1-4 宿屋にて
「おいしかったですね。」
「ふふっ。喜んでくれてうれしいです。」
僕らはご飯を食べ終えて、満足していた。
異世界では日本と違って調味料などが不足していが、それはそれで素朴な味って感じがしておいしかった。
問題は・・・食べているお肉がはたして何の肉なのかわからないことだったが。
冒険者ギルドを出た時点で夜になっていたので、今日はもう宿に泊まって終わりらしい。
「おや、そこの人。冒険者かな?」
誰かが話しかけてきた。
声がした方を見ると女性が2人居た。
片方は20歳ぐらいで茶髪をセミロングにしている。
全体的に凛々しい雰囲気を感じる。
知的なお姉さんって感じだ。
見た目は白衣で、あれはモノクルだったかな。
それをかけている。
異世界にも白衣とか眼鏡ってあるのか。
白衣のポケットに手を突っ込みこちらを見ている。
もう片方は14歳ぐらいの女の子。
黒い髪をツインテールにしている。
見た目は非常に可愛らしいが、何故か表情は全くないし、前に手を組んピシッと立った状態で微動だにしない。
こちらの服装はメイド服だ。
「冒険者です。先ほどなったばかりですけど。」
「ほうほう、なるほどなるほど・・・。」
何かを調べるように俺を見ている。
「ふむ。面白いな。魔力の流れが一切感じられない。もし、魔法を使いたくなったらいつでも私に会いにおいで。それじゃあね。」
それだけ言って、2人とも去って行った。
一体なんだったんだ?
でも、異世界だけあってやっぱり魔法ってあるんだな。
さっきの人が魔力の流れが一切ないって言ってたけど・・・。
ということは僕は使えないのか?
「トーヤ様は異世界から来てますからね。魔力が一切ないのは仕方ないんです。」
話によるとこの世界の人間やモンスターは体内で魔力を作り、貯蔵することができる。
しかし、僕のように異世界から来た人間は、稀に無かったりする場合があるのだと。
そして、僕はその稀な全く魔力がないタイプの人間だったらしい。
だから僕には魔法が使えないとのことだ。
ちょっと楽しみだったんだが・・・。
「代わりに魔法を使うことができるアイテムをお渡ししますので、あとで魔法の体験はできますよ。」
おおっ!
それは楽しみだ。
その後は特に何もなく、今日は宿屋に泊まって終わりだった。
もちろん僕とヴァイスさんの部屋は別である。