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第4話:ボディランゲージしてみます

この話ガバいっす

 

 運悪く足を取られて転んでしまった響也は自分の運のなさを恨んだ。相手が悪魔ならおそらく効かないのではないかと思ったが、ほかに手立てがない。イチかバチかで反撃するしかない。それで隙が出来ればまた逃げ出し、もしうまくいかなければ自分は死ぬだろうと目を瞑り覚悟を決めた。



 チャンスは一度きりだ。響也は意識を研ぎ澄ませた。



 ザッザッザッザッと少しづつ近づいてくる音が聞こえてくる。後数歩でこちらに到達するだろう。深呼吸をしてバクバクとなる鼓動を落ち着きかせながら、足音から大体の距離を予測する。悪魔は後5秒程でこちらにたどり着くだろう。5・4・3・2..あと一歩……1……今だ! 渾身の勢いを込めて裏拳を放つがガシッと悪魔に踏まれてしまった。死んだな……響也は時間の流れがものすごくゆっくりに感じ始めた。



 * * * * * * * * * * * * * * *



「うぉっ!」

 カイトはかなり焦った。足元に裏拳が飛んできたのだ。背を向けているから大丈夫と油断していた。ギリギリ足で踏みつけて抑えることができた。



 そのまま少年の身体を抑えつけたままこちら側に向かせる。なにか諦めたように目を瞑っている少年の頬をペシペシとやさしく叩いて目を開かせる。そして両手を上下にふり、落ち着けというボディランゲージを試みる。



 これでボディランゲージが俺の世界の意味と違っていたらアウトだな…

 カイトも諦めの境地に立たされかけていた。



「………え?」

 少年は素っ頓狂な声を出した。こちらに敵意が無いことくらいは伝わったか? 少年が逃げ出す気配が薄れたので更に意思疎通を図る。ゆっくりと口元に手をやりグーパーしたあと×をつくった。そして耳元に手をやりグーパーして〇をつくった。


「口は×耳は〇?」


 お、いけるか? 俺はこくこくと頷いて改めて同じボディランゲージを行った。すると……


「聞き取れてるってことか?」

 少年からそう言葉が返ってきた。



 おお、やったぞ! またしてもこくこくと頷く。これで敵意の無いことが伝わればいいんだが……改めて意思疎通をしたいという意思表示を行う。自分と少年を交互に指さした後、両手を少年側と自分側に向けてグーパーした。


「話したい…のか?」


 キタキタ伝わったぞこれは。思わず心の中でガッツポーズする。力強く頷き肯定する。


「悪魔だから呼び出した際の契約についての話か?」


 ああ、まだ悪魔だと思われてるんだな……首を大きく横に振って否定する。まずは悪魔という誤解を解きたいがどうすればいいのか。


「話がしたいみたいだが、ボディランゲージでは限界があるだろう。そちらは俺の言葉が分かるようだが、こちらは貴方の言葉が分からない。何かいい方法があればいいが……」



 そこで俺はハッとなった。言葉の意味が聞いて理解できるのなら、文字も読めるのではないだろうか? すかさず地面にペンを持って何かを書く動作をし、少年に促す動作をする。通じるだろうか?


「何か書けって事か?言葉か?」


 伝わったようだ。つよく頷く。言葉が伝わらないとはこれほど苦労するとは……相手の言葉だけでも理解できて本当に良かった。俺は魔法で言語の認識させることがどれ程重要か理解できた。

 少年は()()()()()()()()()()()()()()()()()()と書いてきた。首を横に振る。


「特に害をなすつもりはないのか。」


 また首を縦に振る。

 少年は改めて地面に文字を書いてきた。

 ()()()()()()()()()()()



 これはYES/NOじゃ答えらないじゃないか! とは言え少年も先程の質問を聞く限りこちらが襲ってくると思っていたようだし、焦っていて余裕がないのだろうどうやって答えようか。とりあえず相手と自分を指さして〇を描いた。


「まる?どういう意味だ?もしかして俺とあなたが同じ人間って事か?」


 おお、この少年すごい理解力だな。さっきの質問はちょっとあれだったが、このジェスチャーで伝わるとは。笑顔で頷いた。すると少年は頭を抱えて悩み始めた。


「まさか、別の世界の人間を呼び出したとかそんなおとぎ話みたいな話じゃないだろうな…」

 と半信半疑そうに言い出した。


 呼び出された訳じゃないが、ここは話を合わせておくべきだろう。

 苦笑いで頷く。


「マジかよ! なら完全にとばっちりって訳か……というかこのままだとかなりやばいよな。言葉も通じないし住む場所も飯もない。下手したら事件に成りかねない……あー、もしよければ衣食住を提供しましょうか?あいつが迷惑をかけてしまったようだし……」



 俺は願ってもない提案に内心驚く。普通、見ず知らずの怪しいやつをここまで助けたりしないだろう……少し警戒したが、ほかに当てがないのも事実だ。ここは提案に乗ろう。少年の提案に頷いた。


「じゃあ、ついてきてください。」


 俺は保護を申し出てくれた少年のあとについて行った――





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