『環』
悪口を言うひとがいる
そのひとはあちこち
悪態をついてまわるのに
そんな一見悪いひとを
フォローするあなたは
きっとそのひとを
悪人と決めつけないため
なのだろうけど
それと同時に
周りのみんなを
「悪口を言うひと」に
させないためであって
そのうち
誰も悪口を言わなくなり
雰囲気も良くなって
すると最初
悪態ついてたひとも
悪口を捨てた
こうして
穏やかな世界が
つながっていき
どこかで結び合い
ひとつの環になっていく
それは清流の流れのように澄んでいて
梅雨明けのように潔いのだろう
環は確かにここにある
それはあまりに透明すぎるのか
見えやしないから実感はできないが
けれどあなたのフォローを見て
悪口を次々にゴミ箱に捨てていく姿
この目に映る
溜め込むのではなく
美しい言葉に変換して伝えようとする
工夫や努力を見たとき
心を打つのは
その清々しさ
環は透明で見えやしないけれど
確かに
ここにあった




