君に捧ぐ歌 第三部
いよいよ最終話です。
最後まで読んでいただいてとてもうれしいです。
最後までゆっくり楽しみながら読んでいただけたらいいなと思っています。
5、必要とするもの。
「歌は何がしたいの?坂夜を手に入れたいの?それともこのまま笑ってバンドをしていたいの?歌は何がしたい?」
雄途が私をやさしく抱きしめたまま、私の耳元に言った。
その声はとても優しくてちょっとだけ寂しそうな声だった。
「とりあえず座ろう?」
雄途は私の背中に回っている腕を放しながら座った。
「歌は恋で自分の幸せと人の幸せどっちを選ぶ?」
雄途はやさしく私に聞いてきた。
「?」
私は首をかしげながら考えた。
「たとえば、誰かに告白されたとして、その人のことを好きじゃないとする。断るか、つきあうか。歌はどっち?」
雄途は私に聞いた。
「わかんない。」
私はうつむきながら言った。
「もし、断ったら、相手のほうがかわいそう。でも、好きでもないのにつきあいたくない。でも、つきあったらいい人だったとか何かいいことを知れるかもしれないよね?」
雄途は私の顔を覗き込みながら私に言ってきた。
コクン…。
私は首を小さくうなずいた。
「みんなその気持ちなんだよ?坂夜も波も歌も僕も。みんなその気持ち。はっきり好きって
言いたい、でも、言ったら相手が苦しいかもしれない。みんなそんな気持ちなんだ。坂夜だけをせめるのはいけない。わかるかい?」
雄途は本当にすごい。
私の苦しい気持ちがわかるんだもん。
「恋っていうのは本当に難しいよ。でも、もしかしたらハッピーエンドだってあるかもしれないんだよ?だから、恋ができるっていいと思うよ僕は。」
雄途は私の涙目の顔を覗き込みながら言ってくれた。
「だから、決してあきらめたりなげたしたりするのはしないでほしい。」
雄途はそういって立ち上がり、私に手を差し伸べた。
「わかった。」
私は涙をふいて雄途の手をかりて立ち上がった。
「ありがとう、元気が出た。」
私は笑って雄途にお礼を言った。
「うん。さ、もどろう。波と坂夜も呼んでこよう。」
雄途は私に優しく言ってくれた。
「うん。」
私と雄途はそう言ってさっきの公園に戻った。
そして、見てしまった。
坂夜と波がキスしているところを…。
そのときに思った、波も坂夜を必要としてて私も坂夜を必要としてるんだってことを……。
「坂夜!!あんたは…あんたは百合香さんが好きなんじゃないの!?」
私は思わず言ってしまった。
「どうして波とキスなんかしてんのよ。最低!!…最低だよ……。」
私はそういって座り込んだ。
「ちがうの歌、あたしが勝手にしただけだから。大丈夫、坂夜からしたんじゃないから。」
パンッ
私は思いっきり波の頬を叩いた。
「波は応援してくれてたんじゃなかったの?今頃何よ坂夜が好きって。どうして、どうしてあ
のときに言ってくれなかったの?波、ひどいよ。」
私は波に言って離れて行った。
「俺、今日は災難な日だな。歌には怒られるわ、波にはキスされるわ。」
坂夜は頭をかきながら言った。
「あたしは坂夜をなぐさめようとして、キスしたんだよ!!」
波は怒ったように坂夜に言い放った。
「キスはそういうふうに使うもんじゃねえよ。」
坂夜はそう言って公園から出て行った。
「このチームバンドどうなるんだろうなー。先が思いやられるね?波。」
雄途は波に優しく言った。
「うん、本当にどうなるんだろうね。あの話のときに坂夜が好きって言っとけばよかったなー。歌に。」
波はいつのまにか赤くなっていた空を見上げながら悲しそうに言った。
6、君という存在。
翌日……。
私はいやいや学校に向かった。
そして、あっというまに部室の前。
ガチャッ
「おはよう。」
私は部室に入りボソッと言った。
「おっはー、歌。」
波は元気よく私にあいさつしてくれた。
「波、昨日はごめんね。」
私は波に小さい声であやまった。
「ううん、全然、私が言わなかったのが悪いんだし。こっちこそごめん。」
波はやさしく私に言ってくれた。
「これからは、何でも相談して何もかも相談にのる。約束。」
波は私に小指を差し出した。
「うん。」
私は波の小指に小指をかけた。
小さいころをちょっと思い出す、微笑ましい瞬間だった。
ガチャッ
部室のドアが開いた。
そして、開いたドアから出てきたのは坂夜。
「おっはー。坂夜。」
