1-3 登録
ギルドの扉を開け、中に入る。
一階は酒場にもなっているらしい。
今は夕方だ。
まだ早いと思うが、既に冒険者たちは結構飲んでいるようだ。
かなりの喧噪になっている。
とりあえず俺はヴァイスさんを待たせて受付に行く。
「初めまして。どのようなご用件でしょうか?」
受付の女性はなかなかの美人さんだ。
ヴァイスさんには負けるが。
「冒険者の登録をしたいんですが。」
「かしこまりました。それでは先に冒険者ギルドについて説明致しますね。」
冒険者ギルドでは冒険者に依頼の仲介を行う。
依頼自体は冒険者ギルドが綿密に調査した上でランクを決定している。
ランクは上から金・銀・胴・赤・黄・青の順で、依頼を攻略していくことによってランクが上がる。
依頼の失敗には基本的に罰則はないが、悪質と判断された場合はペナルティの罰金が発生する。
基本的に冒険者同士のトラブルは不介入。
だが、依頼に関するトラブルには積極的に介入するので、何かあった場合は報告してほしいと。
犯罪者になった場合は、登録抹消の上、最悪ギルドから追手が来る。
荒くれ者が多いので必要な措置だそうだ。
「以上で説明終わりとなります。細かいことについてはこちらの冊子をお読みください。それではこちらの用紙にご記入お願いします。」
渡された用紙を見てみると、書いてある言語はあきらかに知らないはずなのに何故か意味を理解できた。
しかも、書くことも問題ないという。
ヴァイスさんの力だろうか?
記入する内容は名前、年齢、種族ぐらいしかなかった。
少なすぎるかと思ったが、冒険者というのは訳アリが多いので、あまり細かく書いてもらっても本当のことを書かないから意味がないとか。
それでいいのかとも思ったけど、そもそも確認するのが難しいと考えれば仕方ないのかもしれない。
俺は記入した紙を受付の人に渡す。
「はい、ありがとうございます。トーヤ・ミツルギ様ですね。それでは少しだけお待ちください。」
そういって引き出しを開け、カードを取り出す。
さっき書いた紙の上にかざすとカードがぽわっと光った。
「最後にカードにあなたの情報を登録しますので、血を一滴垂らしてください。」
ナイフを渡して来る。
うへぇ・・・。
痛いのは嫌だが、今更しないというわけにもいかない。
おっかなびっくり指を少し切って血を垂らす。
再度カードが光る。
「これであなた以外はこのカードを使えなくなりました。」
受付がカードを持つとカードが真っ黒になった。
再度自分で触るとカードが元に戻る。
なるほど。
これなら他の人には使えない。
「以上で登録完了です。これから頑張ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
カードを受け取り、俺は女神さまと合流して冒険者ギルドを後にした。