祭り(その1)
秋季大会が終わった翌日の日曜日、間髪を入れずに体育祭の準備のラストスパートに入る。前日まで大会のあった運動部員の疲労に配慮して、体育祭実行委員の学校に集合しての全体打合せは午後からだ。
僕とさつきちゃんは、自分達のクラスの担当部分の残務が残っていたので、集合前の時間を使い、学校近くのハンバーガー屋でお昼を食べがてら作業することにした。
資材調達の請求書や領収書のとりまとめ、パンフレットの文案等結構骨が折れる。テーブルで向かいながらそれぞれ電卓を叩き、ペンを走らせる。2時間程黙々と作業を続け、ようやくひと段落ついた。
集合時間まで後30分ほど。齧りかけのハンバーガーを食べ終わるには十分な時間だ。
「あれ・・・なにか、太鼓の音が聞こえない?」
さつきちゃんがそういうと確かに太鼓の音と、それから、笛の音が微かに聞こえて来る。そして、それは段々とこちらに近付いてくるようだ。
「うん・・・確か、この店の近くの小さな神社に幟が立ってたから、秋祭りの獅子舞が街を練り歩いてるんだと思うよ」
この県全域でお祭りといえば、獅子舞が一番多い。それも、5~6人が一体となって獅子頭と胴体、それから尻尾を操りながら舞い、獅子に対峙する1人の天狗役が槍を持って舞うのだ。腹にずしんと響くが、スピーディーでリズミカルな太鼓と、その地区ごとに微妙に異なる横笛の囃子、それから、獅子と天狗の、スポーツのフットワークよりも速い舞に圧倒される。囃子方や周囲の人たちが「イヤサー・イヤサ!」と掛け声をかけると理屈抜きにむずむずと心が駆り立てられる。
「村社」と呼ばれる地区それぞれの小さな神社ごとにこのお祭りが行われる。だから、春の田植の前や秋の収穫の頃は、神様に感謝を捧げる獅子舞の列が太鼓を鳴らしながら歩いている光景が日常となっている。そして、移動の間はみんながぞろぞろと歩くスピードに合わせてゆっくりと太鼓と笛を鳴らし、商店や新婚の家などの前まで来ると、激しく速い太鼓・笛・舞をするのだ。今日のお祭りは、僕が毎朝お参りしている神社ではなく、隣の地区(村)の神社のお祭りだ。




