東京オリンピック&パラリンピック、もうちょっと考えてみた。
「東京オリンピック&パラリンピック、どうすればいいか真剣に考えてみた。」の補足で「東京オリンピック&パラリンピック、どうするのがいいかさらに考えてみた。」を前回投稿したのですが、そのさらに補足になります。全開で出し切ったと思ったのですがまだ書きたい事ありました。今回は大会ボランティアのことを考えてみたので、読んでみてください。
オリンピックとパラリンピックの実現に向け、〈無観客開催して、世界中でオリンピックとパラリンピックの観戦ツアーが当たる宝くじを売るか、寄付者の中から抽選でオリンピックとパラリンピックの観戦ツアーが当たるクラウドファンディングをやる案〉について話し合っている僕と親友の天平。
「あのさ、オリンピックとパラリンピックのボランティアなんだけど――」
と天平。まだ話し足りないらしい。
「うん?」
「無観客開催にする場合って、必要になるボランティアってかなり少なくなると思うんだけど――」
「あ、そっか。そうだよね?」
無観客で開催することになったら、観客のサポートをするボランティアは基本的に不要になるはず。
僕たちが考えている観戦ツアーが実現する場合は、抽選に当選した観戦権利者が『観客』になるけれど、観戦権利者は極々(ごくごく)少人数に絞ることになるだろうし――。
「観戦ツアーに当選した観戦権利者には、案内とか通訳とか兼ねたサポートスタッフが付くことになると思うけど、このサポートする人がボランティアってことになるのかはわかんないよな? とりあえず、観戦権利者 一組に専属スタッフが付きっ切りになる感じになるイメージ」
「うん」
「だから、観戦権利者のサポートは別枠で考えるとして――」
「うん?」
「通常の観客がいない分、ボランティアやりたい人とかボランティアやってもいい人には選手のサポートに回ってもらうっつーのはどうかと思ってさ? ほら、ただでさえオリンピックやパラリンピックってプレッシャーがすごいんだろうって思うけど、そこに加えて感染予防でストレスかかるだろうから――」
「わかった。クルーズ船で感染者が見つかったときに、『船に乗ってる人たち全員に何人ずつかで組に分かれてもらって、その組ごとにタブレットを渡したりして、日本でサポートする人と船に乗ってる人とが連絡を取り合えるようにしたらよかったんじゃないか?』って言ってたヤツだよね? 御用聞きっていうか。船内での暮らしで足りないものがあったら用意してもらえるようサポートする人に頼んだり、新型ウィルスに関する情報をサポートする人から教えてもらえたりできるようにしとくと、船に乗ってる人たちが安心できたんじゃないかって。船に乗ってる人とサポートスタッフがタイアップすることで細かいところに行き届くケアができたかもしれないって話してたヤツだろう?」
「そ。愚痴を聞いてもらえただけでも気が楽になっただろうしな?」
「そのサポート体制を選手とボランティアに持ってくといいんじゃないかって?」
「そゆコト。そんで、もしもそうする場合は、選手はだいたいスマホ持ってるだろうから自分のスマホ使ってもらえば、タブレットを支給する必要はないだろうし」
「そうだね」
「ボランティアが選手のサポートをする場合は、クルーズ船のときみたいに物資的な支援とかは要らないと思うけど。コロナ関係のメンタルケアは必要だと思うから、担当選手の国の言葉を話せるボランティアさんがサポートについてくれて、話し相手になってくれたり、日本の受け入れ態勢とかでよくわからないとこを教えてくれたりとかしてくれたら選手の人たちって安心できるんじゃないかと思って。リモートボランティア? ――っつか、自動翻訳のついたオンライン通信ができると言葉の心配しなくてすむんだけどなー」
選手たちはそれぞれ自分たちが日本で滞在するのに必要な準備はしてくるはずだし、ごはんとかは選手村がちゃんとあるから、天平が言うように、物質的な支援は別に要らなさそうだ。だから、特にボランティアのサポートを必要としない選手もいるかもしれない。だけど、例えば日本でお土産に買って帰るならコレがおすすめだよっていうお菓子の情報とかおしゃべりできるのは悪くないかもしれなかったりする、かも?
