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第12話:癒しの勇者、素材を回収する

「実践にはまだ早いんじゃ?」


「ミーナ、まだ練習足りてない」


 二人はまだ練習を始めてそれほど時間が経っていない。だから、まだ成功率100%には程遠い状態だ。


「練習も大切だが、実戦から見えてくることもある。本当はちゃんと使えるようになるまで魔物を相手にしない方がいいけど、今日は俺がいるから何かあったらすぐに助けられる」


 それに、魔法なんて使わなくても簡単に倒せそうだしな。


「そっかー、そういうことなら」


「カイトが言うならそれが正解。ミーナも魔物に試し撃ちしたい」


「じゃあ、レミリアはミーナに【攻撃力強化】を付与してみてくれ。ミーナの付与に成功したら自分にもかけておくといい」


「分かった!」


 返事を返してすぐにレミリアは強化魔法に取り掛かる。

 今回は一発で成功したようだ。


「で、できた!」


「すごい……身体から力が湧き出る感覚……」


 ミーナにとっては、始めての強化魔法。

 自分の実力を底上げしてくれる強化魔法に感動している。


 その後、何度か失敗したが、数回でレミリアは自分への付与にも成功した。

 大分精度が上がってるみたいだ。


「基本的に攻撃はミーナに任せるけど、今のレミリアなら剣に魔力を込めるくらいはできるはずだ。新しい剣に慣れるまでためにも、ときどき攻撃してみてくれ」


「うーんと、こうね! できた!」


「カイト、攻撃したいけど近くに魔物がいない」


「あー、この辺の魔物は俺が一掃しちまったからな。ちょっと待っててくれ」


 矢の生産のために大量のウルフを倒していたことを思い出した。

 【周辺探知】で周りを確認してみたところ、半径100メートル以内には魔物の姿はない。


 100メートルを離れるとそれなりの数の魔物がいるようなので、遠くから集めるとしよう。


 【憎悪拡散】。魔物の怒りを刺激し、術者に注意を集める魔法。

 これを半径1キロに渡って発動する。


 すると、


 ドドドドドド……!


 と大量の魔物の足音が響き始めた。


「これって、魔物……?」


 ミーナが不思議そうに呟く。


「ああ、スライムが37匹、ウルフが24匹、それとホワイトラビットが2匹……合計63匹ってところだな。第一陣は、だが」


「63……!? ど、どうしよう!?」


「第一陣……ってことは、第二陣もあるってこと……?」


「ミーナは勘がいいな。その通りだ。第二陣は、今のところ200くらいだな。まあでも、その武器と新しく覚えた魔法があれば大したことないだろ?」


「大したことはないことはないと思うけど……」


「200……やるだけのことはやる」


 そんなことを話していると、63匹の魔物が襲いかかってくる。


 ミーナが矢を放ち、一匹の魔物の急所に直撃。

 刹那、爆散して周囲の魔物を巻き込んだ。


 俺が放った魔法ほどの大穴は空いていないが、この程度の魔物を相手にするのなら十分すぎる火力だ。


 撃ち漏らした魔物が近づいてくる。

 そこを、レミリアが剣で攻撃する。

 直接刃を当てなくても、この程度の魔物なら斬撃だけで倒せる。


 一瞬で第一陣の魔物を殲滅してしまった。


「どうだ? いけるもんだろ?」


「最初は無理だと思ったけど、結構いける! っていうか、私たち強くなってる!?」


「信じられない。朝までのミーナとは別物……」


「このために一つ一つ課題をクリアしたんだからな。ま、対抗戦はサクッと優勝いただこうぜ」


 ◇


 その後の第二陣、第三陣も難なくクリアし、周囲一帯は魔物の死骸だらけになってしまった。


「さて、矢に使う分の素材だけ回収してあとは売るか」


「こんなに一杯魔物倒したのね……。素材の剥ぎ取りが大変そう……」


 レミリアがそんなことを言いながら、剣でウルフのツノを剥ぎ取ろうとする。


「ん? 魔物って丸ごと売った方が高く売れるんじゃなかったか?」


 魔物の素材は、村のギルドで買取してくれる。素材によって値段が変わるが、ウルフの場合ならツノだけじゃなく牙や毛皮も売れたはずだ。


 なるべく新鮮な状態で全部揃っている状態が望ましい……という認識だったのだが。


「そりゃあ丸ごと持って帰れるならそれが一番いいけど、さすがにこんなに持って帰れないし……」


「なんだ、そういうことか」


 俺は、空間魔法の一つ【空間収納】を起動する。

 ウルフの死骸を浮遊魔法で持ち上げて、別次元の収納空間に放り込んだ。


「これで全部持って帰れるだろ?」


「「え、ええええええ!?」」


 レミリアとミーナは同時に叫んだ。


「カ、カイト……何それ!?」


「うん? ただの【空間収納】だぞ。魔力を使って異次元空間の一部を解放できる。昨日余った魔力で開放しておいたんだ。この中は時間が止まってるから劣化しないし、便利だな」


 余った魔力で拡張しておけば、いくらでも広くなるし収納中に魔力を消費することもないから、使い勝手が良い魔法の一つだ。


 2000年前は冒険者とかには必須の魔法だったはずだが。


「それも確か神話時代の伝説の古代魔法よね……。なんでそんなにポンポンと凄い魔法が出てくるの!?」


「こんなのあったらカイト、商人になってボロ儲けできる。……とんでもない魔法」


 また常識外れのことをしでかしてしまったらしい。

 まあでも、今回ばかりは二人の方がちょっと大袈裟なのだが。


「無詠唱魔法の初歩の初歩だし、やろうと思えばもうレミリアとミーナもできるはずだぞ? ほら、できそうな気がしてきただろ?」


「できないわよ!」


「……できない」


 あれー、おかしいな……。2歳くらいの時に無詠唱魔法に気付いてすぐに使えるようになったんだが。……っていうか周りの大人はみんな普通に使ってたしな。


「まあ、これも後で教えるよ。本当に簡単だからすぐに覚えられるしな」


 こうして、俺は全ての魔物の死骸を【空間収納】で回収した。


「さて、村に戻ろうか」

昨日書き進めたので本日は4話投稿予定です。

あと3話投稿です。

1章完結まで進みます。


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