墓じまいしました
よろしくお願いします。
私の墓じまいの備忘録です。
書きそびれた所をつけたしました。5/22修正および付け足しました。
墓じまいしました。
最近巷で囁かれている墓じまい。昨年、意を決してそれを行った。
早くに亡くなった父の33年の法要を済ませた後、父の入る墓の周囲の墓がぺんぺん草以上のものが生えて手入れが全くされていないことに気付く。いったい何年掃除に来ていないんだ?
墓所に植え木を植えるバカもいる。手入れができないなら植えるな。植木の根で墓が駄目になる。なぜそれに気付かないのかなあ。根っこは石の間に入り込んで、石をずらしたり、割ったりするのだ。
あげっぱなしの果物や飲み物にサルやスズメバチが寄ってくる。ビールやジュースの缶って、ふたを開けなければ、あげておいていいって誤解している人が多いけど、放置しておくとさびて底が抜けるんだよ。
くれぐれも果汁のジュースを墓にあげないでほしい。あれは、スズメバチの大好物だ。あげたら飲んでしまうか、持って帰ってほしい。そのくらいのこと、気付けよなあ。だから、墓石も汚れまくりだ。汚いなあっていつも思っていた。
うちの墓は、私の後に墓守がいない。私が入った後は、この状態か。やだな。
父の墓は寺の敷地内の墓所にあった。山寺になるので、すべてが階段だ。そそりりたつ階段。年を取ったら登れないな。事実、父の兄弟も老齢になると誰も墓参りに来てくれなくなった。墓掃除も年々辛くなる。やってくれる母が出来なくなったら、私がやるんだよな。色々なことが、ぐるぐると頭を駆け巡る。
ああ、そうだ。墓じまいしよう。ある日、お墓参りの後にそう決意した。これも終活の一つだよ。
それから、墓じまいのことを調べた。墓じまいというのは、お墓の中に入っている遺骨をどこかに移動して、墓石を壊して、墓所を更地にしてお寺なり、霊園に返却することだ。
まず心配したのは、墓じまいした後、父の遺骨をどこに安置するか。寺とのトラブルにはどう対処するか。墓の壊し方、役所への届など、墓じまいの方法だ。
一通り調べた後に、母に相談する。お墓は母が父や自分のために建てたものだ。かなりの金額もかかっている。私はあまりよく覚えていないが、車一台分以上だったらしい。それを壊していいかなと、切り出すことは少々心苦しかった。
しかし、母も同じようなことを感じていたようで、何処にしても自分もそこに入るからいいよ。と、快諾してくれた。ありがたかった。母に聞いてみると、せっかく建てた墓なのに、お参りしてくれる人もいなくて、朽ちて行く方がよほど嫌だと思ったらしい。
母のことが解決したら、次はまずは遺骨の安置所をどうするかだ。別の霊園に安置する。樹木葬、海にまく。色々あるなあ。
でも、そうすると一番懸念されることは、今檀家になっている寺とのトラブルだ。ひどい場合には、遺骨を人質に法外な金額を請求される場合もあると聞く。うーん。なんとなくそれは避けたい。
寺の敷地を見ると、永代供養墓がある。見晴らしのいい気持のいい場所だ。ここって、よくね?と、第一候補を同じ寺の中の永代供養墓への引っ越しにすることにする。まずは、住職へ相談だ。
住職は快く相談に乗ってくれた。きっと、寺側も墓を放置されるよりいいんだろうなあ。古くて広い寺はなかなか手が回らずに、寺も苦慮しているようだった。住職が何とかしたくても、檀家の力が強いので色々制約があるみたいだし。
まずはぶっちゃけ、永代供養墓に安置する場合の金額。ネットで調べて見ると、100万円以上するところあるみたいだし、これはハッキリ聞いておかなければならない。
住職は素直に教えてくれた。一般の戒名+33年間の法要付き。33年の法要の後は遺骨を合祀することで、15万円です。え?安くない?
父はすでに33年の法要を終えているのだけれど、と確認すると、永代供養墓に安置してから33年でいいですよ。え、住職、マジ?
