1-1 始まり
「はははは!ついに来たんだね!待っていたよ、この時を!」
玉座より男が立ち上がり聖なる輝きを放つ純白の剣を抜く。
それに呼応するように、相対する男が漆黒の刀を抜く。
「あの弱かった少年が、ここまで成長したとはね。」
純白の剣を持つ男が笑顔で言った。
「これ以上、お前の好きにさせるわけにはいかない。今ここでお前を倒す。」
漆黒の剣を持つ男が言う。
「無能な君が?僕を?できるものならやってみろよ!」
純白の剣の男が、一気に間合いを詰めて斬りかかる。
ギィンッ!と音を立てながら漆黒の剣が純白の剣を受け止める。
「無能は無能なりにできることがあるんだよ。」
「それなら見せてみなよ!」
勇者と呼ばれた男と、魔王と呼ばれた男の最後の戦いが始まった。
「はぁ・・・。」
僕はとある結果が書かれた紙を見て、ため息を吐く。
僕の名前は御剣刀夜。
高校2年生だ。
紙に書かれているのはそう・・・健康診断の結果だ。
その身長の欄には155センチと書かれていた。
そう僕の悩みは身長が低いことだ。
ついでに気も弱いこともあって、女子には小動物みたいで可愛いと言われてしまった。
悪いことではないが、この年頃の男の子あるあるとして、かわいいと言われるのは結構嫌なことだったりする。
やっぱり身体でも鍛えないとダメかな・・・。
そんなことを考えて商店街を歩いていると、福引所があった。
「そういえば福引券を持っていたな。」
この前、おつかいで買い物をしたときにもらってたことを思い出した。
どうせティッシュだろうけど、と思いながら受付の人に福引券を渡す。
「はい、1回どうぞ!」
ハンドルを持って回す。
ガラガラと音を鳴らしながら、抽選機が回る。
抽選機から玉が出て、ガチャッと金属の受け皿の上に落ちる。
出て来た玉は・・・金色だと!?
金色って・・・1等じゃないか!
「おめでとうございます!1等、大当たりです!」
女性がベルを鳴らしながら大声で言う。
周りの人がざわざわしながらこっちを見る。
やばい、すごく恥ずかしい。
「こちら1等の賞品でございます。」
僕はそれを受け取ってそそくさと逃げるように家に帰ったのであった。
僕は自分の部屋で賞品の確認をする。
福引所の一覧には1等は旅行券と書いてたが。
「これはチケット・・・?」
中にはチケットが1枚入っていた。
チケットには異世界行きと書いてある。
え?もしかして騙された・・・?
そう考えていると、チケットが光りだす。
「うわああああ!」
まぶしくて目を開けることができない。
少しして目を開くと・・・僕は知らない場所に居た。
2016年 07月21日 10時45分 に冒頭部分を修正しました。