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序章~みせしめと前提ルール説明~

 いなくなった……それはどこかに転移したわけでもなく、男の体が破裂したのだ。

 

 「ひいぃぃ!」


 「いやぁぁあ!」


 「うわぁぁぁあ!」


 男の周りにいた者は男のものであった血や肉片、内臓を浴び、失神する者、恐慌状態になる者、吐く者等があふれかえりまさに阿鼻叫喚の図になっていた。


 「はーい、みんなちゅーもーく!とっととしないとみんな同じ目にあうかもしれないよー?」


 アンノウンは再び大きな声を上げ、手を叩き練達の注目を集める。

 不思議なことにアンノウンが手を叩いた瞬間、先程失神した者も目を覚まし、恐慌状態になった者もアンノウンの言う通りにアンノウンに注目する。

 前者はアンノウンの力により、後者は自分にも恐ろしい力を向けられないかと恐怖しての行動だった。


 「彼には見せしめも兼ねていなくなってもらったけど、君達がゲームに参加してくれるなら僕は手を出さないよ。それにこのゲームに生き残れたものは僕の神の権限を持ってあらゆる願いを叶えよう!死者の蘇生、富、名声、才能、永遠の若さなどの様々な願いが君達にもあるはずだよ!これならどうかな?やる気もわいてきたんじゃない?」


 アンノウンは明るく大きな声で笑う。

 それを聞いた練達の大半は複雑な表情をしていた。

 願いが叶うならそれを享受したい。

 だが命と引き換えにするほどのものでなかったからだ。

 しかし、それはあくまで大半でありそれとは違い別の反応をとるものもいた。 

 あるものは背筋も凍るような笑みを、またあるものはさも当たり前だと思っているような顔をしていたり反応は様々だった。

 

 「あ、あの……神様。戦えっていってもどうすれば、私達……特に女は男より不利です」


 一人の女子生徒が前に出てアンノウンに聞く。

 男女の身体能力の差は大きい。

 その差が存在する以上このデスゲームは公平なものにならない。

 それを指摘されるとアンノウンは笑顔で答える。

 

 「それなら問題ないよ。実は君たちの体をここに持ってきた時にあるものを仕込ませてもらったんだ。君達のいう神話の神の力を一人一人に与えたんだ。さっきまでみんな夢を見てたんじゃないのかな?実はそれが君達の能力さ!それなら性別も年齢も関係ない……ただ能力を使いこなした者が勝てるのさ!……これで理解できたかい?」


 「は、はい」

 

 質問した女生徒はアンノウンに怯えながら頷く。


 「うんうん、わかってもらえると僕も助かるよ!それじゃあ、このデスゲームを行う上で守ってもらわないと困るルールを説明するね」


 アンノウンは楽しそうに説明を始める。

 その姿はまるで無邪気な子供のようである。


 「その一、もう大丈夫だと思うけど僕や僕の眷属に対して一切の暴力、抵抗を行わないこと……そんな事したらみんなもパーンッだよ?」


 アンノウンは手で何かが弾けるような仕草をする。 それをみた練達は先程死んだ男子生徒の事を思い出して顔を青ざめさせる。


 「その二、参加者同士での共闘、裏切りの行動は自由。ソロも徒党を組むのも君達の自由ってことなんだよ。その三、参加者の死体の所有権はとどめをさした人に渡される。これに関してはそういう能力者がいるからね。そこは配慮するよ」


 「その四、ルールはその都度に更新される。僕だって不備があるかもしれないからね。その都度ルールを追加させてもらうよ……今のところ質問はあるかな?」


 アンノウンは周りを見渡すが、誰も声を上げられなかった。


 「それじゃあ、さっそくゲームを……「ま、待ってくれ!」


 アンノウンがスタートをさせようとしたその瞬間、先程とは別の女生徒が声をあげる。


 「なんだい?えーと、正神ただかみ勝羽かつはちゃん?」


 自分もさっきの男のようにならないかと少し怯えながらも正神勝羽と呼ばれた少女はアンノウンに話しかける。



 「あ、貴方の目的はなんだ!?こんなことしてなんの得があるんだ!?」


 せっかくの台詞を妨害され、アンノウン苛つきながら答える。


 「目的……ね?それはいつかクリアして僕の元まで来れたら教えようかな。これ以上はない?それじゃあ、今度は君達の戦いの場に連れていこうかな!」


 アンノウンは片手を高くあげて、指を鳴らすと練達の足元から魔方陣が光が溢れ、練たちを飲み込んだ。

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