した。戦艦の船底から格納庫らしき箱型の物が降りてきた。
「さて、みんなはこの中に入ってね」
そう言って僕は彼女たちを格納庫の中に案内した。
「さてと、あとは君だけだよミユ」
ミユは僕の言葉にも反応しなかった。
「はぁ」
ため息を着くと僕はミユをお姫様抱っこして格納庫に入った。全員が入ったことを確認すると格納庫を上に釣り上げ、元に場所に戻した。
ーー任務完了っと。
僕はそう思いながら艦橋で戦艦を操縦しなが耳に無線機を付けた。
「任務完了。これより帰還する」
『よくやった。指定した場所で回収した"者"を降りしてくれ。それとこの後、君と話がしたいそっちに場所は送っといたから降ろした後来てくれ』
「了解」
僕はそう言うと目的地まで向かった。
囚われていた人たちを降ろすと僕は指定された場所に向かった。ミユは放心状態のままだったので、1人で向かった。指定された場所に着くとそこは人気が感じられないバーだった。
「よ!」
店の中に入るとカウンター席にトーマスが座っていた。
「お飲み物はいかが致しましょうか」
トーマスの横に座るとバーテンダーが注文を聞いてきた。
「ウィスキーで」
「かしこまりました」
バーテンダーがそう言って僕の前から立ち去るとトーマスが話しかけた。
「お疲れ様。こっちに来てからの初任務どうだった?」
「溜まったもんじゃなかったよ」
そう言うバーテンダーがウィスキーを持ってきた。
「と言うと?」
トーマスの質問に僕はウィスキーを一口飲んで答えた。
「こっちに来ての初任務で血を見るはめになるし、奴隷として捕まっていた異人何人もいたし」
そう言うとトーマスは少し笑みを浮かべ目の前に置いてあるお酒を一口飲んだ。
「その感じだと知ってたんだな。奴隷がいることも」
「どう言うことかな?」
トーマスが面白そうな顔で尋ねてきた。
「とぼけるなよ。こんなミッション、違和感にはすぐ気付いたは」
「ほぉ、どこで気付いたのかな」
「最初にあんたから貰った資料を見た時だよ」
そう言って僕はまた一口飲んで話を続けた。
「あの資料、施設の図面、データの場所、全てが正確に書いてあった。まるで一度中に入ってくまなく周ったみたいに」
「ほぉそれだけで気付いたのかな」
「まさか、その時はまだ違和感を覚えただけだよ。で、いざ中に入ったら人ひとり居ない場所でデータも簡単に回収できた。それでだ。少し施設を周って見たらこのザマだよ」
「なるほどね」
トーマスがそう言うと僕はまた話を続けた。
「次に質問だけど、あの白衣を着た男の周りにいた男たち、あれあんたの仲間だろ」
その質問にトーマスはまた笑みを浮かべた。
「そうだよ。でもどうしてわかったんだい」
「感覚だよ」
「ん?」
「あの時、僕はあの白衣を着た男たち全員まとめて潰した。なのに潰されたのは白衣を着た男だけ」
「それで?」
「丁度潰す直前で重さを感じなくなったんだよ。あの勢いで僕の機体に潰されるのを交わすにはそれなりの運動神経、また転移できる魔法が必要だ。で、考えられることは何らかの組織に入っている者。あとは面倒臭いから説明しないね」
僕の言葉を聞くとトーマスのお酒を飲みながら話し出した。
「なるほど、それが君の出した答えか。なら答え合わせをしよう」