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Mobius Cross_メビウスクロス徒然  作者: 阿暦史
吸血魔の徒然
4/19

Mobius Cross_メビウスクロス徒然: マジの最強執行者、吸血鬼と遭遇!?まさかの結末…【後編】

勝てんぜ。ロンギースには。

『Mobius Cross_メビウスクロス徒然:

マジの最強執行者、

 吸血鬼と遭遇!?

  まさかの結末…』【後編】



 パーニャはロンギースの取り巻き達に追われ、袋小路に追い詰められていた。

「!ハァ…ハァ…っま、待って待って…!」


「ハァ…ハァ…へへへお嬢ちゃん…デモンごっこに待ったは無いんだぜぇ?」


「…っやったことないもん…」


「へへへ、なら、鬼ごっこで捕まった鬼が、

どぉんなめに会うのか…

たぁっぷり教えてやるよ…ハァハァ…」


「…っヴァンン…」


「…ハァハァ…」


ドスッ


「ハァハァ…

ハレ…?」

取り巻きが視線を落とすと、自身の胸から剣が生えている。





{紳士なら、「待って」と言われなくても待つものだ。}

ゴキュンゴキュン

「かひゅっ…ひっ…へ…」

 一瞬にしてミイラと化し、打ち捨てられる取り巻きの骸。


他の取り巻きが身を引いて構える中、ヴァンはパーニャの口元に深紅の刃をそっと添える。

{さあパーニャ…今度は君がほんものの“鬼”だ。鬼に捕まった者がどんなめに会うか教えてあげようではないか。}


ドクン


「ぷはっ…

…。」


{ん?…パーニャ…?}


「…あれ…?ヴァン…何かヘン…貧血かな…頭がクラ…ふわふわする…ヒック///」


{なッ…!?酔っている?!}


「ムニャ…だめぇ…///」

 酔ったパーニャは取り巻きの男の方へよろついた。

その場にいる誰もが困惑し、取り巻きの男自身も、不意に千鳥足でもたれかかってきた小さな肩を思わず抱き止めてしま




ッドゴッ…!!

ゴブチャッ




 次の瞬間、その小さな頭に弾き飛ばされて壁に激突していたのは取り巻きの男…

だった物。

後頭部は真っ平らに潰れ、ずりずりと落ちた跡には血の大花が咲いていた。


ヴァンも、取り巻きの女も唖然とする中、パーニャは一人ケタケタと笑う。

「ヒック///…きれー…。にぇーヴァン…お花みたい…///」



「…デ、デモンだ…」

取り巻きの女はそう漏らした。


するとパーニャはぼーっと女の方を見た。

「ヒッ…」

命の危機を感じ引きつる女。

先程の惨状を目の当たりにしたから…それもあるだろうが、何よりもあの眼…

野生動物が獲物を狩る眼…?

違う。

軍人が敵兵に向ける眼…?

違う。

狂気の殺人者の眼…?

違う。

あれは…

幼子がたんぽぽの綿帽子でも見つけた時のような…。


「鬼!…そーらわ…鬼ごっこのとちぅらった…」



「∅⊇★∞○Λβっα√ν∞ッ〜!!!」

 意味不明の絶叫を上げ女は逃げようとしたが、もはや腰が抜けてしまっているらしく、ザリザリと腕で這うことしかできなかった。


「ヒック///…こんろはあなたが鬼…??待って…待って〜…///」


それを千鳥足で追うパーニャ。距離はすぐに詰まり、這う女の頭上。手が届く寸前…



ガツッ

「…あ…」

パーニャは自分の足に躓いた。




 パ チンッ ブチュルッ プチュ…



 パーニャは転んで手をついた。

下は紅い水溜りだった。

パーニャはドロドロになったてのひらを呆っと眺めると、ヘラっと笑った。

「ザクロみたぁい」

ちゅるっと舌に運ぶ。

「んまぁずぅぅい…」


{over blood…血の摂りすぎか、稀有な血が混じっていたのか…いずれにせよ…}


 そのナイトドレスは深紅を通り越して黒く染まり、細い指先から滴る血も“肘まである高貴な手袋”のよう、口周りの汚れは艷やかにべにをさしているようにさえ幻視える。


{…美しい…}


「ヴァンン…」


{おいで…}


パーニャはヴァンにもたれかかるように抱きついた。


{…さあ…鬼ごっこはまだ終わっていないよ。もっと美しくおなり。君の行き着く先は如何に美しき…鬼か…悪魔か…。吾輩に連れていかせておくれ…。}



 ヴァンがそう言って飛び立とうとした時、パーニャの重心がすとんと落ちるのを感じた。

{おっ…と…?

…なんと、眠ってしまったか…。…ここまでだな。}

ヴァンはパーニャが落ちないように水平にゆっくりと浮かんだ。それとともに、パーニャのドレスや躰から血の赤がみるみる抜け、ヴァンの刀身に移っていった。最終的に、頬はやや紅潮しているもののいつものパーニャの姿に戻った。

{血のドレスも素敵だが、このまま帰す訳にもいくまい。

…今回は色々と勉強になった…。手練も増えてきそうだ…次からは…奇襲にしようね。

おやすみ。パーニャ。}



 今まで、吸血魔に襲われて生き延びたと言う者はいない。それは、メシア教団と吸血魔が出会うまで変わることはなかった。


…ロンギースはどうしたって?


不運なことに、その夜の内に再び彼らは襲われたのだ。

夜の闇の中、

片腕を失い、逃げ惑うロンギース。

「ハァッハァッ…な…なんだ!?コイツ?!

ッッ!!」



両腕を失い、喚き散らすロンギース。

「クソ…!!この…

血に飢えた獣がよおお!!


…ッ


……!!!」



ロンギースと取り巻き達の上半身は未だ見つかっていない。


see you

前後編に分けた意味ある?(´・ω・`)

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