「それって、御用聞きするコンシェルジュ的な存在っていうより、ホームステイ先のホストファミリーみたいな感じかな?」
「あ、そだな、ホストファミリーみたいな感じ? いいご縁ができるといいよな♡」
僕は留学の経験はないし、うちがホームステイの受け入れをしたことはないけど。テレビなんかだと、ホストファミリーとの交流が続いている人たちっているみたいだもんね。日本に来て慣れない環境で体調崩して入院しちゃって、ホストファミリーが毎日お見舞いに来てくれたとか、そういう話をしてた人がいたような……と思い返していてハッとした。
「それだったら――たぶんないとは思うけどもしも選手が日本に来てから体調が悪くなって『感染したかも?』って不安になったときなんかは、家族みたいに心配してくれるホストファミリーなサポートボランティアがいてくれたら、心強そうだね」
「そういうときは、感染症の専門的な知識のある人も一緒にサポートしてあげられるといいのかも……?」
とにかく、選手が感染することがないように、っていうのがいちばん大切だよね。
「リモートだと、選手のサポートができる人でありさえすれば、日本に住んでいない人でもボランティアできるってことだよな?」
ふと思いついたように天平が言う。
「そっか。海外からオリンピックやパラリンピックのボランティアするために日本に来てた人、いたもんね? けど、コロナで大会が延期することになっちゃって。――あのあと、どうしたんだろう? 帰国したんだろうね……?」
日本に来るのってお金かかっただろうに、ボランティアできずに帰国したんだろうと思うと……。
「そういう人がまた来られるようにサポートできるといいんだけどな。――っつか、そういう人が、抽選に当たって観戦ツアーに来ちゃったりしてな?」
天平が言うのを聞いて、ボランティアするはずだった人が観戦権利者になる可能性もあるのかと気づく。ボランティアするために日本に来ていた人は、ボランティアをしたいのであって、観戦したいのとはまた別だったりすると思うけど、大会が延期になって帰国した人がまた日本に来られたらいいなと思う。
「まあでも、また日本にボランティアに来るだけのお金がなくて来られないとか、日本で感染が拡大して海外からのボランティアを受け入れられないことになってボランティアに来られないってなったときでも、リモートボランティアならできるかもね?」
「できるかもな? ただ、サポートするためには日本の情報も知ってなきゃいけないから、海外の人でもできるっていっても誰でもできるわけじゃないと思うけど……?」
「それもそうか。……あ、でも、日本に住んでる人でも感染症の専門知識のある人のサポートが必要になることもあるだろうって考えたら、ボランティアする人が何かわからないことに直面したときに頼れるとこが必要なのかもって思うんだけど……?」
サポートする人がサポートできなかったらサポートの意味がないもんね?
「そだな。サポートするときのガイドラインとかも要るかもな? っつか、そんなのはすでにちゃんと用意されてるか。あ、それよか、ボランティアのネットワーク作る?」
「ネットワーク?」
「ボランティア何人かで班を作って、オンライン会議して情報交換したりする? そこで解決できない問題があったら、大会のボランティアの統括みたいなことやってる人んとこに相談するとか……?」
なるほど。オンライン会議なら感染する心配もいらないし、集まる場所を用意する心配もいらないし。通信技術ってやっぱり便利だね、とか思う。
「オンラインだと、ボランティアに参加する人の負担ってかなり減らせそうだよね。――あ、外出困難者もボランティアに参加できるかもね? 分身ロボットを使わなくてもオンラインでボランティアできることありそう」
僕が思いつくと、
「そっか、そだな! オンラインだと、外出困難者のボランティア参加もしやすいかも?」
分身ロボットがボランティアとして活躍する姿も見たかったけど……と思ったら、天平が、
「外出困難者と言えばさ、観戦ツアーの抽選に当たった人が外出困難者だった場合は、分身ロボットにツアーに参加してもらえばよくない?」
とさっくり言う。
「そっか! 当選者が外出困難者な場合もあるんだ――」
分身ロボットがいれば、外出困難者が観戦ツアーに参加することだって可能なのか。改めて、分身ロボットが作られててよかったなと思う。
僕たちの知らないうちに、大人たちが、いろんな可能性を用意してくれていたりする。
ふつうだったらあきらめてしまうようなことがあきらめなくてよくなる。そういうのっていいよね!
オリンピックやパラリンピックはどうなるんだろう?
