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第8話:魔法おぼえます

特訓編!!

あと少しで完結できそうです。

 

 ――昨日は少し会話がギスギスした雰囲気になってしまったが、今日は一転して和やかだった。

 俺は実際にカイトから魔法を教わることになった。俺達は魔力が吸われない場所まで足を運び、魔法の訓練を行っている。今は魔法の一番基本の部分を学んでいる。


「とにかくひたすら集中して大気の魔力を感じられるようにしろ」


 この大気の魔力を感じるという特訓だが、かなりキツい。瞑想をして肌で魔力のその感覚を感じるとの事だが、動いてはいけないそうだ。動物というのは動かないという事を実行するにはかなりの神経と体力を使う。正直なところ、大気の魔力を感じるどころではないのだ。


「全然、集中できてないぞ響也」


「そんなこと言ってもかなりきついぞコレ」

 俺はカイトに言い訳をする。


「はぁ……そんなんでよく1か月で覚えるとか言ったな。せっかくだ、お手本見せてやるよ」

 そういうとカイトは一瞬で集中して見せた。その時、気のせいかとも思ったが、カイトの周りを何かが揺らめいてるように感じられた。


「こんな感じだ。魔法で生計を立てているものは今みたいに一瞬で集中した状態になれる」


「なぁ、今って集中しただけ? それとも魔力を集めたりなんかした?」


「気づいたのか? 今やったのは外の魔力を集めて自分の魔力に干渉させたんだ。それができるようになると基礎魔法が使えるようになる」



「なんかお前の周囲が揺らめいているように感じたから気になって聞いてみたんだよ」


「その感覚を大事にするんだ。集中して常に魔力を感じられるようにしろ」


「あ、また分からなくなった……」


「とにかく()()()()()()いずれは意識せず自然と魔力が感じられるようになる。さっき自分が感じられていた感覚を大事にするんだ」


「了解!」



 そんな感じで始まった魔法の練習――

 早くも1週間が過ぎようとしていた。


「今日で一週間だな。まだ魔力を感じるのは難しいか?」


「いや、大分できるようになったとは思うんだが……」

 俺はカイトに集中して見せた。


「……できてるな。魔法について初めて習うのにもうここまでできるのはすごいよ」

 なんでも、あっちの世界では物心がつく頃から学ぶらしい。平民でもしっかりと魔法技術が身についてるそうで、魔法が使えないものは何らかの影響で魔造器官が無い人と、学びの場を与えられない奴隷階級の者だけだそうだ。


「次のステップに行こう。魔力を集めてみるぞ。こうやって両手に()()して外から力をつかんでいくような感覚だ」


「まーた難しい事を……」

 俺はそう言いながらを両手に集中して見せた。


 新しい工程に入り、2時間程訓練を行う。

「進歩がなかったな……」

 俺はがっくりとうなだれてそう言う。


「いや、一週間で()()()()ができるようになったんだ。めちゃくちゃ早いよ。ゆっくりやればいいさ」



「そうか……」

 そういうわけにもいかない。カイトにも帰りを待ってくれてるやつがいるわけで、俺は彼をできるだけ早く元の世界に返してやりたかった。



 次の日から、早朝もこっそり出かけて練習をするようになった。カイトにばれないよう秘密特訓というわけだ。朝練を初めて1週間も経つ頃には手に魔力が集まるようになった。


「冗談だろ……。僅か1週間でここまでできるようになるか」

 カイトが言うには長期戦も覚悟していたようだ。


「さて、あとはなにをするんだ?」

 俺はノリノリでカイトに次のステップについて聞く。



「ここまで来たらあとは魔法を打つだけさ。集めた魔力に自分の魔力を混ぜ込んでイメージするだけだ。想像するのが難しかったら声に出したらいい。『水よ!』とか『火よ!』とかな」



 遂にここまで来たな……

響也は基礎魔法を早く習得したかった。カイトが言っていた固有魔法を創造するには基礎魔法を完璧に使いこなす必要があったからだ。ここまで異常な速度でできるようになったのも、1か月で覚えるという約束を果たすつもりだったからだ。


「"ファイアボール"」

 そう言って火球を出そうとするも上手くいかない。火を出すところまではいくが、すぐに霧散してしまうのだ。飛ばすという動作までたどり着けない。


「いきなり()()()の"ファイアボール"はハードルが高いと思うぞ」

 カイトがそう言うが初めて言いつけを無視した。


「これをやりたいんだよ。」

 そう答えて訓練を続けていく。おそらくファイアボールは火を出す。球体状にする。それを維持する。一定の速度で飛ばす。といった4工程以上で作られているのだろう。カイトは簡単な魔法だといったが、実際には難易度が高いと思う。特に、これを戦闘中に一気にやらなければならないとするならば、向こうの世界で戦闘を生業とする魔道士は全体的に相当な実力者ばかりなのではないかと思った。


「頑固なやつだな。まぁ、本人がそれをやりたいというのにこちらがダメ出しをするのは基本的にはしたくないしな…」

 そう言ってカイトは後頭部をぼりぼり掻いていた。



「くそっ!難しいなぁ。」

 火を出して球体状にするところまではできるのだが、一瞬で消えてしまい維持する事ができない。この魔法の維持が非常に難しい。もりもり自分の魔力が減っていくのを感じていた。一方でこちらの世界で魔力が回復しないかもしれないという心配をしていたカイトだが、俺の特訓を見ているうちにその心配は無いと悟ったようで、隣で色々な魔法実験をやっていた。


「魔法の維持は魔力をごりごり使うよ。なんでもそうだけど動かないだって一瞬だけなら誰でもすぐ出来るが、それを維持するとなると難しいだろう?」

 カイトはそう言って小石を浮かせてその状態を維持している。継続してイメージを固定させるのに魔力がいるって事だろう。そこでふと沸いた疑問をぶつける。


「単純に俺の持っている魔力が足りないってことか?」

 するとすぐに答えが返ってきた。


「いや、"ファイアボール"の維持なんてせいぜい着弾までの数十秒だ。普通の魔力量で事足りる。それでも維持できないってことは単純に維持するために使っている魔力の効率が悪いんだろう。慣れればどうという事は無い気長にやれ」

 そう言って自分の実験に戻ってしまった。



 結局コツをつかむことなく更に2週間の時間を要した――。




多くの人に見てもらって色々な意見を聞きたいのですが、どうすればいいのでしょうか?

教えて!えろいひと

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