第1話:魔法つくっちゃいます
初めて作ったファンタジー短編小説です。
色々と文章構成や書き方がおかしい所も多いと思いますが、読んでいただけると幸いです。
内容のガバさや文章がおかしい所は指摘いただけると幸いです。
追記:ルビになっていない箇所がありました。(19/09/24)
改行を多用しすぎていたので直しました。(19/9/28)
固有魔法……それは一流魔導士の証
青年は今日、ついに自身の固有魔法を創造することを師より許された。
固有魔法の創造には代償が付きまとう。大きな魔力を秘めた触媒、もしくはそれと同等の力を引き出す事のできる命である。魔法触媒は希少価値が高く簡単に手に入らない事もあって、自身の命を少し削りとって代償にすることが多かった。以前は、他者の命を使って魔法を創造するという非人道的行為がまかり通っており、かつ魔法の創造に関するノウハウが少なかった為、失敗するという事もあった。その結果、多くの命が失われることとなり、これを問題視した各国や良識ある魔導士達が他者の命を使用することを強く禁じた。また、知識の粋を集めた作った魔法道具により失敗することなく固有魔法を創造する方法が確立された。
今でこそ魔法創造のリスクは大きく下がったものの、触媒を用いなければ以上危険が伴う行為であることには変わりない。それでも魔導士と呼ばれる者たちがリスクを冒して魔法を創るのは、魔導士として生活していく上で、固有魔法を習得している事がその身分を証明することに他ならないからである。
「気を引き締めてやらないとな」
青年はそう口にすると手に持っている水晶玉に魔力を込めた。どんな魔法にするかはもう決めており、あとはキャパシティが足りるかどうか。頭の中で自身が作ろうとしている魔法の効果を思い描いた。すると水晶玉は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と順に七色に光り、その後静かに光は収まった。
「大丈夫のようだな」
青年の後ろから白くて長い顎髭が目立つ老人が声をかけた。
「いやぁ、少し心配だったんですけどね…魔法の内容が内容だし……」
苦笑しながら青年はそう答える。
「カイトお前、いったいどんな魔法を創るつもりなのだ?」
老人にカイトと呼ばれた青年は答えづらそうに目をそらす。
「しょ、召喚魔法を……」
「召喚魔法だと!そんなリスクの高くて使いづらいものを何故わざわざ選んだのだ」
老人は呆れながらカイトに目を向ける。
「び、美人のねーちゃんとか異世界から来ないかなって……」
彼はバツが悪そうにそう答える。
召喚魔法とは召喚主の元に生命体を呼び寄せる魔法である。異世界から時折この世界にたどり着く人間がおり、そのような人との接触経験があったとある魔導士によってその魔法は生み出された。以後、異世界の英知を得るために多くの魔導士が固有魔法として召喚魔法を創造した。異世界の知識だけでなく労働力や兵力を得るといった点も容易にできると考えられたからだ。その結果、魔導士による召喚魔法の研究は一気に火がついた。
しかし、蓋を開けてみると多くの問題が発生した。まずは言葉が通じない。これでは意思の疎通を図るのも一苦労であり、知識を得る云々以前の問題だった。労働力や兵力として召喚する点でも大きな課題があった。そもそも、訳も分からずいきなり召喚された人が奴隷のように従うはずもなく、呼び出された者が激怒して召喚主に襲い掛かり殺害するという事故も起こった。また、異世界からだけではなく同じ世界からも人を呼び寄せてしまい国際問題に発展するなど問題点が余りにも多すぎた。それらを解決するための労力が召喚魔法のもたらすメリットよりも遥かに上を行くものだったのだ。結果として召喚魔法は下火となっていったのだ。
「リスクが高すぎるだろう。まして魔法の発動にもコストがかかるのに美人を呼ぶだなどとアホウな事を…いったいどういう思考をしているのだお前は……」
老人はため息をついた。
「いや、その辺の事も考えて作るつもりですよ。ダイジョブダイジョブ」
カイトは開き直って笑いながら答える。
「お前と会話をしていると頭が痛くなりそうだ。そもそも特定の条件を付けて呼び出すなんて高度な効果にしたらどれ程のリスクがあるかわかったもんじゃないだろう。それに言葉の壁をどうするかという問題もあるし、兵力や労働力として使おうとするにもいきなり召喚された側は納得しない。もし、襲い掛かってきたらどうするつもりなのだ。」
老人は問題点を指摘するが、カイトはそれも想定済みといったように答える。
「嫌だな師匠、それも含めて召喚魔法を創造するつもりですよ。さっき、固有魔法仮想作成装置も成功したし…師匠も見てたじゃないですか。」
師匠と呼ばれた老人は驚いたように答える。
「なに!?そこまで想定して固有魔法仮想作成装置を使ったのか。そこまで効果を詰め込むとキャパシティが足りなくて失敗しそうなものだが……」
キャパシティとは創造した固有魔法をしまっておく容量のようなものである。これに入りきるような魔法効果にしなければ魔法を創造することができずに失敗してしまうのだ。先ほど、カイトが使用していた水晶玉は仮想的に魔法を作り出し、自身のキャパシティに収まる魔法なのか判別する装置なのである。
彼は得意げに師匠に答える。
「まぁ、俺は普通の人に比べてキャパが多いみたいですからね…意思疎通を可能にするように世界を超えた時に使用言語を自動的に変換する効果と元の場所への未練がない人を対象にするっていう効果を付けれたのはたまたまですよ」
「そこまでできているならいちいち文句は言うまい。寧ろ興味が沸いたわ。実際に召喚するところも見てみたいしの、魔法が完成したら呼んでくれ」
そう言って師匠は部屋から出て行った。
「さて、やりますか」
ボソッと独り言をつぶやくと今度は仮想ではなく実際に魔法を創り始める。師匠との会話で緩んだ気を引き締め、集中し始める。そして、ゆっくりと自身の魂の内側に先ほど思い描いた魔法効果を書き込んでいく。器にタップリと水が注がれていくような感覚を感じ、身体がどんどんと熱くなっていくと同時に謎の虚脱感がカイトを襲う。これが命を削るという感覚なのだろうか。虚脱感で意識が朦朧とし、フラフラになりながらも効果を書き終えるまではと気をしっかり持つ。最後の効果を書き終えるとカイトの意識は闇へと落ちた。
使い方が分からなくて再投稿しました。よかったら見てください。