14話目
フール街の領主の名前はアクロリスです。作者が、書き忘れました。すいません。
ルルアたちは頭上の騒ぎが大きくなるのを待って牢屋を抜け出し、階段を上り始めた。
階段を上がるたびに喧騒が大きくなる。
金属のぶつかり合う音。
怒声。悲鳴。
それに感化させたように闇が波打つ。
そう思ったのは戦いのための灯りが扉の隙間から漏れ出て、いたかららしい。
それが、戦っている者達の影を映し出したのだ。
影が流転していく。
耳障りな戦いの音。
それはルルアを冷静にさせる。それは、冷徹さと妙な高揚感を伴って。
ルルアの力が声を上げる。
血を求め、怨嗟の声を求める。
「ルルアさん、」不安げにユナが見つめてくる。
「っ!」ルルアは我に返り、ユナに返事をしようとして、何も聞いていなかったことに気づく。それほどまでに今のルルアの力はルルアの精神を圧迫していた。
「ルルアさん、?」ためらいと気遣い、そして怯え、そんな感情の入り混じるユナの聞いて、やっとルルアは我を取り戻しつつあった。
「なにか、言ったか」ユナに聞くと、曖昧に笑い、何でも在りません、とごまかされる。
追求したい気持ちが生まれるが、押し殺す。
今は、ここから脱出する、それが最重要なのだ。
ユナに迷彩の呪文をかける。
透明化の呪文でない理由は、透明化の場合、動くと魔法が解けてしまうから。
しかし、迷彩の呪文は自分に意識を向けさせないように、するだけのものだ。
注目を浴びてしまえば、すぐに魔法は解ける。
だから、注目は集めないように、と、ユナに注意を与え、ルルアは自身にも、同じものをかける。
準備は良いか?、ルルアが目で確認するとユナは「はい」とだけ言って、前を向いた。
戦場に繋がる扉。
脱出への扉。
それをあける。
段違いの音量の声が溢れる。
扉をあけたのは気づかれなかったらしく、ルルアは、ほっと一息ついた。
戦場に目を向ける。
乱戦だった。戦う人々の目は恐怖を塗りつぶすために、怒りで覆われている。
懐かしい光景。
ルルアは自分がその中心に居ないことに何か、自分が変わってしまったことを想起させる。
ぐいっと衣服が引っ張られる。
ユナが泣きそうな顔になりながら、ルルアに、早く行きましょう、と合図していた。
こんな感慨にはまるときじゃないな。心の中で自嘲気味に笑う。
ルルアがそこから、離れようとしたときだった。
外へと繋がる扉が乱暴に放たれる。
先頭に居るのは、剣を抜いたザジ。そして、何人かが後に続く。
叫びながら、乱戦の突入する。
駆けた勢いのまま、兵士を一人切り捨て、返す刀で反対側で切りかかろうとした兵士を処理。
後から、ザジに続く人々も、的確に兵士達を切り裂いていく。
他のものとはレベルが違う。
ザジが叫ぶ。
「クレア隊と、ヒノ隊は最上階で領主を狙え!!兵士達は後に任せろ!!」
了解!!と声が響き、何人かの数は階上への階段に向かう。兵士達があせったように立ちふさがるが、ザジた達が応戦。
ルルアが思うに、兵士の焦りようから大半はこの場所にいて、ここで逆賊を倒す手はずだったのだろう。
つまり、領主の下には兵士の配置が少ないのだろう。それに、あの体型の領主が戦えるとは思えない。
まあ、領主がすでに、城から逃げていれば別だが。
と、瞬間。
爆音がとどろいた。
戦闘が、一瞬止まる。
そして、音の場所に目を向けた。
そこは、先程、何人かが階段を上がって行った場所。
そのあたりには、黒焦げになった死体が転がっている。
(?)ルルアは何か忘れているきがした。
まず、あのくろこげの死体。
どうやって生まれた?どこにも火の関わる戦いなど起きていない。
まるで、魔法が、使われ・・。
ルルアは思い出した。
あの、魔方陣を。
ここには、魔法使いが居るはずなのだ。
戦闘はとまったままだ。
いや、動けないのだ。動いたらいけない、そんな雰囲気が漂っていた。
ルルアとしては、早くここから、立ち去りたい気分だが、この状態で動いたら、あっという間に注目の的だ。
ユナにも動かないように指示する。
階段から、降りてきたのは一つの影。
肥沃した体。
にやにやと、気色悪い笑みを浮かべる。
「アクロリス」ザジが憎憎しげにつぶやいた。
アクロリス、つまりフール街の領主、だった。
基本、作者はノリで文章を書いているので、次の内容に悩みます。
次の章からはプロット、見たいなモノを作ってみようかなと思う、今日この頃です。
もうすぐ、この章のクライマックス?です。
今後もよろしくお願いします!!