少し突っ込んで聞くと、永代供養墓はすいているので、焦って合祀しなくてもいいそうだ。
15万円と聞いて、これには母も驚いた。母も100万くらいはするだろうって思っていたのだ。ちなみに、遺骨の移動の場合で戒名持ちでも割引はなかった。うちのお寺の場合は一律料金だそうです。
檀家になっている寺は100年以上続いている。檀家数も多く、寺としての位も高いらしい。今の住職の血が絶えても、絶対に本部から新しい住職が派遣される。今の住職も3代前に、派遣されているのだ。まあ、今の住職には息子が3人もいるから、後継ぎには困らないだろう。下手に霊園に移すより安全じゃないのかなあと母と話し合い、引っ越し先は同じ寺の永代供養墓に決定する。
次は、遺骨の移動に伴う役所への届け出だ。遺骨を納めるのは、役所に届けなければいけないのだ。
住職に確認したら、寺の敷地内なら、墓から遺骨を出して別の所に入れても、新たな埋葬届は不要とのこと。もしほかの霊園などに引っ越す場合は届け出が必要となる。
ここまで決めて、既成事実として嫁に行っている姉に報告する。姉も自分に面倒を押し付けられることもないので、もろ手を挙げて賛成してくれた。
次は墓を壊す算段と墓じまいの法要だ。まず墓を壊すための石材店さがし。これもピンからキリまであるようで、いくつかの石材店に見積もりを依頼することが一般的だとあった→ネットの知識。
しかし、トラブルを避けたい事なかれ主義の私は、まず寺に出入りしている石材店を住職から教えてもらった。永代供養墓の建立などを行っているところだ。寺に出入りの石材店なら、ぼったくりもしないだろうと言う安直な発想だ。でも、教えてもらった石材店、どこかで聞いたことがある。そうだよ、習い事の先生の友達だよ!!いつだか、使ってやってくれって言われたことがある。その時にもう墓はあるから用がないよ、ごめんねと断ったんだった。世間は狭い!!その先生から石材店に連絡してもらって、墓じまいの相談をする。
墓石を壊すにもいろいろ手段があるけれど、我が家の場合は、墓石を破砕する機械を現場まで持って行って、その場で砂利にする。その砂利を袋詰めにして搬出。それだけで済むそうだ。思った以上に簡単でびっくりした。非常に大きい場合は重機などが必要になる場合もあるらしい。一般的なお墓なので、処分料30万以上かかりませんよ。と、保証してくれた。寺の出入りの石材店だから、お寺とのトラブルはない。お宅に決めた!
ほかの所に見積もりも取らずに即決した。ただ、墓を壊す時期だけは指定された。盆や彼岸にはあてない。墓参りの人がいない時期にというのが石材店の注文だった。理由を聞いて納得。墓参りの人に邪魔だよね。これだけで、なんとなく良心的な石材店だなあと思う単純な私である。
次に住職と石材店と墓じまいの法要の日程を決める。なぜ、法要に石材店が必要かというと、墓を開けてもらって骨壺を取り出す作業を石材店にやってもらうからだ。骨壺を安置してある場所は、防水シールがしてあって簡単には開けられないようになっている。よくミステリードラマで簡単に開けているが、そんなに簡単なものではないのである。骨壺を取り出すにも、奥に入っていると潜るだけの広さがないので専用の器具が必要になる。
法要の日程が決まった。法要代も住職に確認する。墓じまいの法要と、新たに永代供養墓に安置するための法要。コミコミで、2万円だ。安すぎないっすか、住職!!と、叫びたくなった。
法要の日に、33年ぶりに父と再会した。一生会う機会もないと思っていたから、なんだか、感慨深かった。取り出してもらった骨壺を風呂敷(持参・絶対に必要)に包んで、永代供養墓にお引越し。本棚みたいな場所で、先住の方々が一列に整列していた。場所が決まっているので、アパートかマンションの雰囲気だ。一軒家から、マンションに引っ越しだぞーと言いながら、骨壺を棚に並べる。きちんと落ちないように柵も作られていて安心感もあった。
ちなみに、墓から骨壺を出す作業はコミコミ料金で石材店に追加料金はとられなかった。
法要時間は各10分もかからなかった。そして、あっさりと、我が家の墓じまいは終わった。後日、石材店からお墓の処分が終ったと連絡があった。金額は28万円ちょっと(税込み)の友達価格だった。紹介じゃなかったら30万円以上請求していたと言われた。思ったよりも、処分する石の量が多かったそうだ。習い事の先生にお礼のお菓子を持って行ったことはお約束である。
50万円以下で墓じまいのすべてが終了した。たぶん、お寺も、石材店も、ものすごく良心的な金額設定だったんだろうと思う。新聞広告の永代供養料などを見ると、非常に高価だ。
永代供養墓に墓参りに行くことが少し寂しいと感じる人がいるかもしれない。でも、我が家にとっては最善の選択だった。見晴らしのいい、寺での一等地。お花と線香だけ持ってお墓参りが済む。掃除からも解放された。自分が老人になったとき、死んだ後に、お墓をどうしようという心配からも解放された。この心配からの解放は本当に大きい。
永代供養の値段が将来的に上がると困るねと、母と相談して、生きているうちに二人分の契約をした。私は両親と一緒の所に入ることを選択したのだ。もう将来的に結婚しないだろうしね。万が一結婚しても、お墓はここに入ると決めている。
父の名前の横に、赤文字で二人分の戒名と名前が刻まれている。生きているうちに戒名をもらった。なんだか、すごくくすぐったい意味の戒名だ。これで、どこからでもゆうパックで遺骨を寺に送って安置してもらうことが出来る。そういう契約を住職と結んだ。
ちなみに、遺骨を送ることが出来るのはゆうパックだけだ。宅急便で送ることは法律違反になるので注意が必要だ。
我が家の永代供養墓は最後に安置された人の33年の法要が済んだ後に、家族まとめて合祀してもらうと言うことを合わせて契約した。うちの寺の住職はもしかしたら、ものすごくいい人なのかもしれない。住職が代わってもきちんとしておきますとも言ってくれた。それに、私より若い住職だから大丈夫だと思う。
その後のことは心配しないことにする。どうせ自分には分からないしね。
我が家の墓じまいは本当に、良い巡り合わせで気持ちよく終わった。思い立ったが吉日。そんな墓じまいだった。
墓じまいの実例です。