今はまた全国で感染者が増えていて、こうなると、オリンピックやパラリンピックの開催自体が危ぶまれるかもしれないけれど――。
「オリンピックやパラリンピックって……やれるかな?」
ふと、弱気になる。
「技術や知識を持ってる人や調整する力を持ってる人たちが本気だせば、みんなが協力し合えば、やれると思うんだけどな?」
「……うん」
「観戦ツアーするとしたらさ? 宝くじを発売するにしろ、クラウドファンディングするにしろ、一からシステムを構築するようなことにはならないと思うから、その分、負担は少ないと思うんだけどな?」
「システムを構築って――ああ、宝くじは海外でもたいていの国でその国の宝くじが販売されてると思うもんね?」
「クラウドファンディングも海外にあるだろ? というか、そもそもITツールでクラウドファンディングするやり方って海外から輸入されたものだと思うし、海外の方が日本よりやってたりするんじゃないかと思って」
だから資金集めにちょうどいいんじゃないかと考えたわけで――。
「うん。クラウドファンディングを他の国がやってないなんて、ちょっと考えられないよね? だから――すでにそれぞれの国で機能している宝くじやクラウドファンディングの仕組みを利用すれば、急ピッチでもなんとかやれたりするかな……?」
「オリンピックやパラリンピックの観戦ツアーが当たるってなると動く金がでっかくなるだろうから、集まったお金をかすめとろうと狙ってくる犯罪者が出てきそうなんで、そこはマジで警戒しとかないとヤバいと思うけど。そもそも、宝くじもクラウドファンディングも集まったお金を守るためのセキュリティには力を入れているはずだと思うんだよな? だからなんとかなるんじゃないかと思ったんだけど……?」
だから。
だから、「技術や知識を持ってる人や調整する力を持ってる人たちが本気だせば、みんなが協力し合えば、やれると思う」――なんだ。
「うん。そうだね。そうだよね」
僕たちは大きくうなずき合う。
それから、僕がちょっと気にしていたことを天平に話してみた。
「実はね、宝くじやクラウドファンディングの抽選で世界中から東京オリンピックとパラリンピックを観戦しに来られるようになるってしちゃうと、『海外の観戦客は入れないって決めたことと矛盾しちゃわない?』って思ったけど。でも、よく考えると、宝くじは救済措置的な意味合いで、実質は無観客開催、なんだよね。だから、矛盾するわけじゃないなって」
「海外客を入れるのをやめたっつーのは、海外の観戦チケット所持者の観戦する権利をチャラにした、ってことで。無観客開催にする場合は、国内外のチケット所持者全員の観戦権をチャラにすることになるわけで、その場合、海外客を入れないことにしたことは、海外客の観戦権を先にチャラにしただけだった、ってことになるわけだよな?」
「うん。それで、無観客開催にして国内のチケット所持者の権利もチャラにしてしまうけど、その代わり、抽選によって全世界の人にオリンピックやパラリンピックを観戦できるチャンスが生まれる、ってことになるよね?」
「――と思う。それに、宝くじ買うかクラウドファンディングに参加するかする資金はいるけど、それって金額としてはすごく小さくできると思うから。経済的な意味合いでふつうだったらオリンピックやパラリンピック観に行くのなんて無理だよって人でも、観に行けるかもしれない」
「けっこうフェアなプランだよね?」
「フェアだと思うけどな?」
オリンピックやパラリンピックは観戦チケットも高かったりするし、交通費や宿泊費もかかったりするし、ある程度お金持ってる人じゃないと観戦できないものだったりするんだけど、観戦ツアーなら、より多くの人に観戦のチャンスが――!
観戦ツアーでは、お金なくても楽しめるおもてなしプランもいっぱい用意して――。
「あ、それから、観戦権利者が観戦ツアーの様子とかSNSに上げていいことにしたら、スポンサーがつかないかな?」
「スポンサー?」
「スポンサーっていうか、観戦権利者にSNSに上げてもらうのを狙って、自社の製品を観戦ツアーの特典にしてください、って提供してくれる企業とかも出てくるかもしれないな、って思って」
「企業が『ご厚意』で製品を無料で提供してくれたら、その分のお金が浮くってことか! わー♡ そいつはいいな―♡」
「そうなったらいいなって話」
「そうなったらいいな! ――あ、ただ、コロナで売り上げが落ちた商品とかを買い上げて観戦ツアーの特典にすることで、事業者の支援にするっていうのも大事だから、お買い上げはお買い上げでやる! ってことで」
「そうだね。とにかく、盛り盛り豪華観戦ツアーになるだろうから、実現したらいいなって思うよ」
「実現したら、いいよな♡」 了
読んでいただいてありがとうございます。
次こそ飲食店や観光事業関係の話になると思います。次のお話もぜひ読んでみてください。