波は坂夜に元気よくあいさつした。
「……。」
坂夜は黙っていた。
その顔はとても苦しそうで今にも泣き倒れそうなぐらいの顔だった。
「坂夜、どうしたの?」
私は恐る恐る坂夜に聞いた。
「振られた。」
坂夜はそういって部室のソファにもたれながら泣き顔を隠した。
泣いてるのなんてわかるよ。
それほど百合香さんを好きだったってことも私はわかるよ。
人一倍あなたを好きなんだから。
「坂夜。私ね、人をはじめて好きになったの。でも、それはかなわない恋かもしれない。でも、その少しでもかなう可能性がある恋はあきらめちゃいけないんだよ。」
私は雄途から教わったことを坂夜に教えた。
「は?」
坂夜は涙目で私の顔を見てきた。
「坂夜はまだ本当に人を愛してないよ。だから、ここの場所にいるんだよ?もし、坂夜があきらめるために百合香さんに告白したのならきっちりけじめをつけて、また違う恋をさがせばいい。あきらめないでがんばって振り向かせたいのならアタックしていく。そのどっちかしかないんだよ?結局はもう昨日の自分じゃないんだから一歩ずつ進んでいかなくちゃ。」
私はいつのまに目から零れ落ちる涙拭いながら坂夜に言った。
「ありがとう。歌。でも、俺、あきらめる。もう自分の気持ちに気がついたから。」
坂夜は涙目で私に微笑みながら言った。
「自分の気持ち?」
私は涙を拭いながら坂夜に聞いた。
「百合香にも一回会ってけじめつけてくる。それで、自分の気持ちをお前に伝える。」
坂夜は涙目から輝く目に変えた。
「ちょっと逢いに行ってくる。」
坂夜は笑顔で部室を出て行った。
私はそのときふっと、頭の中に詩がよぎった。
こんな詩。
題名…君に捧ぐ歌
詩
愛する人に送る歌
ずっとあなたを見ていたのにあなたはわかっていない
そのきずかないあなたにこの歌を送ります
好きなことを隠し、笑いながら進む道で君は僕のほうをむきニコッと笑う
その顔が僕は好きなんだ。
愛してるって、何で言えないのかな?
どうして、好きって言えないのかな?
どうして、小さい頃に言えたことが言えなくなるのかな?
一生この言葉と歩んでく道で試練なのかな?
あなたの笑顔が見たいだけじゃいけないのかな?
このくらいの詩が頭によぎった。
この詩は今の私のようでとても私はうれしかった。
私はこの詩を手直しして、発表会で歌うことにした。
大好きな人を思う気持ちきっとみんな変わらないと思うんだ。
みんな精一杯人を愛しているんだ。
私もがんばんなきゃ。
ガチャン。
ドアが開いたそして、入ってきたのは坂夜だった。
「はあ、はあ、はあ、俺、歌が好きだ。」
坂夜は息を切らしながら突然私に言ってきた。
「いきなり何言い出すの?坂夜。あなたは百合香さんが好きなんじゃないの?」
私は驚き気味に聞き返した。
「俺、昨日すっごい考えたんだ。俺本当に百合香のこと好きだったのかな?ってずっと。その
ときに歌が言ってくれたことでわかった。誰もかも傷つけちゃってたんだなってだから俺が本当に好きだったのは歌、お前なんだよ。」
坂夜はズルいよ。
そんなかっこよくきめないでよ。
そう思いながら、目から頬を伝う涙は何よりもうれしい気持ちをあらわしたものだった。
「私も好きだったんだ。」
私は泣きながら坂夜に言った。
「坂夜、私書いたんだよ?愛する人への歌。」
私はそう言って坂夜に渡した。
私のさっきの揺れてた心。
「本当は雄途って歌が好きだったでしょ?」
波は坂夜と歌にわからないぐらい小さい声で言った。
「ああ、でも、いいんだ。歌が笑っててくれれば。僕はそれで幸せだから。」
雄途はちょっと寂しそうに坂夜と歌をながめながら言った。
「じゃあ、私達もつきあう?」
波が言った。
「そうだね。」
雄途は笑っていった。
いつまでも、あなたを思い続けるよ。
あなたに捧げるよ。
この歌を。
マイ メロディ
my merody
最後まで読んでいただきまことにありがとうごさいました。
この小説をかきたいなと思ったのは歌を歌ってたときに好きな人のことを詩に書いた歌を歌ってたから私も書いてみたいと思ったからです。
えらそうなことを書いてもうしわけありません。
字や言葉、まちがってたところもあったかもしれませんが。最後まで読んでいただきまことにありがとうございました!。
できるだけ感想・評価も書いていただきたいです。




